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クリンジ

Creator: KAREN BLEIER | Credit: AFP via Getty Images

Cringe  クリンジ

ケンブリッジ大辞典によると

To feel very embarrassed, and often show this by a physical movement or expression ばつ悪く感じて体が動いたり表情に出てしまうこと

と書いてあります。恥ずかしさや驚きで思わず体がすくんでしまったり、注射の針が入ってきて思わずきゅっとしてしまう感じもクリンジです。

名詞で使う場合は、体がビクッとする動き自体を指しますが、最近は、クリンジがひとり歩きをして進化をすすめ、もはや違う意味合いの若者現代用語となってしました。Z世代のみなさんが親や大人をバカにするときに一番使う単語ではなかろうか。

意味は「ドン引き」、「イタい」、「さむ」、「キモ」、「バッカみたい」。

用途はこうです。

夫「ちょっと細めのジーンズ買ってみたんだけど、どう?」(無理やり見せる)

息子「Cringe.」(心の中:オヤジがスリムって、なにやってんのバッカじゃねえ?)

夫「….」

ケーベツしたような横目に、口がかすかに歪んだりする表情とワンセットになります。

外国に旅立ってしまいそうになった恋人を追いかけ、空港のゲートでぎりぎり間に合った彼女と抱き合う(韓流によくあるやつね)、こんなのもZ世代に見せるとひとこと「Cringe.」

「頑張れば、あなたも絶対にできるのよ!」なんて言う嘘っぽい熱血な励ましも「Cringe.」

友達どおしで遊びに行って、異様にオシャレ度が過ぎてても「あの子、Cringe。」インスタの投稿がわざとらしいと「なにこれ、Cringe.」私らは子どもにCringeって言われても「食わせてもらってるくせにさ」って思って終わりですが、同じティーン同士だと傷つきますよねー。

良くないですが、そんな事を言い始めたらこのTikTok世代にはキツイ表現がたくさんありすぎて、言葉狩りをしてもしても追いつかない (´;ω;`)

テレビを見て政治家が嘘っぽいことを言ってると「Cringe.」おバカな芸能人がPRのために突然慈善活動を始めたら「Cringe.」若者は嗅覚鋭いので、嘘っぽさは絶対見抜きます。

この間レストランでウェイトレスさんにギャンギャン文句を言っているおばさんがいました。それを見て息子がつめた~い眼で一言「Cringe.」何なのこの人こんなに怒ってどうすんの、と。もやっと思っていた私たちの心の動きも状況も一言で見事に表現してくれた気がしました。

物心ついたときからTwitterやTikTokがあった世代。つらつらと表現するよりも短いワードやフレーズで的確にものごとをずばっと捉える訓練ができてるんでしょうね。

戸惑う私たち親世代のためにネットにはたくさん「解説書」が出ています。表現がまとをついているので思わず使いたくなってしまうものがあります。

たとえば

Take several seats

これはもともと、Take a seat という「ちょっと座ってさ、落ち着きなよ。」という意味の黒人言葉のスラングから来ています。落ち着かなきゃいけない度合いが大きい、あんたちょっとやりすぎだよ、ということで座る椅子が複数になり take several seats。ワタシ的にすごくツボにはまりました。

黒人言葉と書きましたが、独特の言い回しやクールな黒人ラッパーが動画で使っている言葉がかっこよくて、それらがどんどん現代用語に取り入れられてきています。

テイラー・スウィフトの大ヒット「Shake It Off」の中の有名な言い回し、Players play, play, play, play, Haters hate, hate, hate, hate。PlayerやHaterと言った表現はもともと黒人言葉であり、テイラーの10年前にplayer、hater、 faker と同じ言い回しで曲を作った黒人ミュージシャンが異議を申し立てています。

もとはとてもエッチな意味だった言葉が生き残り、Z世代用語では全く違う意味になったものも。Bussin’(Bussin-gのg省略)は、(特に食べ物が)スゴくいい、イケる、という意味ですが、息子に語源を聞いてどひゃー。ここではとても言えませぬ (●´ω`●)

こういう言葉があるんだなあと学習し、たまにつかってみたりするところがもうすで若い世代にCringeと呼ばれる行動なんでしょうがやめられない。Z世代の言葉のセンス、行き過ぎに注意は必要ですが、これからも注目です。



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ニューヨークから40分南に下ったニュージャージー州から発信。だから「なんちゃって」ニューヨーク。マンハッタンのおしゃれな情報をお探しの方は他にたくさんブログがありますのでそちらをご参照くださいね。元・MBAの仕事人、在米約30年のアラ還。アメリカ人の夫とエンプティネスト元年を満喫中。わんこ3匹で毎日がわや、普通の人のアメリカ生活の記録です。

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