以前のブログ「いじめっ子とお財布事情その2」で、2月末に判決の下りた民事裁判でトランプに「メガ級」の罰金義務が降って湧いたと書いた。
「トランプ・コーポレーションが長年に渡る虚偽の資産報告を行い不当に利益を享受してきた」として、ニューヨーク州に対し罰金355ミリオンドル、プラスその虚偽が発生した時点から現在まで9%の金利、合計予測約454ミリオンドルの支払いが命じられた(前回ブログでは463ミリオンでしたが現在は454ミリオンとするメディアが大多数なのでこちらに統一します)。
本日の為替151円で計算すると、685億円。15万人規模の市町村の年間予算に匹敵する。お金持ちのイメージが付きまとうトランプだが、前回のブログに書いた通り彼の資産のほとんどは不動産であり、手持ちのキャッシュや債券、株など流動性の高い資産は思ったよりずっと少ないということが明らかになってきている。
もちろんトランプはこの判決を不服として上訴しましたよ。上級裁判所による判決が確定するまで、罰金の額の債券や信用手形をニューヨーク州に預けておく義務がある。この預り金は上訴で判決がひっくり返され無罪となった場合にはそっくり戻ってくる。
この信用手形の払い込み期限が今日3月25日。トランプの代理人によるとすでに30社以上に打診したもののいまだに信用手形を発行してくれる金融機関が見つかっていないと言う。
685億円と言う巨額の信用手形を発行してもらうためには利子を含め830億円以上の担保が必要で、その他に金融機関への手数料は30億円を超えると言う。
「桁違い」と言う言葉がこんなに当てはまるシチュエーションもそうないような気がする。
この判決が下りる少し前に、90年代に性的暴行を受けたとトランプを訴えていた女性に対し、130億円の補償金を払うべしと判決がおりたトランプ。この件については以下のブログに書いた。
この件ももちろん上訴中だが、Chubbという保険会社が発行してくれた信用手形を預り金として提出したことがわかっている。金融機関は抵当には不動産物件は基本的に受け付けないということなので、トランプの残り少ない現金や株券が担保として提出されたと言われている。
銀行預金や株券は二重抵当に入れるわけにはいかない。ますます流動資産が低くなってきたトランプ、今日の締め切りまでに預かり金を提出できる可能性は低い…..。
お金集めに奔走する元大統領
トランプは一体提出できるんだろうか。今日締切の手形を提出できるとしたらお金の工面はどこから?もし提出できなかったらどうなるのかと言う予想のシナリオが世間を騒がせている。
①最近の調べによるとトランプの流動資産は合計350ミリオンドル。預かり金に100ミリオンドル足りない。だめだ。
②トランプのSNS、Truth Social トゥルス・ソーシャルが今週にも株式上場すると言われており、実現すればトランプ所有の株式は約3ビリオンドルの価値が出る。しかし法律により株を現金化できるのは半年後。これもあかん。
③現在所有の不動産のうちどれかを売却して支払いに当てる。今日明日では売れないだろうから無理。
④銀行や民間金融機関から借り入れる。利子がすごいしそんな巨額を簡単に貸してくれる人はなかなか見つからない。
うーん困った。
期限までに払えない場合はニューヨーク州はトランプの所有の資産うち同等額のものを差し押さえる事ができる。差し押さえはまず流動資産からなので、わずかに(と言ってもすごい額だけどさ)残っているキャッシュや株券がニューヨーク州の手にまず渡るわけだが、ま、これはいろいろな法的手続きが絡み時間も手間もかかり、すぐに「はい、いただきますね〜」という訳にはいかないらしい。
渡す側がとにかく法的にいろんな「いちゃもん」を付けることができる仕組みになっているらしい。
実際に手続きに移るかどうかは別としても、トランプの資産リストの中から最初に差し押さえる物件としては、ウォールストリート40番地に所有のビルとニューヨーク州ウェストチェスター郡に所有しているゴルフコースに目がつけられているらしい。今後の動向に注目。
きゃっ、悪運強い….信用手形の減額の速報が!
….ここまで書いたところで
Breaking News ブレーキングニュース 速報
が入ってきましたよ!
トランプと代理人はニューヨーク州の上級裁判所に罰金の全額支払いを減額してほしいと申し入れをしていたのだが、なんとそれが聞き入れられて、さきほど信用手形は454ミリオンドルから175ミリオンドル(264億円)に減額になった。利子や手数料をいれて必要な担保の額は約200ミリオンドル(300億円)で、ぎりぎりキャッシュや株券で支払えるみたい。
まとめ
自己所有の不動産をこよなく愛し、「My Babies 俺の赤ちゃん」と呼ぶトランプ。それをニューヨーク州に差し押さえられる屈辱を思って夜も寝れなかったのであろう。この判決の直後にウォールストリート40番地の正面玄関で声明を出したトランプの顔はいつものオレンジ色ではなく黄土色に近かった。
さすがに疲れが見えるが、口は相変わらず、まあ、驚くような言葉がガンガン出てくる。「ウクライナはイスラエルのせいで勝てなかった(?)」「俺様が大統領だったらイスラエル紛争はなかった」「ニューヨーク州検事は汚職まみれの人種差別主義者だ」「この茶番はすべて大統領選挙の妨害だ」「俺を陥れようとするバイデンの陰謀だ」…..。40分間吠え続けた。
さて、次に裁判の日程が決まっているのは、ポルノ女優口止め料事件だ。これはトランプと弁護団が大統領選への影響を最小に留めるため必死で判決日を遅らせようとしていたが叶わず、来月4月15日に始まることが今日決まった。
ポルノ女優口止め事件って!?!!?と思った方は下の過去ブログをご参照くださいね。
セクハラ事件の補償金が130億円、ニューヨーク州のビジネス不正事件の罰金が685億円。ポルノ女優口止め料事件、もし有罪となったらまたすごいスケールの罰金なんだろうな。金額が大きすぎて実感がわかない。
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