まさかと思ったカナダへの50%関税
3日前にアメリカのメンタルヘルス・クライシスについて書いたブログ。その中で不安材料②として取り上げた「カナダの山火事の煙がメーワクなので50%の関税をかけてやる」と大○領が発言した件。笑っていいのか心配していいのかわかんないとその時は思ったんだが、まさかのまさか、ホンキだったらしい。
先日発表になった(マジで)50%の対カナダ関税の発動は30日後の予定。

今さらですが関税の仕組み
簡単におさらいをすると、「50%の関税」とは、アメリカが他の国からTシャツやらチーズやら機械やら薬やらを100ドル分輸入すると、輸入する側がアメリカ政府(税関)に100ドルの50%、つまり50ドルを税金として納めなくてはいけないということを意味する。100ドルで済んだはずの輸入コストが150ドルになり、その上昇分は、輸入した人が吸収するか(企業の利益率が落ちる)、売値に反映させて消費者に払ってもらうかの二択。つまり、関税が高ければ高いほど、輸入元アメリカ人の生活と経済全体に影響がでる。なのに、他の国に腹を立てるとすぐに「関税をかけてやる!」という人が一名。
あまりに関税が高いともう買えません、と輸入を減らすので、輸出側にももちろん影響が出るが、昨年4月に世界各国に対してかけ始めたイジワル関税では、他のルートを見出したり多国間協定が盛んに結ばれるなど生き残り戦略が功を奏して、当初のパニックに反して世界恐慌に陥るようなことはなかった。もし恐慌に陥るとしたら、関税ではなくイラン戦争が起因である。
昨年発動した関税の日本への影響は
日本には昨年夏から(自動車などの特例枠を除いて)一律15%で落ち着いてたが、米国最高裁が「一部関税は違法」と決定を下したことで色々あって10%に下がったものが、7月24日に改訂される予定になっており、今のところ一律12.5%だろうと予想されている。品目など詳細はまだ不明。今のところ、大部分の日本企業が変化分を吸収したり、円安のおかげで輸出総量は減らなかったなど、暮らしへの打撃は予想されたよりマイルドで済んでいる。
なぜカナダに無茶な関税をかけるのか
さて、カナダ。アメリカ、カナダ、メキシコの3国間にはイジワル関税を避けることができたUSMCA協定というのがあって、現在はカナダからの輸入の約85%には追加関税はかかっていなかったが、今回の50%関税はチーズからホッケー用品に至るまでありとあらゆる品目が対象となる。
国境を隔てた兄弟とまで言われるほど仲の良かったカナダにどうしてこんな意地悪をするの?といちばん謎に思っているのは当のカナダであろうが、言っていいですか、トラ○プがイケメンのトルドー前首相を毛嫌いしてたというのがすべての根源であったとワタシ的に確信している。
首相職を退いてからは、ケイティ・ペリーのボーイフレンドとして世界を飛び回っているトルドー前首相は、第一次ト○ンプ政権時代に彼を嘲笑っている模様を隠し撮りされてからというもの、いくら彼がト〇ンプの自宅に馳せ参じておべっかを使っても関係の修復はならなかった。ホントかどうかは知らないが、メラニア夫人が挨拶のキスをされて異様に熱い視線でトルドー前首相を見つめていたと言うゴシップが動画付きで拡散されたのも相当腹立たしかったに違いない。
大○領に再当選してからはトルドー前首相を「カナダ州知事」と呼ぶようになり、カナダを51番目の州としてアメリカに併合させるという「はあ?」的な発言を連発するようになった。
なにがなんでも関税かけてやる〜!
トルドーに代わって登場したのが現在のマーク・カーニー首相。カナダ銀行(カナダの日本銀行ね)の総裁を勤めた後、初の外国人イングランド銀行総裁としてブレグジット時の混乱経済を乗り切る舵をとった彼は、言っちゃ悪いがどう逆立ちしてもトラのかなう相手ではなーい。
