久々に実家で紙の新聞に触れたという仲良しが、数日前の日本経済新聞の文化時評「米国でブルーカラービリオネア現象 – 米国でお金持ちになるのは知識階級という今までの常識が崩れつつある」という記事のスクショを送ってくれた。記事の内容を彼女がうまいことまとめてくれたのでそのまま引用させてもらうと(ありがとうひろみちゃん)、
「配管工、空調整備の仕事はAIにはできないので、今やホワイトカラーよりも給料が良いという現象がアメリカで起きているらしい。 ハーバードなどの有名私立大への助成金をカットしようとしているトランプ政権が、ブルーカラー養成を支援している、 とある。 ブルーカラーで賃金が最も高いのはエレベーターとエスカレーターの設備、修理工で、年間所得の中間値は日本円にして¥1600万。 経営学、コンピュータサイエンスを専攻した学生には仕事がない とあり、 常識はどんどん崩れていくね」。
そのとおりでございます。
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記事中に水道管の水漏れ修理2時間の作業で約12万円(800ドル)とあるが、2時間もかかる大掛かりな修理にその金額は案外オトクな方かもしれないと思った(汗)。我が家の冷蔵庫の水漏れ、家電の修理屋さんに来てもらったところ、合計作業時間はマジで10分以下、小さな部品の交換が必要ということでその代金を含んだ請求額は350ドル(5万4千円)だった。もうね、何かが壊れるとまず頭に浮かぶのは$$$の文字ヨ。
我が家の二軒先、ピカピカのBMWが二台並んでいる大きな家のおじさんは配管工で、去年から息子さんも同職についた。息子さんは州立大を卒業した後、お父さんの助手をしながら仕事を学んだらしい。大学を出てプラマー(配管工)??? 数年前までは怪訝に思われる選択だったかもしれないが、今では「なんて賢い選択なの」と思う人のほうが多いかもしれない?いつの世にも人間はトイレに行き、トイレは壊れるものなのだ。お風呂には髪の毛は詰まるし、パイプはいずれ劣化する。AIにはトイレづまりを治すことはできない…。
先日、マイクロソフトが「AIに取って代わられやすい仕事、そうでない仕事」についてのリサーチを発表したんだが、日経の記事の時評もこれを参考にしていたのかもしれないというくらい内容がにガチでかぶっているのがたいへん興味深かった。
AIに置き換えられそうなやばい仕事の方を先にご紹介すると、
| 順位 | 職業名 | AI置き換え率 (%) | AI影響度スコア | 雇用者数(人) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 通訳・翻訳者 | 98 | 0.49 | 51,560 |
| 2 | 歴史家 | 91 | 0.48 | 3,040 |
| 3 | CNC工作機械プログラマー | 90 | 0.44 | 28,030 |
| 4 | 著述家・作家 | 85 | 0.45 | 49,450 |
| 5 | サービス業の営業担当者 | 84 | 0.46 | 1,142,020 |
| 6 | 乗客案内係 | 80 | 0.47 | 20,190 |
| 7 | 電話交換手 | 80 | 0.42 | 4,600 |
| 8 | 放送アナウンサー・ラジオDJ | 74 | 0.41 | 25,070 |
| 9 | カスタマーサービス担当者 | 72 | 0.44 | 2,858,710 |
| 10 | チケット発券・旅行窓口担当者 | 71 | 0.41 | 119,270 |
AI置き換え率とは、AIによって代替・自動化される可能性がある作業の割合を示し置き換え率が98%は仕事内容の98%がAIで代替される可能性が高いことを意味する。
AI影響度スコアとは、1. カバレッジ(AIができる作業の割合)2. 完了率(AIが作業をどの程度ちゃんとこなしているか)3. スコープ(AIの貢献の深さ)の3つの要素を組み合わせて算出された指数。
右端は、現在アメリカでこれらの職業についている人たちの数。現在285万人が従事する9位のカスタマーサービスの70%がAIに置き換えられると単純計算で約200万人が失業(!)する。
さて、逆に「AIに置き換えられにくい」とされる仕事はこちら↓
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歯科補綴医(入れ歯・義歯の専門医)
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マッサージセラピスト
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採血技師
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看護助手
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遺体衛生保全師(エンバーマー)
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各種設備・プラントオペレーター
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口腔外科医
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機械供給・搬出作業員
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有害物質除去作業員
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塗装工・左官などの助手
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自動車ガラス取付・修理工
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船舶機関士
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製造作業員助手
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医療機器準備員
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包装・充填機オペレーター
