Hollywood Actors ハリウッド俳優さんたちの組合がなんとストライキに入っちゃった!The Union Members 組合員16,000人の全米の俳優さんたちが一斉ストライキって???どうなるの?映画は?テレビは?…..びっくり。
俳優たちに先駆けて、映画やドラマの脚本家たちの組合
WGA Writers Guild of America 全米脚本家組合
が、雇用条件の改善とAI参入にからんだ将来の保証などを要求してストライキに入ったのは5月の初め。未だに交渉は暗礁に乗り上げたまま、ハリウッドの主なスタジオでは新しくScript 脚本を書く人がおらず今後の制作に大きな影響が出始めている様子。
そして一昨日付けで俳優さんたちが所属する
SAG – AFTRA Screen Actors Guild – American Federation of Television and Radio Artists 映画俳優組合・米国テレビ・ラジオアーティスト組合
がストライキに入った。SAGとAFTAは元々別の労働組合だったが2012年に合併し一つの組織となり、名のしれた俳優・声優さん、まだ芽の出ていない人たちも、映画やテレビ、ラジオを仕事場とする人たちは殆どがメンバーシップを払って所属しているという。
Health Insurance 健康保険など、私達がふつう勤め先で保証してもらう福利厚生もこの組合を通しているということなので、俳優さんたちにとってはかなり重要な団体である。先日組合が行った投票で、ほとんどUnanimously 全員一致でストライキが決定したそうだ。
脚本家と俳優の2つの組合が同時にストライキに入るのは実に63年ぶりで、前回の同時ストライキは1960年。その時のSAGの代表はその後大統領となるロナルド・レーガン。やっぱり昔からリーダー資質だったに違いないネ。
さて、夏休みで稼ぎ時の Broadway ブロードウェイもしまっちゃうの???と心配になったが、ブロードウェイは違う俳優組合なので今回のストライキとは関係ないんだって。ブロードウェイの方は、
AEA Actors’ Equity Association アクターズ・エクイティ・アソシエーション、ライブ演劇俳優組合
という組合ということだ。ややこい。
ここはマンハッタンから40分くらいの郊外なので、ブロードウェイは頻繁に行けるわけではないくせになんとなく近しい気持ちを抱いている。この町にも A Kid Actor 子役なんだって!という子もチラホラいるし、なんといってもアン・ハサウェイもメリル・ストリープもこの辺の High School Theater 高校の演劇部ご出身なのだ(なんとメリルはチアリーダーでもあった。ちょっと想像付かないね)。
ブロードウェイの舞台に立てるのはほんの一握りで、後はオーディションに明け暮れて昼間はレストランの Waitress ウェイトレスやダンスの先生をしながらなんとか暮らしている夢見る演劇青年たちがほとんど。
もしストライキということになれば Income 収入の道がさらに途絶え、ほんとに食べていけなくなる….と、以前食事をしたブロードウェイの Diner ダイナー、ウェイトレスもウェイターもみんなおしりがきゅっと上がって姿勢の良い、いかにも俳優ですという感じの若い子ばかりだったことを思い出した。とりあえず、そっちは影響ないようで良かった。
さて、
WGA(脚本家)もSAG−AFTA(俳優)も、ストライキの相手方は
AMPTP – Alliance of Motion Picture and Television Producers 映画・テレビ制作者協会
パラマウント、ディズニー、ネトフリ、Amazon、アップルTV、FOXやABCなどのメジャーテレビ局、などハリウッドと TV Industry テレビ界を牛耳る会社は殆どがメンバーである。
この協会が総元締めとなり、WAGやSAGと雇用条件の Contract 契約書を結んでいる。この契約条件の改善を巡って両組合が制作者側と交渉に臨んだが決裂し、今回のダブル・ストライキとなった。
俳優側の要求はというと、まず以前はテレビのドラマだと1シーズンに付き24話くらいの長さがあったものが、Streaming ストリーミング主流の現在は多くても8から10話とかなり短くなっているが一話あたりの Pay 支払額は変わっていない。短くなった分収入は減り、俳優が仕事をしていないダウンタイムが長くなってきている。
そして、配給会社が一度制作したドラマや映画をエンドレスにストリーミングできることによって得る Profit 利益の還元が俳優側に公平になされていないことの改善。
AIと技術の発達で、俳優の声や動作を簡単にイメージングして画像や音声を作成できてしまうことに対する非イメージ対象俳優・声優への保証の確保と Conditions 条件の改善。
もっと複雑なのだろうが、わたしが調べた限りではこのあたりが目玉の交渉案件だった。
昨日は、AMPTP 幹部が「ストライキなんて痛くも痒くもない、俳優たちのお金が底をついて降参してくるまでこじらせてから交渉に持ち混むよ」と発言したとリークがあり twitter で炎上したが、どうもそれは俳優たちの不安を煽るデマだったのでは、という話が今日になって出てきた。
16,000人のメンバーを持つSAG−AFTAのストライキで、もちろん映画やテレビ、コマーシャルの撮影、ラジオの録音などはここしばらく行われない。それにくわえ新しい映画の Promotion プロモーションや Emmy Award エミー賞の授賞式なども俳優は不参加。
これから各地でポップカルチャーイベントの最高峰、Comic Con コミコンが開かれる時期だが、ゲストとして有名俳優の不参加が決まったので、毎年多額の宣伝費を費やす制作会社たちが急に投資を控え始めているらしい。
コミコンがこんなにメジャーになる前の地味な Nerdy Event オタクイベントに逆戻りするらしいという噂。昨今の派手なコミコンに気後れしていた本流オタクたちはそれでオッケーと喜んでいる、らしい….ほんとかな。
ブロードウェイはもちろん映画やドラマの俳優たちだって、成功して有名になり、なに不自由ない暮らしができているのはほんの一握りだ。SAG-AFTAがストライキに入るか否かの投票をしたときに、実に96%の組合員が
yay イェイ 賛成
と投票したという。Nay ネイ、反対の4%の人達はもしかしたら仕事を続けるかもしれないということだが、それを新聞では「Go over the Fence フェンスを越える」と表現していた。
2000年の名作映画「リトル・ダンサー」では、バレエダンサーの夢を追う少年の父が、その資金のため苦渋の決断を下し、ストライキ中の仲間を裏切って炭鉱に仕事に向かう。道にはバリケードのフェンスが張りめぐらされていて、父親はまさしく「フェンスを越えて」仲間たちから罵倒を受けながら炭鉱に向かうバスに乗り込む。
映画やテレビを仕事場とする、きらびやかな世界に住む俳優や声優たちが実は彼らも炭鉱夫と同じ「Laborer 労働者」であり、ストライキという手立てを使って労働条件の改善を叫ばなくてはならない職業の一つであったのだということに気づいて感じ入っている…..
とにかくThe Concentration of Wealth 富の一部集中はアメリカの大問題。ディズニーやらAmazonやらがストリーミングで大儲けしたお金は、エグゼクティブの給料やら大株主の懐に行ってしまって、現場の俳優や脚本家には行き渡ってないのだね。
このストライキが今後の交渉にどう影響を与えるのか目が離せません!
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