なんちゃってニューヨーク

Nursery 　園芸センター。

ナーサリーと聞くと「保育園」を連想するけれど、アメリカでは園芸センターも Nursery と呼びます。子供のナーサリーも園芸のナーサリーも Nurse （看護師さん）「育てる」「世話する」と同じ語源で、園芸のナーサリーは種から苗を育てる「苗床」を意味しました。

園芸センターは、Greenery グリーナリー、Green House グリーンハウス、まれですがHothouse ホットハウス （温室）という名称で呼ぶ人たちもいて、そのどれを使っても話が通じます。

東海岸のこの地方は例年、3月末の私の誕生日の頃必ず最後の雪が降り、4月のイースターに最後の寒波がやってきて冬のフィナーレ。それを境にどんどんど春らしい日が増えてきて、家庭菜園をやっている私は早く土いじりを始めたくてお尻がムズムズしてきます。

でもまだまだがまん。思いがけなく氷点下に戻る夜がある。伸び始めた苗がびっくりして縮んでしまってダメになったり、その夏中元気がなかったりしたことが何回もありました。霜の最終予想日は5月初旬の母の日。それ以降なら安心して外植えを始められるという目安になります。

冬の間は静かだったナーサリーは1月の終わりから園芸用具と室内植物だけ置いて細々とお店を開けているけれど、4月の1日にはシーズンのはじまり。シーズン初めのお客さんはどちらかというと気の早い

Gardening Enthusiast 　（情熱的な園芸家という意味で）園芸マニア

が多い。普通のお客さんのピークはなんと言っても母の日以降なので、この時期、4月だけ使えるマニア向け？クーポンというのを私はもらっています。

普通に園芸が好きな人は、Gardener ガーデナーですが、職業園芸家も同じGardenerで呼ばれるのでちょっとややこしい。

Are you a gardener? と会話で出てくると「ガーデニングするの？」という意味になりますし、園芸家の人に同じ質問をすると「園芸家さんですか？」になります。会話の背景で判断するしかありません。

さて、今朝は今シーズン初めてナーサリーへ行ってきました。

冬の間とは売って変わり、たくさんの若い苗と新しく仕入れられた植物たちで店の中の空気がぴんぴん生き生きとはちきれんばかりのエネルギーを放っています。植物がみんな呼吸をしてくれているお陰で店はきっと新鮮な酸素でみたされていて私は他のどんな場所より呼吸がしやすくなるような感覚を覚えます。

苗のコーナーでは早植えのほうれん草、ビーツ、ブロッコリーにさやえんどう。お店にだされたばかりで葉っぱも薄緑のよちよち歩きの苗。

ハーブのコーナーはまだ5センチ位の大きさのローズマリーとラベンダー。通常は多年草ですがこの地域では戸外で冬を越せず1年草として扱われるので、毎年新しい赤ちゃん苗を買い次の冬が来るまでの収穫を続ける人が多いのです。育てるのが簡単で、人気のあるバジルやミントはもうかなりの大きさになったものが苗として売られています。

ハーブコーナーのテーブルはまだ半分も埋まっていなくて、これからどんなハーブの赤ちゃんが出てくるのか楽しみになります。

今日のナーサリーは苗を見るだけ。アイデアをもらって、菜園の限られたスペースに何を植えるかちゃんと考えてから霜の最終日を待ち、移植を始める計画です。

それまでは去年の土を掘り返し肥料を混ぜて耕してふかふかにしてあげる作業です。冬の間ずっと静かだった土の中にいきなり邪魔が入ってきてびっくりするミミズの親子。大きいものは私の小指くらいの太さがあって、間違えて外に飛び出てしまったものはそのニュルニュルを指で捕まえて土に戻してあげる。虫もミミズも苦手だった子供の私が見たらびっくりして腰を抜かしてしまうと思うのです。

日本の野菜は、以前は日系のたねやさんからオンラインで買った種から育てるしかありませんでしたが、ここ数年は日本の野菜の苗も普通のナーサリーでかなり買えるようになってきたのですよ。

今日見つけたのは、長なす。その名もJapanese Long。

そしてこちらが数年前から大人気のShishito Pepper ししとう。

去年は同じナーサリーで買った Ichiban イチバンと言う名のナスがたくさん取れて嬉しい悲鳴を上げました。

みんなが大好きな育てやすいトマトはこのラックいっぱいに違う種類のものが並んでいました。赤いの黄色いの。エアルームに黒いトマト。チェリートマトにグレープトマト。見ていると全部育ててあげたくなりますが、スペース限られているので考えなくちゃ。

トマト、ペッパー、ナスなどポピュラーな野菜だと、種で買うよりよりもかえって苗のほうが珍しい品種が手に入ります。どの苗床も6苗4ドルくらいのお値段です。もう少し大きくなってくるとお値段もあがってきますので今の赤ちゃん期が一番お買い得ですね。

こちらは可愛らしいいちごの苗。Frescaフレスカ種。

Sugar Snap Peas スナップえんどう。

苗を見て歩き回っているだけでウキウキ。シーズン開幕です。冬の間しまってあったガーデン手袋と帽子をだして、日焼け止めを買ってきて今年はどのくらい野菜が取れるかなあと心も弾みます。