写真:https://www.nytimes.com/2024/04/16/nyregion/trump-hush-money-case-jurors.html
前回のブログに書いた通り、歴代大統領の中で刑事起訴をされたのは45代大統領トランプのみ。なのにもしかしたら47代大統領になっちゃうかも、というのがアメリカのよくわからんところだが、この月曜日にとうとう刑事裁判プロセスのファーストステップ、陪審員選びが始まった。
日本で数年前から導入された「裁判員」制度と似て異なるアメリカの陪審員制度。日本は裁判官、裁判員が合議して多数決で判決が下りるがアメリカは原則として12名の陪審員の全員一致が求められる。だからたった一人でも反対意見の陪審員がいたらその人が意見を翻すまで延々と
Deliberations デリバレーションズ (合議)
が続く。それでもどうしても
Verdict バーディクト (全員一致の評決)
に至らない場合は判事が
Mistrial ミストライアル(無効審理)
を宣言して陪審員は解散、新しく12名の陪審員選び、つまり振り出しに戻る….。
だからトランプ側としては一人でも味方がいて大暴れしてくれたらミストライアルへと持ち込めて、大統領選の前に不利な判決が出ることを避けられる。「有罪が証明されるまでは無罪」を信じるトランプ支持者の中には、「有罪判決が出たらトランプに投票しないかも」という人もいるのだよ。
はっきり言ってその線引き、わたしにはよーわからん。どう考えてもさ、刑事起訴をされるだけの証拠があった人に大統領になって欲しいとは思わんよ。
陪審員選びは普通は弁護士とコンサルタントが行い、被告人がどっかり一番前の席に座ってジロジロと陪審員候補を品定めする、というのは稀だがトランプは大統領選挙集会を休んでまでもニューヨークに滞在し、連日怖い顔をして座っている。
実際に会うとテレビで見るよりも相当ガタイがでかいらしいトランプがトレードマークの分厚いファンデでも隠せない不機嫌顔で、入ってくる陪審員候補にひとりひとり睨みを効かせ、一度はなにか発言したらしいトランプに裁判官が「陪審員候補を脅かすような行為はわたしの法廷ではゆるさないぞ」と彼をだまらせる場面もあったそうだ。
昨日のブログに書いたように自分に有利な陪審員がいるというのがこの裁判のツボ。彼も必死なのだ。
昨日までで7人の陪審員が決まったという。難航すると思われた陪審員選び、被告・原告そして裁判官がそれぞれ「陪審員拒否権」というのを持っていて、この人は絶対だめ!と10人まで拒否できるそうだ。もう昨日までで半分くらい拒否権は行使してしまったということなので、この数日中には陪審員が決定、来週月曜には
Opening Statement オープニングステートメント 冒頭陳述
の運びになるのでは、ということだ。
大統領選挙に勝ち、就任までなんとか判決を持ち越せばトランプは自身に大統領恩赦を与えられるとあり、現在受けている連邦起訴について弁護団はなんやかんやといちゃもんをつけてプロセスと送らせることに余念がない。
が。このニューヨークの起訴は連邦政府ではなくニューヨーク州による起訴なので、ふふふ、大統領恩赦はできないのだ。だから大統領となった後でも(考えたくもないが)審理は続くし、有罪判決が出る可能性もある。これって前代未聞だよ。
写真:https://hyperallergic.com/813359/courtroom-artist-jane-rosenberg-on-her-viral-sketch-of-trump/
陪審員選びに世間の注目度は高く、昨日は法廷に出入りを許されたスケッチアーティストのクリティン・コーネルさんという女性がインタビューを受けていた。選ばれた7人の陪審員の一人が「アジア系の若い男性」とかうっかり言っちゃってたけどいいんだろうか?
なんとこのスケッチの人、このトランプのみならず何十年も女優たちにセクハラを続けた映画プロデューサー、ハービーワインスタイン、英国のアンドリュー王子も関わったあの有名なエプスタイン事件と、とにかくめっちゃ悪い人たちのスケッチをもう何十年も続けている。仕事と割り切れるんだろうか。私だったら毒気にやられて自分が病気になりそうだけどね。
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