なんちゃってニューヨーク

アメリカの大学1年生は、大学で寮生活をするのが主流だ。その寮は、学校のお休みには留学生などを除いて基本的には閉鎖されてしまい学生たちは行き場がなくなるので、帰省するか、他に滞在の手立てを自分で調達する必要がある。

それもあって上級生になると、お休みごとに荷物をまとめて一度退出しなくてはいけない煩わしさを避けるため、自分たちでルームメイトを見つけてアパートに移り、長い休みにも帰省せずバイトや旅行をする、というライフスタイルに移行する子が多い。

そんな上級生たちも含め、このホリデーシーズンは民族大移動さながら大学へ巣立っていった子どもたちがワラワラと帰ってくる季節だ。

我が家の下の子も、昨日沢山の荷物を抱えて戻ってきた。車で1時間10分という便利な場所の大学に行ってくれたおかげで、この民族大移動もそんなに負担ではない。

カリフォルニアやテキサスに行ったと思ってご覧よ？飛行機だしさ、たいへんよ？こういう時期に限って飛行機は遅れたり、キャンセルになったり、オーバーブッキングだったり、空港の混乱に関わらなくて済むのがありがたい。

それでも昨日は大渋滞で、時間はいつもの倍かかった。

夫と二人で地味食にすっかり慣れていたが「お母さんのとんかつが食べたい」と言われると張り切っちゃうじゃないですか。残りはカツ丼にできるし、と8枚揚げたらあっという間に全部なくなった。実は地味食が物足らなかったらしい夫もガツガツ食べていた。

夫は最近、そういや時々「謎の用足し」にでる。

run errands 用足しをする

という熟語、高校で習いませんでしたかー？an errand イランド、errandsイランズ、単数複数どちらもなんとも曖昧でとても便利な言葉だ。郵便局だったり、買い物だったり、図書館行ったり、ガソリン入れに行く、クリーニング取りに行く、などちょこまかとした用事の総称。

夫には取りに行くクリーニングはないし、図書館もデジタル本。郵便局なんて、切手の値段だって知らんだろう夫になんの「イランズ」があるというのか。

それを時々

I am going to run some errands. 　ちょっと用足しに行ってくるね

と出かける。そして「ついでにランチも食べてくるから今日はお昼いらないよー」。

なーる。買い食いだ。大根やそぼろに飽きた頃、なみだぐましい隠匿工作をしてアメリカ食の買い食いに。食べ盛りがいなくなったのを良いことに我が家は99％、シェフ（私）の食べたい物、つまり和食へと切り替わっていた。

さて、今日はこれからスーパー行きます。買い物リストに「べーこん、ソーセージ、クリームチーズ、ぽてち」などここ4ヶ月、エンプティネストには必要なかったものが並ぶ。

パスタ好きの子がいなかったのでそう言えばグルテン摂取量も減っていたな。ちっ、せっかく食生活が改善してたのに冬休みの間はアラ還には重い食事が増えるな。

と言いながら、みんなで頬張るとんかつはやっぱり美味しかった。高校時代の友達とも楽しい予定が入っている様子。グループ内で付き合っていた二人が最近別れてしまい、そうすると1人女の子のほうが来れない、それって変だよね、と言ったりする。

で、その別れた方の男の子、うちの子のヨミでは「やっぱり自分はゲイだって気づいたんだよー（笑）」ということだ。女の子と付き合い出したときにびっくりしたんだ！って。で、ワタシも「やっぱりさ、ほんとに好きだったのはアンドリューくんだったじゃないの？」「え、どのアンドリュー？まさかああ〜」と話が盛り上がる。

エンプティネスト、はっきりいって最高！と思っていたが、大学に行ってすっかり大人び、なんと野菜も食べるようになって帰ってきた末っ子にでろでろと絡み、いそいそとお世話を焼かせてもらうのもまた楽し。

色気づいてきて「髪の毛の乾燥が気になる」という。「まだ濡れてるときにちょっぴりヘアオイルを付けてから乾かすといいのよ」と日本のテレビで仕入れてきた情報を、さも「お母さんの知恵袋」ふうに披露。

今日のご飯のリクエストは「ポルペッタ」。なんのことはないミートボールのスパゲッティだ。

あーパスタ、この一ヶ月、私は気持ちもお腹も一回り大きくなること確定だ！

P.S. うちの子たちのグループは音楽・演劇・オタクの集まり、ゲイあり、オカマあり、トランスありのカラフルな子たちで親同士もみんな知り合い。だから決して「ゲイだよね〜！」という発言にはなんの含みもございません、ご了承のほど！！