なんちゃってニューヨーク

普通の人のアメリカ生活


トランプ犯罪ファイル・おまけ編

By Tomás Del Coro – https://www.flickr.com

またトランプネタで失礼します。

トランプ犯罪ファイル・ジョージア編、トリヴィア編と続き、さすがにおなかいっぱいと思ったが、あかん、逮捕前後の出来事があまりに濃すぎてやはり書かなくては。

トランプはさる8月23日、選挙妨害に関わる罪で首都アトランタのあるジョージア州フルトン郡の拘置所に出頭、プライベートジェットと何台も車を連ねるモーターケードで堂々と登場した。

前回の『トリヴィア編』に詳しく書いたが、

他の起訴の出頭場所が『裁判所』であり、顔がよく知られていてその必要がないという事で Mugshot マグショット、逮捕写真は取られずにすんだのだが、おっとこどっこいジョージア州では、一般人と全く同じ扱いの拘置所出頭と、指紋と逮捕写真の手続きだ。

それどころか『マフィアのボス』のレッテルを貼られたトランプの出頭場所フルトン郡拘置所は、実はとても Notorious な(やばい)ところであることが知られている。所内での殺人も珍しくなく、上の階になるほど凶悪犯が勾留されており看守も足を踏み入れたくないくらいの荒れぶりということだ。

トランプが『マフィアのボス』と化したいきさつについてはこちら 👇

私がこの目で見たわけではないが、公開された拘置所の写真もたしかにかなりやばい。そして、けっこう不潔よ。

トランプは、ジャンクフードが好きなことと、大の

Germaphobia ジャーマフォビア 極度のバイキン嫌い

であることが知られており、実はかなりの清潔フェチ。そんな彼がこの汚い拘置所にいれられたらどうなるんだろう?と真顔でニュースキャスターたちが論じていた。

トランプはフロリダ州のマール・ア・ラゴという所有のリゾートに住んでいるが、暑い夏の間はここニュージャージーはベッドミンスターという街にあるトランプ・ゴルフコースに滞在する。

(こちらが正面玄関。ニュージャージには似合わないこの噴水)

photo from Trump National Bedminster website https://www.trumpnationalbedminster.com

大統領在任中もしょっちゅうゴルフ遊びにニュージャージーに出没したので、空には軍隊のごっついヘリが飛び、モーターケード通過の際は付近の道も封鎖になり、ホント迷惑だった。

出頭の当日、トランプはベッドミンスターを3時すぎに出てニューアーク空港に向かった。もちろんメディアは地上と空からその様子を映してくれてるんだが、びっくらしたよ?

まず先頭にニュージャージー州警察のでっかいパトカーが赤と青のサイレンをギラギラと回して誘導。それも5台(数えた)。州警察のマークを付けた黒い防弾トラックと救急車が続く。黒塗りのリムジンがゆうに8台。シークレットサービスの車だ。どの車両にトランプが乗っているかは公開されない。そして最後にまた州警察のパトカー5台がギラギラ。

高速を降りてニューアークへ向かう道は大きくカーブしたランプになっているのだが、その至る所にライフルを抱えた(!)特別隊の人たちが5メートルおきくらいに立っている。911直後のマンハッタンのようだ。

我が家はトランプ・ゴルフコースと彼が自家用機を停泊しているニューアーク空港の真ん中あたりに位置するので、ヘリの映像でうちに近い高速78号線の各所が閉鎖になっているのが見えてムカついた。そして州警察がわたしたちの税金で賄われていることに考えが及び、再度ムカついた。

案の定、所用でコネチカットに行っていた夫は『すごい混んでるけど何かあった?』と聞いてきた。『彼が今空港に向かってるのよ!』とだけ言ったけど He 彼、というだけでもちろん誰か分かる(笑)

これがまた、こんな大きいのなんで必要なの?というくらいのでかいジェット。逮捕されに行くのにすごいCO2排出量だ💢

着陸後も同じようなモーターケードで拘置所に到着した後は、指紋を取られ世界に出回ったあの逮捕写真の撮影と相成った。

20万ドル、約3000万円の保釈金を払ったあと即・釈放となったが、拘置所に登録した際

Inmate Number  拘置者番号

P0 1135809」 を割り当てられ、彼の肩書は『アメリカ合衆国45代大統領、並びに拘置者P0 1135809』となった。マジかい。

Photograph from Fulton County Sheriff’s Office / Reuters

一瞬にして広まった逮捕写真、ぎょっとした。不自然に輝く金髪に上目遣いで『悪いことなどしてないのだ!』と言わんばかりの怒りとも脅しともつかないなんとも悪い「気」の漂う表情。

