Nothingburger または Nothing Burger ナッシングバーガー。
チーズバーガー、テリヤキバーガーのバーガーですが、中にNothing、何も入っていないという意味で「なーんだ、たいしたことないじゃん」というときに使います。「見掛け倒し」です。
鳴り物入りでやってきたイベントが行ってみたらたいしたことなかった、または、ビジネスの場で画期的なプランだと思ったら実はいつものプランの焼き直しだった、というようなときに、
It was just a nothingburger.
と表現します。全くどうしようもない、という場合は
It’s a big nothingburger.
「巨大なナッシングバーガー」と言い表すこともできます。
バーガーの中身といえばお肉。英語圏はもともと肉食ですので「しっかりした内容」「重みのあるもの」という意味の単語、
Substance 実体
を指すときに
Meat 肉
という単語を使うことがあります。おもにビジネス。部下が仕上げたプロジェクトにいまいち説得力がない、もう少し内容が必要というときに
Add some more meat もう少し肉を足してごらん
こういうところから肉のないバーガーNothingburgerが中身のないものを指すというのも頷けます。
1950年代にハリウッドのゴシップコラムを書いていた Louella Parsons ルエラ・パーソンズさんという人が大したことないセレブを指すのに使い始めた言葉だそうです。
その後おもに政治とビジネスの場で使い続けられて、初めて辞書の類に記載されたのが2006年。このときは
Urban Dictionary アーバン・ディクショナリー
https://www.urbandictionary.com/
というネット言葉や新しい造語などをリアルタイムで集めて載せるネット辞書に掲載されました。今も毎日新しいZ世代用語やTikTok用語でアップデートされています。アーバンディクショナリーのNothingburger の定義は
something lame, dead-end, a dud, insignificant; especially something with high expectations that turns out to be average, pathetic, or overhyped.
くだらないもの、見込みのないもの、不発でたいしたことないもの。特に、期待が高かったのにフツーだったり悲惨だったり、明らかに前評判が独り歩きしたような場合に使う。
この定義自体Urban Disctionaryで調べないとわからないような砕けた表現がてんこ盛り。太字の部分です。これらは若者が会話の中で頻繁に使う言葉たちですが、日本の教科書には出てこないんじゃないかな。ネイティブ感がプンプンです。
あ、Averageは「平均」、真面目な言葉として出てきますね。Patheticは「悲愴」でこちらも教科書では真面目な言葉ですけど、若者にかかると「めっちゃ悲惨〜。」となります。
2018年には由緒あるオックスフォード大辞典がNothingburgerを正式な用語として認定し、辞書に掲載しました。オックスフォードではどんな定義になっているかと言うと、
Nothingburger is a way of describing someone or something seen to have little importance.
こちらは「重要性があまりないと思われる人やものを指す言葉」と正しい英語で品よくまとめられています。
アメリカ英語のメリアム・ウェブスター大辞典の方には未だに掲載されていないそうですが、今後注目の用語というページの方に載っているそうです。
そういえば日本語にも肉付けという表現があることに今気づきました。見掛け倒しにnothingburger。言語文化が違っても似たようなコンセプトがあるんだから人間って面白いですネ。
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