日本にちゃんと帰るから、と言われてアメリカ人の夫と結婚したが、東京駐在の3年間をのぞいてずっとアメリカに住んでいる。
日本語できる夫、小学校3年生程度できる長男、全くダメの下の子。私は両方の言語が怪しいセミリンガルとなり、文化的にかなりメチャクチャな家庭経営である。
お寺の幼稚園
長男は3歳から6歳まで、小さな紺色の制服に同じ色のフェルトの帽子を顎の下でゴムで止め、アンパンマンのバスで毎日楽しそうにお寺が経営する幼稚園に通った。最初はアメリカの保育園育ちがすんなり馴染めるか心配したけれど、なーんかその日から大丈夫だったナ。
やっぱり日本の子供って優しいし、外国に興味持ってる子もいてすぐにお友達になってくれた。
“Japanese school sport festival” by Ari Helminen is licensed under CC BY 2.0.
日本語がかなり劣っていた長男に英語のできる先生が時々通訳を買って出てくれたり、息子が多少変なことをしても新しい環境だもんね、と大目に見てくれた幼稚園のおかげだ。
夏の水泳教室では、着替え室でおちんちんの形が違う?と話題になったらしく、息子は「だって僕アメリカ人だもん!」って答えたらしい。それで周りも笑ってくれる優しさよ(´;ω;`)
何でも教えてくれて、先生も優しくて、至れり尽くせりの幼稚園時代、それも駐在が終わりに近づき、帰国したら長男がすぐ始めることになっているアメリカの学校制度について調べる時期が来た。
K年生???
実はアメリカの学校には1年生の下に「K」という学年がある。
これは1年間のみのキンダーガーテン「幼稚園」で、K学年は日本の「年長さん」にあたる。義務教育の一部だ。地域の税金などで賄われているため小学校、中学校、高校と同じく公立は無料だ。
年少・年中さんは公立学校の一部ではないので、基本的に個人負担で行かせない、という選択もある。実際は行かせない家庭はあまりなく、Kが始まるまでずっと保育園の大きい子クラスで過ごす子もいる。
学校案内にはよく
K – 12 ケイ・トゥエルブ
という言葉が出てきて、一体これ何?!!?と混乱した。 K-12 は「K年生から12年生」つまり公立学校の全学年をさす言葉。日本語にすると「年長さんから高三」だ。
同じ要領で日本語の「低学年」を英語にすると
K -3 ケイ・スリー
となる。
夫に聞いたら、あ!そうか、日本と違うもんね!夫にとっては当然のことをわたしがまったく知らないのだということに二人して愕然とした。
あの時点でのちのち経験することになるカルチャーショックのレベルをちゃんと予測・認識しておくべきであった…..
アメリカ公立小学校お昼ごはんのリアル
学校が始まった時、まず男の子のデカさにたまげた。どうみても同い年に見えない…..長男はおずおずと同じ列に並び、小柄なのと今度は英語がいまいちになってしまい頼りない。心細そうに立っている。
母親の方も全く事情がわからないので、ランチにはサンドイッチでもと思ったがパンは嫌、おにぎりがいいという。目立たない方が…..と思ったがおにぎりなら簡単に食べられるし?
というのもね、びっくりしないでね、ランチの時間はたったの15分だったの!
日本で並んで座って、ハンカチを膝に広げて、みんなでお箸を揃えて「いただきまーす」して和気藹々と1時間のお昼を楽しんできた長男にとってはもう何が何だかわからんという状態だったと思う。
案の定、手のつけられていないおにぎりを持って帰ってくるようになった。
こまったよ……担任の先生は話しやすい若い可愛らしい先生だったので、お昼を食べないんですが、と相談をした。
そしたらまた驚きのお返事が。
私はランチは生徒とは食べないのでわからないけど、ランチの監督さんたちに聞いてみるね。
ええええ、先生が子供とお昼食べないの!?
これも夫に聞いたら「あ、そうそう、ランチはランチルームで、監督の人はいるけど先生たちは先生のランチルームだよ」
そんなんはよ言うてや….。でも、ランチの時間って、教育だよね?日本だったら助け合って給食の用意をしたり、先生が野菜について教えてくれたり。何より、一緒に食事をすることで深まるつながりというもんが。
先生は勉強を教える人、社会勉強はカテゴリーには入らないというわけか。ランチの時間は先生たちの休憩時間、なんでこどもの世話なんかせなあかんの?という感じか。
せちがらいぜ…..
おフランスのスクールランチ
とまあ、ランチの驚きに始まったカルチャーショックの荒波に揉まれながら子供二人はなんとか公立学校を卒業し、それぞれ大学に進んだ。去年下の子が卒業したときには「つ、つかれた…..」というのがいちばんの感想であった。
やはり学校と学校制度や給食ほどその国のカルチャーを象徴するものは他にはないと思うのだ。ランチ事情、特にねー。日本とアメリカしか知らないけれど、フランスやドイツで子供さんを学校に行かせた方たちの手記など読むと、それぞれお国柄が出ていてびっくりしてしまう。
今調べたら出版は2014年ということだから、私も子供にもたせるランチに相当頭を悩ませていた頃に呼んだに違いないこの本。
「フランスの子供は何でも食べる」というタイトルのこの本は、パリで子供を育てるアメリカ人のお母さんがフランスの子供に偏食が少ない事に気づき、サラダ、スープ、メイン、チーズまたはデザートというフルコースで供されるスクールランチにその一因があるかもと探った本。
こりゃびっくりしたね、さすがフランス。学校でフルコース。そしてフランスの子供は学校から帰ったらフランスパンに板チョコはさんで食べるって知ったのもこの本だった。
フランス人の友だちに聞いたら「そうよ、ミルカのミルクチョコレートよ」。太っ腹に、まるまる一枚はさむ。ドイツのチョコだけど、まあいいか。美味しそうだし、なんかおしゃれ♥
自分が日本で学校に行ったのははるか昔。かなり変わったのにちがいないけれど「日本のランチは、子供たちがみんなでこんなふうに準備するんです!」なんていうYoutubeがたくさんあることを考えると、やっぱり今も日本はちゃんと変わらず、食事と、一緒に食事をする、ということの大事さを忘れていないことがわかってホッとする。
アメリカのスクールランチは、うちの子たちが通っているときにはアレルギー用のメニューはとても少なく、ピーナツのみ気をつけられていてランチルームにはピーナツ用品禁止のテーブルがあったいう記憶があるが、今は学校のランチにはレギュラー、グルテンフリー、大豆フリー、乳製品フリーの4種が提供されている。
とはいえかなり心配になる内容だ、と今、公開情報である学校区のランチメニューを眺めて思っている。私立の中にはランチの質が高くてそれが売り物というところもあるけれど全米のきっと5%にも満たないのでは。もしかしたらもっと少ないかも。
次回は息子たちが通った学校区のランチメニューをご紹介したいと思いマス。
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