なんちゃってニューヨーク

普通の人のアメリカ生活


いじめっ子とお財布事情 その2

Photo:New York Times

はてさてどこから書いたらいいものか。1月末にブログ「いじめっ子とお財布事情」でご紹介した通り、90年代に性的暴行をされたとトランプを訴えていた元コラムニストのE.ジーン・キャロルさんに対し合計でなんと130億円の補償金を支払うべしとの判決が降りたばかりのトランプ。

そのわずか2週間後、先週金曜日にこれまた「メガ級」の罰金義務が降って湧いた。

ニューヨーク州 vs. トランプ

2019年から2年半に及ぶ裁判の末、ニューヨーク州地方裁判所から「長年に渡る虚偽の資産報告を行い不当に利益を享受してきた」として、ニューヨーク州に対し罰金355ミリオンドル、プラスその虚偽が発生した時点から現在まで9%の金利、合計予測約463ミリオンドルの支払いが命じられた。

1ドル150円で計算して695億円。これは人口が約15万人の地方都市の年間予算に匹敵する額だ。それ以前にキャロルさんへの支払い分もまとめて130億円もあるんだよ。

この判決が下りる約1ヶ月ほど前に、色んなところでこの裁判と担当の裁判官について悪口雑言の限りを尽くしていたトランプに、法廷侮辱で15000ドル、約225万円の罰金も課せられている。億単位の最終金額に比べれば屁のような額ではあるが、懲りないやつだ。

嘘がバレたお子ちゃまだ?

この2つの判決で、トランプにこの金額を払えるのか、払うとしたらどうやって払うのか、と色んな人が彼のお財布事情を根掘り葉掘り調べ尽くし、じつはあの人、文無しじゃん!だということが次第に明らかになってきた。

支払いそのものにもトランプは腹が立ってしようがない様子であるが、なんといっても自分が70年代から苦労して築き上げてきたイメージ、

「マンハッタン5番街の一等地、窓からは自由の女神からセントラルパークまでぐるりと見渡せるトランプタワーのペントハウスに住み、ニューヨークのハイソで美女にモテモテ。

ミス・ユニバースの経営権を持ち、世界のあらゆるところに不動産を所有し、リッチなカジノ経営でボロ儲け、プライベートジェットで世界を股にかけ、テレビ映りは抜群。

金のトイレで用を足す不動産王トランプ。アメリカンドリームを地で行く男。そして絶対にハゲない。オレンジ色に日焼けしたいつまでもかっこいいタフガイ。」

これね、このイメージをニューヨーク州地方裁判所で「全部ウソよ」とすっぱ抜かれてしまったことがもう、恥ずかしいやら悔しいやら。

94ページに渡る公判文書で、いかに彼が長年の決算を組織ぐるみで誤魔化してきたか、資産の不動産価値を400%も水増しして財務諸表に記録し続けてきたかが仔細に表記されている。

1000円しかお小遣いもらってないのに「俺んちは月に4万円!」って自慢する子どもだよ、子ども。いや、そんな馬鹿なことする子どもだっていないよ!

去年の法廷証言でも資産の水増しを繰り返し口頭で行い「現在手持ちの現金は400ミリオンドル」と言ったらしいが、実際は大きく見積もっても彼自身の手持ちキャッシュは40ミリオンドルがやっと。

お金の工面、今後の見どころ(?)

今の豪華な生活は、巧妙なロマンス詐欺さながらの手口で実は大統領選挙への政治献金でおおかたが賄われている、ということは前回のブログでそのからくりを説明した。

キャロルさん事件はただいま上訴中。上訴を受け付けてもらうためには補償金または罰金の全額、あるいはその額に匹敵する信用手形や抵当を裁判所預かりとして提出しなくてはならない。どうやってその分を工面したのか調べてみたが分からなかった。

そしてまた今度の罰金。トランプの裁判団はすでに上訴の手続きに入っているが、同じく罰金を何らかの形で支払わないと先に進めない仕組みになっている。

この判決、罰金の他にもいろんな罰則が付けられていて、その一つが今後2年間はニューヨーク州登録の金融機関からの融資は一切受けることができない、という条項。ということは、ふむ、大手の金融機関から信用手形は出してもらえないわけだから、やはり今までのように大統領選挙への寄付金に頼らざるを得ないのか?

大統領選の対抗馬、ニッキ・ヘイリー元サウスカロライナ州知事は判決の夜、早速インタビューに応えて「保守党支持の皆さん、寄付したお金が本来の目的ではなくトランプ個人の「お財布」として使われるなんてとんでもないと思いませんか!」と激しい口調で話していた。

一体誰が、次々に出てくる元大統領の悪事の弁護や後始末に政治献金が使われる世の中になるなんて、想像しただろう?自身が所有する不動産を売却するとかの手立ても取るんだろうか?でもトランプ、自分のお金にはせこいんだよね。

と考えを巡らせているのはもちろん私だけではなくて

How will Trump pay? トランプはどうやってお金を工面する?

というタイトルのいろんな持論がいろんな専門誌で繰り広げられているが、本当のところトランプご本人もまったく見当がつかず頭を抱えておられるのではないか。

で、スニーカーよ?

困ったトランプは、資金の足しにとトランプグッズを扱う自身のウェブサイトで「きんきらきんのスニーカー」を売り始めた!それがブログ冒頭の写真。

Never Surrender High-Tops「俺たちはあきらめないぞ」ハイトップ

と名付けられた金と星条旗のスニーカー、先週フィラデルフィアで行われた「スニーカー・コン」、スニーカーオタクのためのコンベンションにトランプ自身が乗り込んで眩しい(いや、ほんとに目に眩しい)デビューを飾った。

このスニーカー、お値段はなんと399ドル、6万円だ。原価はきっと10ドルにも満たないだろうて。ほとんどすべてがトランプの罰金もしくは弁護料に回されること必須…..。それでも買うか、トランプファンよ!

そのデザインも商品説明も、トランプオタクには垂涎もののメッセージが沢山盛り込まれた「濃い」コレクターアイテム。しかも最初の限定10足には愛するトランプのサイン付き。

これについてはちょっとここでは書ききれないわ!だってこのスニーカーの他にも信じられない商品が並ぶサイトなのだよ。NFTだって売ってる(このスーパーマン?トランプマン?の絵柄の付いたのがその一部…..)。

明日に続きます!



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ニューヨークから40分南に下ったニュージャージー州から発信。だから「なんちゃって」ニューヨーク。マンハッタンのおしゃれな情報をお探しの方は他にたくさんブログがありますのでそちらをご参照くださいね。元・MBAの仕事人、在米約30年のアラ還。アメリカ人の夫とエンプティネスト元年を満喫中。わんこ3匹で毎日がわや、普通の人のアメリカ生活の記録です。

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