ツイッターを追放されてからは(X、ね)

Truth Social トゥルス・ソーシャル

という『トランプによる、トランパー(トランプ支持者)のための、トランパーのSNS』をたちあげて、イーロン・マスクがトランプのX復帰を許したものの距離をおいていた。

それが釈放直後にツイッターに自分の逮捕写真をツイート。わたしだったら身を挺してでも隠したい(●´ω`●)と思う写真だけれど、彼はそれを堂々とツイートどころか、翌日には逮捕写真を印刷したTシャツやポスターを、2024年の大統領選公式グッズとして販売を始めた!!

https://secure.winred.com/save-america-joint-fundraising-committee/storefront/

それがまたバカ売れだという事実。そして逮捕直後からまた寄付がうなぎのぼりだという事実。ツイッター復帰も、4万8000人しかサブスクがないトゥルス・ソーシャルよりもずっと効率的にお金が集まるからだと言うのが一般の理解だ。

先に出頭した人たちの逮捕写真が公開されていたので、トランプチームがカメラの位置、照明の様子など逐一分析して、撮影されるときの顔の角度や表情をあらかじめ決めてのぞんだ撮影であったということだ。

どんな表情が良いかというディスカッションには、トランプ本人が

Defiant ディファイアント(体制に立ち向かう、反抗的な)

というイメージの逮捕写真にしたいと言ったそうだ。その時点で今回売り出しの逮捕写真グッズ、並びに今後の大統領選キャンペーンのスローガン、

Never Surrender! ネバー・サレンダー、降伏なんかしないぞ!

は決まっていたという。Surrender は『自首』の意味もあるので『やむなく自首はするに至ったが、私がしたことは正しい。降伏なんかしないで君たちのために戦うぞ!』というメッセージが込められているというわけだ。支持者にはシビれるメッセージだ。

もう私には何がなんだかわからん。

逮捕が恥ずかしいどころか『不当な』逮捕をするような体制に自分が犠牲となり、自分たちと一緒になって立ち向かってくれる頼れる(マフィアの)ボス、トランプ。

ポリティカリー・コレクトで言いたいことをガンガン言えない息詰まる社会で、言いたいことをなんでもかんでも口に出す、正直で、正義感に溢れる勇気あるヒーロー、トランプ。

究極のエコーチェンバーの中でいかにトランプが素晴らしいリーダーなのかということにしか耳を傾けることができなくなった人たちだ。

そういう土壌がもう何十年もかけてこのアメリカに、特に所得平均の低い地域にはゆっくりとゆっくりと育まれていたのだ。

民主主義の崩壊がどんなにコワイことになるのかをちゃんと教えられてこなかったのか、世代に連綿と続く貧困や行き詰まった末のアルコールや麻薬の乱用など、やるせない事実が積み重なってこんなふうに?

支持者の大半はいわゆる低学歴の単純労働者が圧倒的に多いが、怖いのは一流大学を出て、知識も知能も理解力もありどんな危険な状態になっているのかをはっきりと知りながら、トランプの影に隠れ、またはときに彼を操りながら自分の利益へと繋げている層だ。

それが政治的な力や自分のビジネスへの特別なはからいであったり、または元々持っていた悪魔的、破壊的な思考であったりと各自のもくろみは様々ながら、トランプの周りの知識人たちには一定のうさんくささが漂う。

日本語だからこんなことを書けるけれど、このブログをアメリカのメディアで発表する勇気は私にはない(誰も載せてくれないと思うけどさ)。だって、いつ隣町から怖いトランパーのおっさんが銃を持って脅しに来るかわからないから。

これほんとだよ。常識や良識はもう通用しない…..



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ニューヨークから40分南に下ったニュージャージー州から発信。だから「なんちゃって」ニューヨーク。マンハッタンのおしゃれな情報をお探しの方は他にたくさんブログがありますのでそちらをご参照くださいね。元・MBAの仕事人、在米約30年のアラ還。アメリカ人の夫とエンプティネスト元年を満喫中。わんこ3匹で毎日がわや、普通の人のアメリカ生活の記録です。

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