なんちゃってニューヨーク

普通の人のアメリカ生活


俳優さんのストライキ、補足編です

前回の投稿で、先週からハリウッドの俳優さんたちの組合

SAG-AFTRA

が全面ストライキに入り、映画やドラマの制作はこの先しばらくストップになったと書いた。きらびやかな世界と「スト」があまり結びつかなくてびっくりした、と書いたのだがそれは私だけではなかったようでニューヨーク・タイムスに関連記事があったし、色々調べてみた。

コロナ後のアメリカは、空前の労働組合ブームだ。日本ではまだ労組運動はなんとも「左翼」っぽいと見る人もいて、大っぴらに労組の看板を掲げて雇い主と対立するのは難しいと聞いているがどうなのかな。

アメリカの大学の学費はちょっと笑うしかないというくらいの金額なので、卒業時に数千万の学生ローンを抱えて卒業する人も少なくない。例えば、現在、運輸長官を務めるピート・バディジェッジさんは、夫と二人合わせて2000万以上の返済を抱えているんだって。

なのに正社員雇用はなかなかなくて、「大卒のブルーカラー」となり時給で働かざるをえない人たちが増えている。その人達が牽引力となって、時給雇用であっても福利厚生や有給が保証されるべきである、また時給も底上げを求めて組織的に働きかけるという空気が生まれている。

(ルーズベルトさん)

社会科の授業で必ず出てくる「ニュー・ディール政策」。1920-1930年代の大恐慌を脱出すべく、ルーズベルト大統領が数々の経済政策を打ち出したというアレだが、その中に、賃金労働者が労組に参加して労働環境の改善を要求する権利が明確に記されたことで、全国的に新しい労組が結成されて加入も広まった。

この当時は労組を指示すると述べた人は全体の80%、でも経済成長に伴ってその支持率は下がってコロナ前は50%まで低迷。

実際、労組加入でその恩恵を受けている労働者の賃金は10%から20%高い。その分、会社の利益とエグゼクティブ恩給が減り、利益が低いと株価に影響もあり、上層部と株主の無言の圧で労組はとにかく敬遠されがち。

コロナ後には70%の人が労組を支持していても実際に新しい労組を結成するのはかなり難しいそうだ。

最近ではAmazonやスターバックスで話題になったが、極端な例では労組運動のリーダー格をクビにするなどのプレッシャーをかけて労組の結成を妨げる例も多い。

ニューヨークにはそれこそたくさんの美術館があるが、受付や館内ガイドなどたくさんの時給雇用者を抱える業界である。もちろん労組の運動は広がっているが、ニューヨークすべての美術館が力を集めても新規結成は難しいということで、なんとアメリカの労組大手、

UAW United Auto Workers  自動車業界労働者組合

の一部として部門を結成する、という裏技。元は自動車工場で働く人たちで結成された組合だから美術館とはもともと何の関係もない。現在交渉中であり、合意に至れば賃金は20%アップと有給休暇の保証などが認められる。

こういうアメリカの現状で、わたしたち誰もが知っている有名俳優さんたちが「労働組合員」であり、同じく賃金をもらって働く「労働者」であるという事実。そして私達と同じ様に雇用条件の改善を誰かに働きかける必要があり、その手段はとてもレトロな「ストライキ」である、という事実。

ルーズベルト大統領のもとで新しい労組がたくさん生まれたのは、上院下院ともに議会を通過した連邦法として権利が保証されたからだという。2年前、バイデン大統領のもとで労組結成を保証する議案が出され下院は通過したが、上院ではばまれて法の発効には至らなかった。

今回の俳優たちのストライキは時代的になんともシンボリックな出来事であり、一般の労組に対する認識を変える手助けとなり、いずれは上院へも働きかけ、やっと火の付いた労組運動の追い風になってくれると期待する向きがある。

俳優さんたちに思いっきり頑張ってほしいものだ。今回の投稿、めちゃめちゃ漢字が多くて読みにくい….ごめんなさいm(_ _)m



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ニューヨークから40分南に下ったニュージャージー州から発信。だから「なんちゃって」ニューヨーク。マンハッタンのおしゃれな情報をお探しの方は他にたくさんブログがありますのでそちらをご参照くださいね。元・MBAの仕事人、在米約30年のアラ還。アメリカ人の夫とエンプティネスト元年を満喫中。わんこ3匹で毎日がわや、普通の人のアメリカ生活の記録です。

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