この時代、
Celebrity Crush セレブリティ・クラッシュ 「推し」
がいないと気が引けるような雰囲気があるが、みなさんもやはり推しの1人や2人、お持ちなのだろうか。
セレブリティはご存知「セレブ」、クラッシュは「胸キュン」。死語か?
中学時代に友達と「好きな人、おるん?」「おるよ、やけど秘密。」「えー、教えてや、ワタシも言うけん!」とミスドで何時間でも語り合った田舎女子であったワタシ。この「好きな人」を若い女子は
My Crush マイ・クラッシュ
と表現する。女子が女子にクラッシュしてもいい。男子男子もよ、もちろん。テイラー・スウィフトがクラッシュの女子は世界に多数いるように。「憧れの人」「気になって仕方がない人」という感じだ。
韓国人の「オンマ」が私のクラッシュ
この人! (instagram:Ahnestkitchen)
さて、私のクラッシュ。彼女の名前も知らないんだがインスタで大人気の「オンマ」、すごい料理の腕を持つカリフォルニア在住の韓国人のおばちゃんだ。
多分、韓国スーパーの吊るしで購入したと思われるペロペロフリースの部屋着を最近の動画では愛用されているのだが、言っちゃ何だがその安っぽさとデザインのマズさがあまりにも可愛すぎる。
赤ともオレンジとも言えない色の中途半端な長さの上っ張り、デカい白クマさんがふわふわと色んな方向を向いて各所に浮いている。足元は多分底にポツポツのついたマッサージスリッパと言うやつだ。
Unexpected Star 思いがけずスターへと
このオンマをスターダムに押し上げたのは、韓国女性あるあるの透き通るような美肌でおちゃめな彼女の娘さん、サラさん。アメリカ育ちの27歳。お父さんとこのオンマは韓国からの移民で、今もあまり英語はお得意ではない様子。
もとはと言えばご自身も料理研究家のサラさんが、本場の韓国料理を作るお母さんの姿とそのレシピを配信するためのインスタとTikTok だった。その合間にお母さんの日常を動画で配信したのがブレークした。
オンマの飾り気のなさと家事実務能力の高さ、そして自分の暮らしへの揺るぎない確信と自信にもう、ワタシはメロメロ。
これが疲れて帰ってきたお父さんのために準備する普段の日の晩御飯だと
料理をするときの真剣さとテキパキさとは相反して、夜はここまでやる?というくらいテラテラとクリームを擦り込んだ光る顔で、ソファではなくソファ下の床にぞろりと座り込んで韓流ドラマに真剣に見入るその姿。メガネはズレて口は半開き。
撮られているのをもう今となってはご存知と思うが、動作に全く気取りも緊張も恥ずかしさもない、全くの自然体。料理をしている時に「オンマ、これどうやって作るの?」とカメラをむけられると、素顔だろうがなんだろうが、人が見ていようがなんだろうが「これはね、韓国のフィッシュソースでね、おいしいのよ!臭くなくてね、でもだしが出るのよ、これがないとだめなのよー!」と韓国語でカメラに向かって情熱をこめて話す。
もう、なんのてらいも気負いもない。朝起きて、韓国にいたときと全く同じ習慣を守り、家族に美味しい食事を作り世話をすることが自分の仕事。一日をそのことに真剣に費やし(愛犬のご飯だって真剣勝負、すごいんだこれが)、夜の韓流ドラマを楽しみに庭でニラとネギを育てる。
キムチの季節には、床にうんち座りをして(失礼)かごに大盛りの白菜を次々と処理。料理と家族の世話が自分の使命であることに迷いが全くない。その清々しいこと。
娘さん、サラさんの心の旅
サラさん、いろんな心の旅をしている途中のようで、最近はちょっと配信の中身が変わってきたのだよ。
サラさんは最近、韓国版 TEDトークに招かれてスピーチをしたところ。その内容が、自分の国ではない外国で子育てをしたワタシの胸にもズン、と来た。
移民一世の子供として、英語ができない親を恥ずかしく思い、学校ではからかわれ、嫌だと思ったことも少しではなかったけれど、私は自分のアイデンティティを見つけた。恥じることも、引け目に思うこともない、そんな当たり前なことがわかるのにこんなに時間がかかってしまった、という心からのスピーチ。
だから今、アメリカに来て何十年たっても相変わらず韓国料理を作り、見るテレビは韓流、アメリカンスタンダードから行くとあまりにもイケていないフリースの上っ張りも、テレビに見入る姿も、変な頭のカーラーもスリッパも娘さんにとっては、愛すべき韓国のお母さんの暮らしぶり。心から自慢に思っているのだ (´;ω;`)。私も大好きだ、彼女の暮らし。
サラさんの「英語ができない両親に代わって書類をやってます、これ5歳の時から!」というインスタ投稿があった。アメリカナイズしていく子どもたちと本国の生活習慣を守って暮らす移民一世の親。よく聞くのは、子どもが「お願いだからKimbap 韓国巻きずしじゃなくてサンドイッチのお弁当をもたせて」と親に懇願するという話。
オンマのインスタでも、子どもの時に同じことを頼んだらめちゃめちゃすごいサンドイッチができてきた!と子供時代にお母さんがもたせてくれた韓国風サンドイッチの紹介があった。
この動画 👇 がすごすぎる
私が一番好きな動画はこれ。サラさんのお兄さん、ケビンさんは医学部を出てただいま研修医として勤務している様子。
アメリカの研修医は法律では週に80時間の勤務と決められているが、100時間を超えることが珍しくない。今、私の友人がまさに研修医なのだが、その激務と時間の不規則さ、見ていて「こんなに疲れてるお医者さんに見てもらうのは怖いな」と思ってしまうくらいの超人的スケジュールだ。
そのケビンさんが少しでもちゃんとした食事をするようにと、オンマが下ごしらえをして、一食分づつ分けたお惣菜をジップロックに次々といれてアイスボックスに詰めていくさまがすごすぎる。つけおきにして袋に入ったカルビの一食分はそのままフライパンに移すだけでその日の晩御飯ができるようになっており、のりだって小分け。とにかく面倒がらずに食事をするような工夫がすごいのだ。
サラさんが、アメリカ人の親みたいに愛してるよ、いい子だね、と言ってくれない、ハグもしてくれない親に寂しさを感じて育ったが、こうやって真剣に家族の世話をすることがオンマの愛情表現だったんだね、とナレーションをいれている。
自分の素を出せと言われたら
実はお風呂の後は私もオンマと同じ。韓国スーパーのフリースではなく L.L. Bean、L.L.ビーンというブランド物?だけど、数年は着てすでに毛羽立ってきたフランネルの「ナイトガウン」というシロモノを着込み、寒い夜にはその下にスウェットをかさねばき。毛糸の靴下に日本で買ってきた(一応)シルクのレッグウォーマー。腹巻きが加わることもある。
髪が乾くまで変なタオルを巻いてでれっと座っている様子をもし夫や子どもたちが動画にしてインスタにアップしたら!
私は立ち直れない。絶対に無理。
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