脅せばすぐに「わーんごめんなさいいい、何でもするから許して!」と言ってくると思ったカナダが、なんか強気じゃないの!それが気に食わない彼は、なんとかもっと意地悪してやりたい、とその機会を待っていた。イラン戦争も飽きちゃったし、グリーンランドもどうももらえなさそう。国内では俺のことみんな嫌ってるし、キューバも時間かかりそうだし、よし、じゃあカナダに新しい関税をかけてやろうじゃないか!と、この辺が彼の心の動きであった。
言うことを聞かない相手が何より嫌いなトラ。相手が世間にはっきりと分かる方法で負けを認め完全にひれ伏すまで気がすまない。イ○ン戦争が終わらないのもそれが理由である。
カーニー首相は、発動までの30日間に飽かず交渉を続ける、と声明を出した。どんな形であれ「トラが勝った」という印象を与えさえすれば交渉の余地があるはずなので、知恵を絞ってなんとか回避に至ってほしいものだ。
アメリカ国外からこのブログを読んでくださっている方は「まさかあ」と思われるだろうが(普通はほんとにマサカな内容)アメリカ国内の方はこのあたり、ガッツリわかっていただけると思う。
こんな関税いくらなんでも違法でしょう???
さて、驚くのはアメリカ政府の中にありとあらゆる過去の法律や条例をつぶさにリサーチし、とんでもない関税にマトモに聞こえそうな理由や裏付け(っていうか、こじつけ)をいちいち見つけてくるスタッフがいるという事実。
今回の50%関税の言い訳は、1930年代の「大恐慌時代」にしかれた関税法338条「米国製品に対して差別的な扱いをする外国に対し、大○領の判断で最大50%の追加関税を課すことができる」という条文で、これまで実際に発動されたことは一度もない「開かずの扉」的な法律。
昨年4月のイジワル関税や「カナダ51番目の州」説に反発して、カナダ全域ではアメリカ製品のボイコットが起こり、カナダのほぼ全州でバーボンなどアメリカ産のアルコールの販売が停止されている。チーズにヨーロッパ特別枠を儲けるなど、アメリカの関税に対抗する措置がしかれた。これらを「米国製品に対する差別的な扱い」とみなす、というわけだが、ほんと、カナダ、とんだ迷惑、気の毒としかいいようがない。
トレジョで買う「冷凍ワイルドブルーベリー」の原産地はカナダと書いてある。もちろんメープルシロップも。また値上がりするんかい💢と腹立たしいったらありゃしない(余談だが、粒が格段に小さいワイルドブルーベリーは普通のより栄養価が高いらしいよ)。
日本への新関税はどうなる?
今のところ日本へは12.5%じゃないかと言われている関税は、1974年の通商法301条「貿易協定の違反や権利の侵害、外国政府による不当または不合理な政策・慣行(知財侵害、市場アクセス制限)に対抗するため米国が対抗処置を取ることができる」に基づいている。
自国産業の保護のために輸入枠を定めたり品目に寄って関税を調整するというのは至ってフツーの経済慣行であるにも関わらず、そういうのも「不当または不合理な政策・慣行」であるから許さん!という。日本はアメリカ車の輸入を必要以上に制限しているという思い込みにこだわる彼、もしかしたらとんでもない率の関税になる可能性もある。7月24日の発動まで、日本政府に頑張って交渉していただきたい。
過去に書いた関税関連のブログ
昨年4月の発表直後に書いたブログ(関税の仕組みを説明してあります)

発表直後の混乱と、零細企業への打撃を取り上げて書いたブログ

発表後にアメリカを襲った経済不安と生活への影響について書いたブログ

発表後にアメリカの主要港へのコンテナ入港の様子などを深堀したブログ

昨年夏、日本への関税15%の内容を分析したブログ

アメリカ国内のインフレが関税の影響を受け始めた昨年晩夏のブログ




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