なんちゃってニューヨーク

普通の人のアメリカ生活


迷えるアラ還の皆さんへ

人生に疲れた、と思うことは皆さんおありだろうか?そりゃー人生がすべて順風満帆という人はいないと思うが、あゝ、先週ニュージャージーの気温が氷点下10度まで下がったその日から、ワタシは例年にもまして重い

Seasonal Affective Disorder シーズナル・アフェクティブディスオーダー

の症状に見舞われてしまった。つまり季節性のウツなんだがウツといってしまうのは気が引けるので私は「季節性どよどよ」と呼んでいる。

悲しすぎる冬

四国育ちの私が東海岸に引っ越してきたその年からこの SAD(Seasonal Affective Disorderの略語)は毎年おなじみのイベント。1月後半から2月のまさしくSAD、悲しい状態には慣れていたはずなのだが、今年は気分のみならず体がだるくてすぐにごろりんこしたくなるかなりの重症。困った。

日頃から落ち着きがなくてチョロチョロしているのがデフォルトだから、だるくて動かないとなんとも言えない重い気分に襲われる。

何するのも面倒、「人生に疲れた…」という形容詞しか思い浮かばない時間を過ごしていたが、友人の「いい鍼灸師さんを知っているのよ」の一言に「おお、その手があった!!!!」と飛びついた。

日本ではマッサージに整体に鍼、人なみにお世話になっていたが、アメリカでマッサージに行くと上手な人に当たった試しはなくがっかりが多く、そのうち足が遠のいた。整体は、こちらではカイロプラクティックに当たるんだろうが、一度ホラーストーリーがあり絶対に近づかないことにしている。

鍼は、ハナからアメリカ品質を信用できなくて(中華街まで行けばものすごいおじいさんとかいると聞いているが)行こうと思ったことがなかった。

予約ゲット、そして施術

紹介のみ、というその鍼灸師さんに友達が連絡をしてくれると、すぐに診てくれるという。鍼専門の漢方女医さんだ。

タップリ2時間、コンサルテーション、ほぐし、鍼、そして最後にカッピングのフルコースを満喫して帰ってきた。

あゝどこから書いたらいいものか。

今日の私は別人だ!鍼がバリバリに効いて、朝から体中にエネルギーがみなぎり何でもできる気がする!というところまで行ってくれたら良かったけれど、体はまだなんとなくだるい。でも気持ちの方にものすごい変化があり、この気持ちの上昇が原動力になってだるさも無くなっていく予感がする。

終わった直後から、お腹の底にずっと抱えていた固い結び目のようなものが溶けて無くなった気がした。その固い結び目があったことさえ実は自覚がなかったにも関わらず、それがすーっと消えた感覚は不思議だった。

コンサルテーションが終わり、細い針をすごいスピードでいれていきながら先生が

You think too much, you worry too much. 考え過ぎで心配症ね

と言う。え?そうなの?足が冷たい、膝から下が冷たい、考え過ぎで血液が全部頭に昇っているよ、と言う。そう、私の足は何があっても夏でもいつも冷たくて、それに慣れっこで冷たいということも気が付かないくらい。そこにスタンド式の電熱器を当ててくれ、鍼を何本も指してくれて(多分)ホカホカと温まってきたときの快適さ。

鍼だけでなくまるでカウンセリング

多くは言わなかったが、きっと私の体を触るだけでいろんなことがわかっているのだろうと思う。背骨を伝いながら

Relax, relax、リラックス、リラックスしなさいね

と優しい台湾なまりの英語で言ってくれる。「パキパキよ」。同い年くらいでちょっと話した限りでは同じ頃にアメリカに来て、なんとなく家庭のバックグラウンドも似ている感じ、そんな彼女が言葉少なに時々つぶやく言葉が身にしみる。

Do you talk to your dogs? 犬に話しかける?

と突然尋ねられる。コンサルテーションの家族構成で「犬が3匹いる」ことはバレている。「いつも話してますけど」と答えると

Gooood, goooood.グー〜〜ッド、グー〜〜ッド。よしよし、いいわね。

と言う。冗談でもなさそう。これはきっと私の気持ち的なことに関する「深い質問」に違いないと自分の中でカテゴリ分けをした(笑)。これからも犬とはたくさん話すと決意。

アラ還は人生の過渡期、大きな節目

施術台から降りてボーッとしたところに暖かいお茶を出してくれて先生と話す。そこからが濃かった。

You are who you are and you have to accept it. 自分をあるがままに受け入れなさい。

え?それ、まさしく私の課題なんですけど。

You are enough. もういいのよ、もう十分頑張っているのだから。

ググっと来た。言ってほしかったんだと思う。誰かに。

私をこの20年間支配していたのは、学校が難しかった長男と自閉症スペクトラムの末っ子への世話と心配だった。末っ子の出産後は仕事に戻らず、子ども中心にやってきた。長男はとうに独立し、ずっと私達が世話をするのだと思っていた末っ子は、去年の夏、美大に進学してものすごい成長(ほとんど「大化け」)を遂げた。喜ばしいこと半端ない状況なのだ。なのに。

私を妙に支えていた「子どもへの心配」が一気に抜けてしまったのだ。今年は末っ子が手元にいない初めての冬。安心と、癖になってしまっていた心配と、考え過ぎの気質がなまりのように重く私の背中に張り付いたままだった。お腹は固く、膝から下は氷のよう。

自分に割く時間はなかった、今までは。

最後に先生はこういった。

You take care of yourself. Then you can relax, and your immune system improves. Kids are gone, it’s time for yourself. Do what you like. Do what you really enjoy.

自分ケアをしなさい。そしたらリラックスして抵抗力も付く。子供の世話が終わってやっと自分のための人生なのよ。好きで、心から楽しいと思うことをやりなさい。

この言葉、私と同じ人生の過渡期にあり、人生にちょっと疲れた、というアラ還の皆さん全てに贈りたい。老いは確実にそこまで来ているけれど、まだ元気。なにかできそうな気がする、でも何をしたらいいの、何から始めたらいいの、と迷えるアラ還の皆さん、まずは

You are enough. 今のままで十分スバラシイ

と思うことから一緒に始めてみませんか。



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About Me

ニューヨークから40分南に下ったニュージャージー州から発信。だから「なんちゃって」ニューヨーク。マンハッタンのおしゃれな情報をお探しの方は他にたくさんブログがありますのでそちらをご参照くださいね。元・MBAの仕事人、在米約30年のアラ還。アメリカ人の夫とエンプティネスト元年を満喫中。わんこ3匹で毎日がわや、普通の人のアメリカ生活の記録です。

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