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食器洗い係
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セメント左官・コンクリート仕上げ工
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消防士の監督者
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産業用トラック・トラクター運転手
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眼科医療技術者
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手術助手
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タイヤ製造工
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ガス圧縮・ポンプ操作員
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屋根職人
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石油・ガス業界の現場作業員
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メイド・ハウスキーパー
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舗装・締固め機械オペレーター
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林業用重機オペレーター
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モーターボート操縦士
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病院の介助員
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床研磨・仕上げ工
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杭打ち機オペレーター
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鉄道軌道敷設・保守機械オペレーター
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鋳造型・コア製造工
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水処理プラントオペレーター
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橋・水門操作員
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浚渫(しゅんせつ)作業オペレーター
…と数個の例外を除いて見事に従来の「ブルーカラー」職種が並ぶ。我が家がお世話になった職種というと、屋根職人、床研磨工、セメント左官さんなどであるが、たしかにねえ。AIにも取って代わられにくいいだろうし、お支払いした金額が(汗)。考えたくもない。一般のホームオーナーは家や家電に不都合があると専門家に頼らざるを得ない。そのたびに出ていく数百ドル、こんなことなら来世は絶対大工さんか配管工にというのが我が家の合言葉だが、これ、わりとみんな言ってるね(笑)
「コンピューター・サイエンス専攻でパーデュー(名門)大学を2ヶ月前に卒業して300社以上に履歴書を送ったけど、採用されたのはファストフード店のチポレだけだったの!」とメイクをしながら淡々と述べる女の子のTikTokが数ヶ月前にアメリカ中でバズった(チポレのどこが悪いの!?と炎上もしたのでオリジナルの投稿は取り下げちゃって見れません)。
実際にチポレでバイトをしながら(マックのお姉さんを想像してください)仕事を探し続け、8月に年収約5万ドル(750万円)の仕事につくことができたそう。4年前大学に入ったときにはコンピュータサイエンス専攻は卒業後に年収2000万は保証されてる、って感じだったのにこれが現実ね、とのこと。750万円は高額に思えるかもしれないが、キチガイ的に物価や医療費が高いアメリカは約500万円が全国平均の「貧困家庭境界線」なので、名門大学卒ということを鑑みるととても条件の良い仕事とは言えない。パーデューのような私立だと、4年間の学費に20万ドル(約3000万円)かかっていることをお忘れなく。
おばちゃんの周りのコンピューターサイエンス専攻も、就職につながる在学中の夏季のインターンシップからして見つからない状況。大学出たての子が書くようなコードなんて、休暇も雇用保険も上げる必要がなくて、24時間働いてくれるAIのほうがいいもんねーってことか。先日はアマゾンが3万人の解雇を発表、いよいよ AI Layoffs AI解雇の波が本格的に雇用市場を直撃か!?と話題になった。
一握りのAI/テック企業たちは相変わらずお互いに投資をし合って会社価値を上げ、各地に巨大データセンターの建設が続くなか、エントリーレベルの仕事がどんどんAIに取って代わられていくのは必至。
その中でどうやって生き抜くかというテーマの動画やポッドキャストも増えている。レイオフされてもめげない、自分の存在価値を在職中からアピールしておく、AIに仕事を取られるのではなく「使いこなせる」存在になること、職種にしがみつかず柔軟な就活を、と言ったアドバイスが多いが、人生の行き先を選択するとき「いかにAIに置き換えられないですむ人生を選ぶか」というコトを必ず考慮に入れなくてはいけない時代になったわけだ。
すべて英文ですが、こちらがマイクロソフトのリサーチの原文、全41ページです。自分が考えている仕事はどうなんだろう?と興味のある方は、AIが翻訳してくれるのでぜひ読んでみてください。細かいデータをもとに分析してあるのでとても参考になります。
Working with AI: Measuring the Occupational Implications of Generative AI


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