なんちゃってニューヨーク

普通の人のアメリカ生活


師走(シワス)のオアシス 序編

シワス、とオアシスは韻を踏んでるわけでもなんでもないんだけど、この語感がおかしい。忙しいホリデーにひととき、2時間足らずだけれど好きな音楽を聞き、まさしくオアシス!?というような素敵な時間を過ごすことができましたというお話です。

男女格差があまりないと言われるアメリカでも、やはりホリデーの準備や家族へのギフト、イベントの段取りなどはお母さんや女性メンバーに比重大きくのしかかる。

ホリデーが終わったとは、楽しかったなあと過ぎた時間を噛みしめると言うよりは「あー終わった….」ととにかくホッとする。

準備で心もワサワサしていたわけだが、やはり自分も楽しいホリデーらしいことがしたい。クリスマスのちょうど1週間前、アッパーマンハッタンで開かれたコンサートのチケットを取ることが出来た。

ピアノは、日本でもよく知られている

Emmanuel Ax エマニュエル・アックス

世界的にすごいピアニストなのにいつもニコニコと感じの良いおじちゃんだ。ヨーヨー・マとも何度もコンビを組み、CDもたくさん出ているのに、タキシードがイマイチに似合っていない(すまん)おじちゃん。

彼のピアノと、ニューヨークフィル所属の弦楽カルテットによるドビュッシーとシューベルトの静かな曲のコンサートだった。

夫は70年代のロック世代育ち、クラシックはあまり馴染みがない。その夫を捕まえて曲目やらなんやらのウンチクを垂れていたわけなんだけれども、「あゝ勘違い」の記憶をさも事実のように披露して、後で間違いがわかって自分でぎょっとするという事件があった。

コロナの前にもアックスさんのピアノを聞きに行った。その時私の記憶の中では、ピアノの前には椅子がおいていなかった。アックスさんが舞台横から電動車椅子で出てきてちょこりとお辞儀をすると、そのままピアノの椅子の位置まで進むと車椅子を固定していつものにこにこで弾き始めた。目に浮かぶはっきりした記憶だ。

だから今回も、車椅子で出てくるとばかり思っていた。予めアックスさんは車椅子なのよ、だからピアノの前には椅子がないはず、と夫にエラソーに言ったのに、ちゃんと椅子がある。前座の人のため?

拍手がして、あれれ?ゆっくりだけど、杖もなく真っすぐ自分の足で歩いてくるエマニュエルおじさん。手術で治ったのかしらん!

インターミッションに車椅子の件をググる。エマニュエル・アックス、車椅子、と入れるがな~んもヒットしない。車椅子だったという事実はどこにもみあたらない。私の頭は???でいっぱい。

コロナ前のコンサートにご一緒した人は、ジュリアード卒の音楽家。音楽界の内情に詳しい彼女が「アックスさんはリンカーンセンターの直ぐ側に住んでいて、コンサートがあるときはしゅしゅしゅーーーーと車椅子でやってきて、ちょろちょろちょろーーーーと弾いて、おわったらそのまま数分先のアパートに戻るんだよ」と教えてくれた、という記憶まである。ご丁寧に。

おかしいなあ。「アックス、車椅子」で更にググる。そしたらやっと。「車椅子で演奏するバイオリニスト、イツァーク・パールマン」と共演するアックスさんの写真が出てきた。

あ…..そう言えばコロナ前のコンサートは、アックス+パールマンであった。そうか、車椅子だったのはパールマンさんだったのかい….!!

キャー怖い。完全に記憶を書き換え、私の中では「事実」となっていた。

こういうこと、年取ると増えていくのだろうか?認知バイアスってやつ?ヤだねー。事実じゃないのに確信持って教えてしまい、実際にアックスさんを見に行かなければ夫の中では「アックスさん=車椅子のピアニスト」としてインプットされていたわけだ。なんてこった。

ということは至近のアパートからリンカーンセンターに出勤し、通勤数分、1時間弾いてなんぼ、という話はパールマンさんだったのか?ジュリアードに聞いてみなくては。

肝心のオアシス、アックスさんとカルテットのすばらしいコンサートについて書くつもりだったけど….。完全に脱線しちゃったので、仕切り直して「オアシス本編」は次のブログで!



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ニューヨークから40分南に下ったニュージャージー州から発信。だから「なんちゃって」ニューヨーク。マンハッタンのおしゃれな情報をお探しの方は他にたくさんブログがありますのでそちらをご参照くださいね。元・MBAの仕事人、在米約30年のアラ還。アメリカ人の夫とエンプティネスト元年を満喫中。わんこ3匹で毎日がわや、普通の人のアメリカ生活の記録です。

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