「隣の芝生は青い」論
この週末、私の花嫁介添人をつとめてくれた大親友が出張でニューヨークにやってきた。積もる話がありすぎてクラクラしたが、やはりこの歳になると「将来どうする?」みたいな話になる。あと2年で定年だという彼女と温泉に行く以外は「そうねえ、やっぱり日本に(永住)帰国したいなあ」と呟くと、「え?なんで」と怪訝そうな反応が返ってきた。大体この反応がデフォである。
全米に広がる日本人女子の会で「将来帰る?」という話題が出ると、私らの年代は「帰りたい」という意見が主流であるが、日本に住んでる友達と話しているとほぼ90%以上は「なんで帰りたいのお?隣の芝生は青く見えるのよ、海外にいるから日本がよく見えるのよ」という。
でもね、隣の芝生が青いのなんかもちろん織り込み済みだし、こちらで野放図に暮らしていたツケがまわって実際に帰国した時にちゃんとアジャストするのが大変なのを百も承知で、「やっぱり日本で死にたい」と思ってしまう。家族がいて、こちらで積み上げた生活があって、簡単な決断ではないので実際に実行に移せるかはわからないし、こちらの生活を畳んでスッキリ帰国する人がどのくらいの割合いるのかはわからないが、こちらに残ったとしても「ああ、にほん…」と心のどこかで思い続けることは間違いない。
さて、私の親友も、慎重にプロコン検討した方がいいよと言う。優しい彼女は「帰りたいなあ」という言葉と気持ちを真っ向から否定するようなことは言わないが、その表情から「反対派」であるのがわかる。
「なんで日本に帰らない方がいいと思うの?」と聞くと、みんな口を揃えて「だって日本、オワコンだもん」という。マジで口を揃えてい言う。
その理由として「経済停滞」「少子化日本の行き先は暗い」が上がる。
「経済停滞」の正体は
日本オワコン説が本格化したのはやはりGDP(国内総生産)ぶっちぎりの2位から4位に転落した頃からではなかったか。長く続いたデフレ時代の閉塞感は半端ないものがあったが、今に来て、円安、輸入コストアップ、サプライチェーン問題などでインフレが進んで、閉塞感から今度は圧迫感になった。けど、数字だけで見れば日本の賃金上昇率はインフレ率を上回っている。アメリカは、品目によるがインフレ率のほうが遥かに高いのだ。デフレの間は物価も低かったので経済全体に回る金額も小さくGDPにも影響した。サイズの問題であって、経済活動全体の質は日本は決して低くなんかないのだ。
中国とドイツに追い抜かれたわけだが、中国の躍進の理由は、あの人口とめちゃ安い賃金で政府主導で製造業への投資をガンガン続けて「世界の工場」と呼ばれるまでになったのが理由だ。これからもAIや再エネ産業への投資で伸びるだろうが、日本には無茶振りを許される中国共産党がないのだから中国と張り合うのはムダだし、第一日本人は、政府に監視・支配されたいなんてだれも思わない。ドイツはEUがついてるんだもん。別に4位でいいじゃん、っていうか、経済の健康度をGDPで図るという指標自体歴史が浅いし、こーんなにちっこくて天然資源もないのにここまで順位が高かったいうこと自体が元々驚くべきことだったと思っている。
GDPが高くていつも経済がブイブイ言ってる国が国としての目標なんだろうか?高度成長時代みたいに世界に尊敬されたらそりゃ鼻は高いかもしれんが、鼻高くても過労死とかしたくないじゃん。第一、世界に一目置かれてそれがなんぼ?である。日本は世界からの信頼バカ高く、そもそもだれも負け犬だなんて思ってない。思ってるのは当の日本だけだ。
だから、「世界の中の日本の地位が下がりました」とかなんとか言う報道に惑わされて、だめだめなんだと思わないでほしい。「円安」は(「安」という文字がまた負けを匂わせるもんで)過剰に反応してしまうが、アメリカの金利と日本の金利は違うし為替市場はとにかく複雑なので「もうだれも日本円なんか買いたくないんだ、信用されてないんだ、だから円が下がるんだ!」って感じで報道するメディアはガン無視していただきたい。
