なんちゃってニューヨーク

Fart ファートは「オナラ」だけど、ざっくばらんな言葉なので、どちらかというと「屁をこく」という感じに近い。品よく示唆的にオナラを表現したい時は

gas ガス、気体（確かに気体だ）

そして、オナラをする、は

passing gas 気体を通過させる

である。お腹が痛くてお医者さんに行ったりすると、お医者さんは

flatulence フラチュレンス　

というオナラの正式名称をつかう。ちなみにこれはフランス語源だ。そしてそのフランス語源はラテン語の flo フローである。flo は、息を吹く、呼吸をするという意味なのでやっぱり空気関係だ。

おっと話がそれた。

Brain Fart 　脳みそのオナラ

これについて書きたかったんだった。これは40を過ぎたころから増えてきた。キッチンにハサミを取りに行き、引き出しを開けてから「あれ？何探してるんだったっけ。」

話している途中で、「あれ、今何と言おうとしたんだっけ。」これも Brain Fart 。思考が脳のどこかから漏れて音を立てながら気体として消えてしまうという感じだろうか。

同じ現象をもう少し品よく言うと

Senior Moment シニア・モーメント　シニアの瞬間

となる。日本語だと「うっかり」「度忘れ」。シニアモーメントの方はちゃんとした英語表現として認められているらしく、ウェブスターにもミリアムにものっている。

ブレイン・ファートだのシニア・モーメントだの、自ギャグを抵抗なく使い始めたのはいつ頃だろうか。50歳？その頃何をしていたかを子どもたちの歳と照らし合わせないと思い出せない親あるあるだが、上の子が18歳ということは大学の一年生だ。そうだなー、子供が大学に行き始めた頃に「あートシを感じるわねえ」なんて会話をするようになった気がする。

子供の頃、新聞の読者相談に「栃木県、K子、50歳」なんて書いてあったら想像つかないような大人。25歳と聞いたって本物の大人であると疑わなかった。両親だって、何でも知っている大人だと信じて疑わなかった。

大学を出て25歳になっても待ちわびた成熟は私には来なかった。っていうか、まわりにも「私、成熟したわ！」なんて人は一人もいなかった。アラ還になったってバカなことで悩んでみたり、変なことで腹を立ててみたり、一体これからどうしようと行き先を悩んだり。もう大学時代は遠く過ぎたのに、気分も未熟さもその頃のままだ。学生会館で授業をサボって100円のババロアを食べたあの頃と何も変わっていない。

同じことを言ってる人は少なくないから、結局人間なんて死ぬまで成熟しないのかも。

人の言ってることが気にならないとか、図々しくなるとか、年の功でがぜん「生きつらさ」は減ったし、大人としての責任をどんどんひきうけなくてはいけなくなって多少たくましくはなるけれど、実際のところ悩みの質やそれにオタオタする感情なんて子供の頃から変わってない。これは一体いかがなものか。

若いままの心に身体はついてきてはくれない。昔みたいに高島屋行ってハンズ行って、紀伊國屋で立ち読みしたあと西南口を通り抜けて伊勢丹、そして締めは構内の成城石井で晩御飯の買い物、全部ぶら下げて中央線に乗って家に帰る、なんて芸当はもうできない。

うっかりは昔からだけど、最近のうっかりには「脳の衰え」をがっつり思い知らされるものが多い。名前が思い出せない、日にちを間違える、メガネをどこに置いたか忘れる、何を忘れたかを忘れる….

だから自分で「脳みそのオナラよー」なんて半分照れ隠しで言っちゃうのだ。脳みそのオナラならまだいいけれど、ホントは脳内でぶちぶちとシナプスのキレる音だったら….

やっぱり老化はいやだね。食べ物に気をつけて、脳トレをして、毎日ウォーキング。最近はアルツハイマーに血糖値が関係あるとベストセラーになっている健康本で読んだ。甘いものも減らさなきゃ。

ブレイン・ファートねえ、とごまかそうとしてその言葉自体が思い出せなかったりしたらほんとに困ってしまうもん。ネ。