アメリカの長寿番組
Shark Tank シャーク・タンク(サメの泳ぐ水槽)
をご存知だろうか。主に消費者グッズやサービスの新しいアイデアを6人の審査員に披露し、興味を持ってもらえれば審査員の一人、または数人が共同経営者となり資本と経営のバックアップをもらえるという番組だ。
厳しい審査員、または競合同者、顧客など『サメ』の泳ぐ透明の水槽に自ら飛び込んで生き残ると言う趣旨のタイトルだ。
https://abc.com/shows/shark-tank/about-the-show
審査員は、すでに各界で成功したビジネスマンたち。バスケットボールチームを所有するお金持ち(左から二番目)もいれば、中西部で貧しい家庭に育ったがそれをバネにしてテレビショッピングチャンネルに君臨する女王となった人も(緑のドレスの人ね)。
雑談中になにか面白いアイデアについて語っている人がいたら、シャークタンクに出てみたら???なんて言うのがジョークになるくらいよく知られていて、そして実際たくさんのヒット商品が出ている番組だ。
とにかく毎回面白いアイデアが持ち込まれるが、私が記憶に残っているのは、コロンビア・ビジネススクールを出てともにゴールドマン・サックスに勤めていたものすごい美人二人。下の写真の通りだ。
シャーク・タンクブログよりhttps://www.sharktankblog.com/business/solemates/
彼女たちが持ち込んだアイディアは、ガーデンパーティや戸外の結婚式でハイヒールが芝生にのめり込んでしまうのを防ぐプラスチックのキャップ。二人してウォールストリートを退職し商品開発と起業に取りくんだと言うストーリーだ。
ワハハ、こんなのまさかねー、と思っていたら複数の審査員が興味を示して市場デビューした。今では3000以上のお店やアマゾンで商品を取り扱っているらしいが、後日談によると結局テレビでのオファーは受けず、出演により伸びた知名度を活かしての成長ということだ。
ちなみに商品はこちら👇 値段は1セット10ドルだ。高いのかお手頃なのかちょっとわからない。ハイヒール持ってないし。
シャークタンクに出演はしていないが、私の周りでもいくつか
?????!!!!!!
と思うビジネスを見かける。人づてに聞いたり、その会社のトラックを見かけたりするのだが、先日信号で私の前に止まっていた車を見てぎょっとした。その車には、
Poop Scoop プープ・スクープ
と書いてある。プープはうんち、スクープは拾う、である
なんと「あなたのうんち拾います」業。いや、ごめん、正確には「あなたのわんこのうんち拾います」。
https://poopscoopguys.com/ よりうんち拾いチームメンバーの皆さん
週に一度、庭に散らばったわんこのうんちを回収に来てくれるというサービスだが、うーん、利用者がいるから成り立っているのであろう。操業は2014年とかいてあるからもう9年間も順調にやっているということだ。
庭の広さによるらしいが噂によると毎週来てもらって月にかかる費用は50ドルから、ということだ。
1週間も放ったおいたら自分かわんこが間違って踏みつけてしまわんか?そしてうんちを拾うのが嫌な人が犬を飼うというのはいかがなものか?庶民の私には理解に苦しむが、この会社のファイナンシャルは公開情報がないので顧客数、売上ともに不明。でも小さな会社が9年続いているというのは大したものだ。
うんちではないが、こちらの会社は生ゴミを週に一度、または隔週で回収してくれるというビジネス。そのご褒美?として、春には5ガロン(約19リットル)のコンポストを届けてもらえる。
最近この辺で深緑色のトラックをよく見かけるのは
Java’s Compost ジャバ・コンポスト
と言う回収サービスの会社。5ガロンのバケツを貸し出してくれてそれにキッチンの生ごみを放り込んでおく。毎週回収に来てもらう場合は月52ドル、隔週は36ドル。春に届けてもらえるコンポスト5ガロンの値段は大体25ドル位だろうか。ほとんどおまけと言う感じである。
以前聞いた別の会社では回収した生ごみの量に見合ったコンポストが届けてもらえると言うことであったがどうもそちらは潰れてしまったらしくウェブサイトが見つからない。
Javaのほうは、家庭だけではなくレストランやお店からもピックアップサービスをしているので大量に集めた生ごみで相当なコンポストができているに違いない。
翌春に地に戻して野菜を育てる助けとなり、家庭ゴミの約3分の1を占めると言われている生ごみが捨てられずに再利用されると考えると、これはビジネスでありながら環境保護のために毎月生ごみを捨てずに回収に来てもらっている顧客参加型のモデルと言える。
https://www.javascompost.com/ より
