アメリカのホリデーシーズンはとにかく「慌ただしい」の一言に尽きる、とこちらに居を構えて30年経つ今でも毎年それを実感する。
忙しいのも慌ただしいのも11月末の感謝祭に始まるこの季節の風物詩、ポッカリと私の人生から抜け落ちてしまったら寂しいだろうが、うーん、なんていうかもう少しトーンダウンしてもらっても構わないなと、かくれ繊細さんの私としてはそう思う。
とにかくぎりぎりの買い物に走らなくてもいいよう、でもおもてなしの食材がそれまでに悪くなってしまわないよう、微妙に早めに買い物に出るが、そういう人は私だけではないのでスーパーもコストコもさながら戦場、というくらい混む。時間帯を考えていけばいいのだろうが、端っこまで車が詰まった駐車場を見るとげんなりくる。
コストコは長年の経験から、お店に近いところに停めようなんて考えはすっぱり捨てたほうが賢い。駐車場の隅に空いているスポットがあればささっと停めて、巨大な駐車場をウォーキング・エクササイズをしているつもりで歩くのが良い。
sharking シャーキング(サメが海で獲物を探してゆったりを泳ぎながら目星をつける行為)
「駐車スポットを狙って獲物を探す」
という言葉もあるくらい駐車スポット争いは壮烈だ。お店から買い物をカートに積んで出てた人の後をゆっくりとついて泳ぎ、空いた瞬間にスポットに滑り込む、これがシャーキング。
このシーズンには前方、後方の両方から二台の車が同時にシャーキングをしている事も多々あり、そこでトラブルに発展しないまでもクラクションを鳴らす、中指を立てる(Fxxx You)、私は窓を開けて怒鳴られたこともあるし、なんと友達は窓につばを吐かれたことも(笑)みんな真剣なのだ!
Farking ファーキング
という言葉もある。Far 遠い、と Parking を引っ付けたこの言葉は、実はミニクーパーを運転する私は気をつけないといけない行為。
小さい車をスポットの前に詰めて止めると、駐車場後方から入ってきた人たちには車のおしりが見えず『あ、空いてる!!!』と急いだら、実はちんまりと小型車が収まっている。
Farking してんじゃねえよ、バカ!!と腹がたつ…..
遠くに止めて歩けって!?と思うんだけど、なんかね、お店の近くに停められた勝利感、っていうのが邪魔をするんだよね。
ニュージャージーでも道もお店も混むんだから、マンハッタンの状況は想像に難くない。それも風物詩、ということにしておこうか。
マンハッタンは言わずとしれた南北に長細い島であるが、ローワーマンハッタンからセントラルパークのあるアッパータウンに向かって真ん中辺りに五番街が走っている。
冒頭の写真、ニューヨーク大学付属小児病院の前に立つダルメシアンがニューヨークキャブを鼻ののせた大きなオブジェ。こちらは一番街の右に位置するFDRドライブという「なんちゃって」高速道路走行中に取った画像だ。めちゃくちゃ混んだマンハッタンの中心部を避けて上下に移動したいときはこちらがおすすめの、マンハッタン島の右端を走る道路だ。
五番街の右側は四番街、かと思いきやマジソン街、その右はパークアベニュー、レキシントン街と続き、四番街はなくて、三番街、二番街、一番街と続く。
五番街の左には素直に数字の六、七、八番街が続くけど、そこに五番街と六番街を斜めにまたぐブロードウェイが挟まる。
でね、このあたりに引っ越してからかなり経ってから、それらの道はほとんどが一方通行であった!と知ったときのオドロキ。
五番街はアッパーからローワーに向けて南向きの一方通行。それを基準にして上向き、下向きが左右に交互に走るが、パークアベニューだけは両側通行。
ややこしいったらありゃしない。下向きに走る五番街にいるんだけどアッパータウンに向かいたいときは、横に走る『丁目』のつく道を1ブロック歩いてお隣の道からタクシーを拾ったほうがいい。信号や他の車やJウォークをするZ世代を避けて、車で反対方向の道にたどり着くのは徒歩よりよほど時間がかかる。
近年の温暖化でそんなことも少なくなったが、その徒歩で冬季に気をつけないといけないのが
Manhattan Soup マンハッタン・スープ
と呼ばれる現象。
歩道の整備がいまいち行き届いていないマンハッタンでは、信号で途切れる歩道の凸凹とした段差が目立つ。雪が降るとその段差に雪がつもり、排気ガスやらなんやらで瞬く間にグレーに変色、それがとけると雪とシャーベット状の氷とまざってなにがなんだかわからんシロモノとなり、土なのか、ブロックなのか見分けがつかない。
信号が青になった途端に、もちろん『固形』だろうと思ったそのものが実は溶けた雪でできたスープ上の液体だったとわかったときにはもう遅く、じんわりと冷たさの伝わってくる足首から下を見て途方に暮れる。
これも風物詩…..
肝心のホリデーについてはまた次のブログで!
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