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トランプ忙しそう

先日のブログで、大統領選の予備選抜であるアイオワ・コーカスとニューハンプシャー・プライマリーについて書いた。

一昨日の保守党アイオワ・コーカスの結果は下の表の通り。

ひょっとしたらひょっとして、という期待はやはり裏切られ、大方の予想通りのトランプ圧勝だった。次点はフロリダ州元知事のロン・デサンティスだが30%の差を付けられてしまった。トランプにとっては幸先のいい出だし。

Photo: Fox News

4位のラマスワミー候補者はその夜大統領選レース脱退を表明しトランプ支持に廻った。ということは彼の支持者の票は主にトランプに流れると予想される。

先日も書いたが、この2つの予備選抜は大統領選の今後を左右する大きなマイルストーンなので、各候補者はかなりの資金を費やし、コーカスの直前は早ければ1週間前にはアイオワ入りして集会所をくまなく巡って票の獲得に励む。

アイオワが終わったその足で候補者はそそくさと活動をニューハンプシャーに移し、ニューハンプシャーでの予備選抜『プライマリー』に向けての準備に移る。

候補者たちのすごい体力、特にトランプ

この2州を皮切りに各州での熾烈な予備選抜へと突入していくわけだが、全国を飛行機や選挙バスで縦横無尽に飛び回り、テレビに出演し、インタビューを受け、その度に賢そうなことを言わなければならない、女性のニッキなんてメイクやヘアだってそのたび大変だろうしさ。自宅のベッドで寝ることなど2年くらいなんじゃないんだろうかというような候補者たち、もう見ているこちらが疲弊する。体力がなければ無理だ。

考えただけでくらくらする。24時間スタッフに囲まれて、十分な睡眠なんて取れそうもないし、旅先での食事ってお腹にも来そうだしさ。アメリカの小さな町を巡ってそこの名物料理や町一番お菓子作りがうまいおばあちゃんのアップルパイなんかを美味しそうに頬張ったり、そういうのだってキャンペーンの一部だ。

トランプの忙しさはまた別格

でもね、他の候補者はまだ選挙にだけ集中していればいいわけで、トランプ….。訴訟まみれの彼は現在起訴されている各地の裁判所の出頭日程というのが別にあって、その合間を縫って集会だのなんだのと選挙運動。

あのトシでまあ忙しいったらありゃしない。顔色は妙なオレンジ色、どう見ても肥満体型でジャンクフードが大好き、エクササイズは嫌い。だいじょうぶなんろうか。

アイオワが終わって他の候補者がニューハンプシャーに向かう中、トランプが向かったのはニューヨーク。翌日早朝にはニューヨーク市の民事裁判所に出頭が決まっていたからだ。

バーグドーフグッドマンでの出来事

昨日からの公判は、トランプに性的暴力を振るわれたという女性が起こしている民事裁判…..それも同件で二回も訴えられている。

原告は、E. Jean Carrol  E. ジーン・キャロルさんという80歳の女性で、 ELLE などの女性誌にコラムを書いたりテレビ番組にコメンテーターとして出演していたジャーナリストの女性。トランプとは顔見知りだったらしい。90年代に5番街の高級デパート、バーグドーフグッドマンの試着室で鉢合わせし、そこでトランプに暴行されたという。

E.Jean Carroll (BBC)

トランプが大統領に出馬した2016年に、大統領になれるような人格ではない、とかなりの数の女性たちがトランプによる過去のセクハラや暴行の事実を告白したのだが、トランプ陣営は、罪状を認めるどころか、あらゆる手を使って相手の女性たちへの誹謗中傷へと関心の矛先を向けようとした。オンラインで叩かれたり、実際に付け狙われたりと自宅にいられなくなった女性もいる。それらの多くは暴行自体については時効となっているが、数人の女性が名誉毀損の損害賠償を求めて裁判を起こしている。キャロルさんもその1人。