操業から今月までですでに1,250万キロの生ゴミを再利用したということだ。これはいいね。上の「LBS」はこちらで使う重量の単位、ポンドのこと。ポンドは約450グラム。
3つ目は、家の飾り付け業者。テレビや映画でご存知と思うが、ホリデーシーズンにはアメリカは家の周りや前庭にたつ木にイルミネーションの飾り付けをする。10月末のハロウィンの時期にもオレンジの電球で家をライトアップしたりお化けやお墓の凝ったデコレーションをする家も多い。
私たちも子供が小さい頃は張り切ってガイコツやら大きなクモの巣やら飾ったものだったが、最近はその飾り付けを業者に頼む人が増えていると言う。
確かに近所を歩くととても素人の技とは思えない凝ったハロウィンの飾りが目に入る。クリスマスの飾り付けはかなり前から業者に頼む人がたくさんいたが最近はハロウィンもだ。
https://sports.yahoo.com/christmas-halloween-govee-permanent-outdoor-131010215.html より
10月の初めに大きなトラックでハロウィンの飾り付けに来てもらいハロウィンが終わったらまたトラックがやってきて魔法のようにクリスマスの飾り付けに変えてくれる。
地域にもよると思うがウォールストリートで働く人たちが多く住むこの街では、最近は業者に頼む人が多くなってきた。お父さんが苦労してぐるぐる巻きにしたクリスマスの豆電球とはどう見ても違う美しい散らばり方のキラキラ光るイルミネーション。プロの仕事は一目でわかる。
https://www.forbes.com/home-improvement/holiday-decorations/holiday-light-installation-cost/
長者番付けで有名なビジネス雑誌、Forbes フォーブスのサイトによると、このホリデーシーズンにクリスマスの飾り付けをプロにやってもらった場合450ドルというのが全国平均。上は1200ドルくらいと書いてある。
ニューヨーク周辺は何でも高いので、多分お隣さんの飾りは1,000ドルはくだらないだろうな。高いな。あっ、ハロウィンもだと2倍の2,000ドルかあ。日本に帰る飛行機代が楽に出ますねー。
クリスマスといえば以前、前出のシャークタンクに出てきたサンタ帽子のおじさんを思い出した。彼のアイデアは、
これ。クリスマスツリーだ。大きさによるがもうすでに飾り付けの済んだツリーが3つの高さに分解されて届き、箱から出して磁石で積み上げコンセントに繋いだらできあがり、という商品だ。買い取りもレンタルもできるらしい。
ホテルのロビーに飾るような大きな豪華なものの買取値段は7,000ドルとサイトに書いてある。
Easy Peasy イージー・ピージー かーんたんよ!
のスラングをもじった会社の名前が可愛らしい。シャークの一人、ロバートさんからみごと資本参加のオファーを受け、会社は成長して現在の年間売り上げなんと2億円超。
アメリカでは11月の第三木曜日が感謝祭に当たる。これは日本のお正月のように家族がみんな顔を合わせる大事な祭日だ。宗教色がないので、唯一アメリカ全体が一緒に祝う祭日である。
その翌日がかの有名なブラックフライデーだが、この日はクリスチャンの家庭では家族でクリスマスツリーのショッピングを始める大事な日でもある。森の裾野や農場、またはまちなかの空き地に特別に設けられたクリスマスツリー売り場に家族ででかけ『これにする?それともあっち?』とビビっとくる枝ぶりのツリーを車の天井にくくりつけて家に帰る。11月末の風物詩だ。
おばあちゃんのその前の前の世代から伝わったもの、自分が生まれた時にもらったもの、去年から行き始めた息子の大学の名の入ったもの、とありとあらゆるオーナメントを出してきてみんなで飾り付けをするのが風習だけど、ま、はっきりいってめんどーだ。
切ってきたばかりのツリーは香りはいいが松脂はたれるし、クリスマスが終わる頃には枯れてき細かな葉っぱが床に散らばる。
1月の初めは自治体で『クリスマスツリー回収日』というのがあり家の外に出しておくと持って行ってくれる。
こういうの全部すっ飛ばしてイージー・ツリージーをレンタルしたり、家の飾り付けもお任せ。そう言えば今年のハロウィン、子供のコスチュームに手作りのものはあまり見なかったな。
社会のスピードがどんどん早くなって、子供がまだ小さい年代のお父さんお母さんたち、わたしたちの世代よりもとても忙しそうだ。
やっぱりそんなところから小さなビジネス思いついてシャークのたくさんいるタンクに飛び込む人が後をたたないのだろう。
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