皆さん、あのブラッドリー・クーパー、実は出身地のペンシルバニア州フィラデルフィアの名物サンドイッチ
Philly Cheese Steak フィリー・チーズステイク
を売るフードトラック会社を共同経営しているということをご存知だろうか。撮影のないオフシーズンには、Danny and Coops ダニーアンドクープスと言う名のフードトラックに彼自身が乗ってマンハッタンの各地に出没するらしい。
極めて庶民的なフィリー・チーズステイク（ステーキ、ではなくあえてステイクと英語風に発音していただきたい）が売り物のトラック、サンドイッチを受け取ってみたら作ったのがブラッドリーだったというオドロキの声もたくさんTikTokにあがっている。
「フィリー」とはフィラデルフィアのこと。薄切りの牛肉を玉ねぎとピーマンとともに炒め、チーズを載せてとろりとしたところを
Sub サブ
と呼ばれるコッペパン型のパンのお腹に切れ目を入れて挟む。Submarine 潜水艦の形をしているところからこの名がついたパンだ。ピクルスやハラペーニョなど、トッピングは店によって特徴がある。
上のインスタ画面のブラッドリー、
Afternoon, Brad-heads! Com’on down, get a Cheese Steak!
Brad-heads ブラッドリーファンのみんな！チーズステイク食べに来な！
と、透き通るような青いお目々でおっしゃっている。この映像はウェストサイドの3番街と6丁目の角ということだ。最後に聞こえる「だみ声」は共同経営者と思われる。「こいつ、チーズステイク作るの上手いんだよなー！」。
映画マエストロについて
このブラッドリーさん、最近主演した映画、
Maestro マエストロ：その音楽と愛と
かの有名な指揮者、レオナルド・バーンスタインの半生を描いた映画が色んな意味で話題になっている。
By Jack Mitchell, CC BY-SA 4.0 wikimedia.org
公開前の前宣伝もなかなかだったので見るのを楽しみにしていたんだけど、ワタシ的にはイマイチだったのよ。
「アリー・スター誕生」でのブラッドリーを見ていたので演技力に疑いはなかったけれど、今回は「演技力がありすぎてお腹いっぱい」とでも言おうか。バーンスタインさんになりきろうという意気込みが重すぎて、もう、その辺でいいから、疲れたでしょう….？と気の毒になってしまったのだった（笑）
そう思ったのは私だけではなかったようで、いかにも
Oscar Bait オスカー・ベイト オスカー（アカデミー賞）狙い
過ぎてしつこすぎる、という映画批評がたくさん上がっていた。そう、そうなのよ！アカデミー賞は、コテコテのドラマチックな映画に行くことが多いと言われていて、このマエストロも、いかにもアカデミー受けするでしょう？演技すごいでしょう？この特殊メイクもすごいでしょう？細部にも凝ってるでしょう？？と2時間半以上（これがまた長いんだよ）言われ続け、演じる方も見る方も疲労困憊なのであった。頑張りすぎ。
アカデミー賞はどうなるか
By https://collider.com/maestro-bradley-cooper-carey-mulligan-poster/wikipedia.org
でも、おかげさまでアカデミー賞作品賞にはノミネートされた。今日発表された作品賞ノミネート映画は以下の通り（ABC順）。
- American Fiction アメリカン・フィクション
- Anatomy of a Fall 落下の解剖学
- Barbie バービー
- The Holdovers ザ・ホールドオーバーズ
- Killers of the Flower Moon キラーズ・オブ・フラワームーン
- Maestro マエストロ：その音楽と愛と
- Oppenheimer オッペンハイマー
- Past Lives パスト ライブス／再会
- Poor Things 哀れなるものたち
- The Zone of Interest 関心領域
主演男優賞にもブラッドリーがノミネートされている。主演男優賞ノミネートは以下の通り。
- Bradley Cooper ブラッドリー・クーパー （マエストロ）
- Colman Domingo コールマン・ドミンゴ （ラスティン）
- Paul Giamatti ポール・ジアマッティ（ザ・ホールドオーバーズ）
- Cillian Murphy キリアン・マーフィ（オッペンハイマー）
- Jeffrey Wright ジェフリー・ライト（アメリカン・フィクション）
ゴールデングローブ賞は逃したよ
アカデミーに先駆けて、この間ゴールデングローブ賞の発表があった。お母さんと一緒に出席したブラッドリーの（お母さんの身長がブラッドリーの半分くらいしかない）「俺が主演男優賞でしょう」と言う余裕の態度がなんども映し出されていたんだけど、賞はオッペンハイマーの主演男優、キリアン・マーフィが受賞した。
やっぱりなああ….。ブラッドリーはなんと6年かけて指揮の仕方を勉強したと公開前のテレビ出演で何度も繰り返したらしいし、最初から最後まで細部にまでこだわりきっとバーンスタインさんが乗り移ったかのような演技だったのだろう。
でも、バーンスタインさんのドラマチックな人生を描くのに、いくらなんでもあそこまで似ていないとだめなんだろうか？似ていることにだけ集中しているような、そんな妙な気がしてくるブラッドリーのしつこい演技が最後にはイタ過ぎて食傷気味だった。見かけよりも人生の中身にもっと注意払っても良かったんじゃ(・_・;)
素人でさえこう思うんだからね、鼻についた人も多かったんじゃなかろうか。ゴールデングローブの助演女優賞は、奥さん役のキャリー・マリガンが受賞した。ふむ。ワタシ的には異論ありだけどさ。
By Eva Rinaldi – Flickr, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w
ブラッドリーは、演技はうまい、バーンスタインの一生もつぶさに学習して指揮の仕方も完璧に学んだ。6年もかけて構想を練った大河モノなのにイマイチの出来（と私は思う）だなんて、浮かばれないね。ライバルの受賞に悔しさを隠しきれなかった顔の映像が流れてディスられていたけど、アカデミーはどうだろう、賞がもらえるかね。2月の発表が待ち遠しい。
実はね、ブラッドリー、アメリカでも指折りの私立学校を卒業後名門大学に進んだ坊ちゃん育ち、ペンシルバニアの貴族さまだ。「アリー・スター誕生」の悲しいロック歌手、あのイメージが強かっただけにこれは聞いたときびっくりしたよ。
なんでフードトラックでフィリー・チーズステイク作ってんだ？？？
アカデミー賞ノミネートおまけ話
アカデミー監督賞にノミネートされると思われていたバービーのグレタ・ガーウィグが選から漏れ、同じくバービーのマーゴ・ロビーが主演女優賞のノミネートから漏れた。ライアン・ゴスリングは見事助演男優賞のノミネートだけど、あれって「主役」じゃなかったの？あのライアンは最高だった。
ハリウッドの思惑とお金でがんじがらめのアカデミー賞、実際の映画や演技の出来を表彰するイベントではなくなったと言われて久しいけど、どうかな、アジア系映画の Past Lives パストライブス、頑張るかな。日本でも公開されただろうか、ぜひ見てね。ワタシはちょっと泣いたよ、切なくて。この映画こそ、マエストロの真逆、全くアカデミーなんか意識してない感じの静かな暖かい映画だった。
さ、今日はここまで。
なんちゃってニューヨーク 
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