少子化の正体
「本当に人がいないのよ」というのは確かにまずいが、それは世界中の先進国が揃って抱える問題であり、日本に限ったことではない。出産率が日本より低い韓国では「育てるのが大変だから」ではなく「過酷な競争社会に自分が産んだ子を放り込むのが忍びない」という理由を挙げる若い人がたくさんいるというから驚くではないか。厳しそう💦アメリカだって、統計は日本より高く見えるが、宗教上の理由でいまだに五人六人と産み育てる家庭も多々いることを計算に入れると、都市部での女性の高学歴化と出産率の低下は日本とそう変わらない。日本だけが飛び抜けて最悪な訳ではないのに、少子化、少子化とあまりにメディアが騒ぐから不必要に危機感が高まる。
お隣韓国は、少しでも生んでもらおうと政府が子守をタダで派遣してくれる仕組みができた。日本も出産費用を政府が負担する案や、市長さんだって産休が取れる社会に変えようと、ゆっくりだけど改善しようとしてるのだ。
経済のサイズはすなわち人の数。子供が産まれなけれは子供服もべビーカーも売れないし、バースデーパーティもしない、ディズニーも行かない。人が多ければ自然と経済活動が増えて活性化する。先進国で揃って子供の数が減ってきてる今、停滞に悩んでいるのは日本だけじゃない。これは後で述べる「中堅国助け合いの会」の国々に共通する課題で、知恵を寄せ合って子供が増えてる後進国・中進国に投資するとか色々考え中のテーマなんである。
他の国から見た日本を気にしすぎ
2026年、戦後80年の基盤が壊れてグラグラな今、国力を比較し合うということ自体、意味を持たなくなってきている。世界中で安全保障の礎の役を務めていたアメリカが「もうやりません」宣言したどころか、率先してイジワル関税つけたり、昨日は確かホルムズ海峡の通航料を20%払えとか言い出しませんでした?経済力のある国、イコールいい国、頼りになる国、強い国という今までの常識は、完全に覆っちゃったのだ。
過渡期の今、生活が苦しいと感じる人が増えて、円安で上がる生活コストの影響をビンビンに感じる人も多いと思う。でもこれ、産みの苦しみ…または、アメリカの呪縛から逃れて再生できる好機ではないか考える。日本は立派な「中堅国」なのだからこれ以上、「世界の中の地位」なんか気にしなくていい。アメリカが暴走する今、カナダのカーニー首相が提唱して「中堅国のお助け合いグループ」がしっかりと形作られようとしている。
カナダ、評判いいけどGDP低いよ?EU内の中堅国フランスもイタリアも日本よりぜーんぜん経済もテクノロジーも医療も優れないけど、偉そうにしているじゃない???みんなの強みを合わせてみんなで高みに上がってけばいい。今、世界の先進国に「俺たちぶっちぎってます!がんがん伸びてますっ!」という国はほとんどない(アメリカはテックで伸びてるふりしてるけど張り子の虎)北欧は幸せそうだけど、これは国民の幸せ度とはちょっと次元の違う話。
「日本の強み」の話
GDPだけじゃなくて、産業研究がどんどん遅れをとっている、という事実?懸念?もよく聞く。「日本はAIもだめよねー」というのもよく聞くがそれは日本発のAIがないから?てか、世界の中で主流のAI開発したのはほぼアメリカと中国だけじゃん。アメリカはバリバリ資本主義と規制の欠如で国を挙げてこの業界が伸びる仕組みにゴリ押しでなっているんだし、中国に至っては、共産党の投資とハッキングも厭わない強気と「ずる」のおかげだ。
そんなこと、日本、やりたい?やりたくないよね?AIを開発しなかったなら、他の人が作ったAIを日本人ならではの几帳面さと粘り強さでKAIZENすればいいんだ。日本車のように。日本の経済を牽引してきた「日本車」、元々の「車」自体日本が作ったわけではないんだから、同じことがAIやロボティクスにだって言えなくはあるまいか?