トランプの強姦については証拠不十分であるが性的暴力はあったとされ、名誉毀損などで昨年10月にトランプには合計5ミリオンドル、日本円で7億円の賠償金をキャロルさんに支払うよう判決がおりた。

その夜に出演した全国版のテレビで、トランプは判決への不服を述べ、彼女を

Whack job ワック・ジョブ 狂人

と呼び、話は全くの作り話であることを再度強調した。これに対し、キャロルさんは新たに10ミリオンドル、14億円の追加賠償を求めて民事裁判の判決後再開を申し立てた…..。

トランプの態度が悪くて裁判官がご立腹

今日はその公判の二日目だったのだが、決してたてついてはいけないと言われている法廷でトランプの態度の悪いことと言ったら…ニュースキャスターもびっくりしていた。キャロルさんの尋問の最中に『でっちあげだ、いい加減にしろ』とか『これは罠だ、まるで魔女狩りだ』などど何度も発言妨害をし、とうとう裁判官が『これ以上妨害を続けるのなら、出て行ってもらうしかありませんよ』。

今日リリースされた法廷スケッチの一部

Photo : NBC   Credit: Christine Cornell

判決を左右する裁判官から厳しく『出て行ってもらいますよ』と言われたトランプ、『喜んでそうしてもらおうじゃないか』。裁判官は『そうなんでしょうね、あなたは自分をコントロールできないんですもんね』。

で、ランチのため一時閉廷。

トランプの弁護士がランチ後の法廷で、「裁判官の態度が悪く被告側に敵意を持っている」のでこの判決過程から辞退するべきだ、と申し入れ、即座に却下されていた。ここまでやるかね、すごいね。

もう判決の行方はわかっているようなもんだが、うーん、ま、どうなるかね。分かり次第アップデートしますね。

そう言えば先週も同じことしてた

他の候補者に比べコーカスがあったアイオワ入りが遅れていたのは、これまた前日までニューヨークの裁判所にいたから。これは別件のトランプの会社が長年金融不正を働いていたという訴えで、これに敗訴すると巨額の賠償金と、なんとニューヨークでのビジネスライセンスを剥奪されてしまうというかなり真剣な裁判。

本人の出頭は求められていなかったにも関わらずトランプは鼻息荒く現れて、被告人の発言を許されていないのに立ち上がって不満をとうとうと述べた。裁判官は1分だけ発言させたあとトランプの弁護士に向かい、

Control your client. 被告人をちゃんとコントロールしなさい。

ここは自分の政治集会ではないのだからそのような政治的スピーチはやめさせるように、と静かに言ったそうだ。裁判官を怒らせたらまずいはずなんだけど、そういうの頭に血が上ったらわからなくなっちゃうみたいね?

で、その足でアイオワ行って、圧勝して、ニューヨークに戻り、裁判所に出頭して、また裁判官と喧嘩になり、明日か明後日にはニューハンプシャー。すごいな….。

ご近所で悪さ

Bergdorf Goodman (Wikipedia)

キャロルさんの話に戻ると、事件のあった高級デパート、バーグドーフグッドマンは、トランプがその頃居を構えていた5番街のトランプタワーの数件先だ。キンキラキンのトランプタワーの左隣はあのティファニー本店。そして細い道を渡ったとこに大きなルイヴィトンがあって、セントラルパーク寄りの隣のクラシックな建物がバーグドーフグッドマン。

そこに歩いて行って試着室で暴行だなんて。数件先の自宅には奥さんもいる。ほんとに全く、なんていうか、言葉が、ない….



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ニューヨークから40分南に下ったニュージャージー州から発信。だから「なんちゃって」ニューヨーク。マンハッタンのおしゃれな情報をお探しの方は他にたくさんブログがありますのでそちらをご参照くださいね。元・MBAの仕事人、在米約30年のアラ還。アメリカ人の夫とエンプティネスト元年を満喫中。わんこ3匹で毎日がわや、普通の人のアメリカ生活の記録です。

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