AIも医療研究も、創造力で遅れをとったとクヨクヨして時間をムダにするんでなく、日本の強みをガンガン応用していけばいい。アニメや漫画、サンリオにスシ、KONBINI (コンビニ)、素晴らしい食文化、おもてなし、伝統文化、稀を見ないデザイン性とモノづくりのうまさ、ていねいさ、完ぺきさ…。日本には他の国が逆立ちしたって真似できないものがてんこ盛りなのだ。アニメとAIじゃ違うでしょう???という声が聞こえてきそうだけど、そうかなあ?フランスの強みはAIでも産業機械でもない「ファッション」だよ?
どっちか言うと、投資とアタマのいい人たちがいればだれでも開発できるAIよりも、唯一無二の国民性、こっちのほうがなんぼか価値がある、とワタシは考える。
国としての自己肯定感が低すぎる
それ関連の本が本屋にずらりと並ぶほど、個人レベルで自己肯定感の低さを問題として認識してなんとか改善しようと励んでいる人が多い。これ、国レベルでも自覚を促すべきだ。
「自己肯定感が低い」と「謙虚であること」は紙一重だが、表裏一体であってはならない(と言うのは簡単だがね)。切磋琢磨、努力、改善が美徳の国民性だからこそ他の国にはありえない素晴らしさがたくさんあるのに、実際に日本に住んでるみんなが口を揃えて「日本オワコン説」を口にするのが残念でならない。
「謙虚さ」「自分はまだまだだ」「もっと頑張らなくては」が戦後日本の原動力であったことに間違いはないが、私らほとんどが覚えている世界が大きく形を変えようとしている今、これまでの経済指標や、他の国からどう見られているか、世界の中で日本の立ち位置はどこか、なんて実態のないアホなものを気にし、必要以上に謙虚である必要はまったくない、後ろ向きの「これじゃだめだ」からは何の解決策もでてこないから。本質を見失わないようにしなくては。
まとめ
日本は貧困率低し、治安は世界最高レベル、文盲率ほぼゼロ、全国標準の教育スタンダードがある。社会保障、医療制度良し、宗教間や政治イデオロギーで目立った抗争がない。豊かな社会では普通、格差が広がるために自然犯罪率が上がるはずなのに何十年も治安と平和を守れている。ルールを守る、他人を尊重する、約束も期日も守る。礼儀正しさ。日本人の国民性のおかげ。こんなに人を信用できる社会なんて、世界中どこを探したって日本以外お目にかかれない。
世界はちゃんと見ている。日本と良い外交関係を結びたい、良い貿易関係を築きたいと思わない国は中国、北朝鮮含め世界中どこにもない。それをみんなが自覚して、もっと自慢に思っていいのになんでオワコン…涙。
誓って言うが、町でなくした携帯が出てくる国は世界広しといえども日本だけ。でてくるのは、「人々の良心」と「もれのない交番の連携ネットワーク」のおかげだ。「連絡します」と言って連絡がこなかったら日本ならびっくりするが、GDPで世界一位に輝くアメリカでは、連絡が実際に来たらびっくりする(というのは大げさかな)、でも半分は絶対来ない。あなたならどっちと一緒に仕事がしたいか考えただけで、日本の価値というものがよく分かる。
あまりに改善気質が身につきすぎて「いや、でも」とまずツッコミどころを探してしまうのはもう日本人、死ぬまで治らないかも。それなら一歩引いて、状況を冷静に見るクセを身に着けてほしい。「いや、でも」で見つかったツッコミどころには「改善の余地はあるかもだけど、他の〇〇はできてるな、素晴らしいな」と、「自己肯定感を上げる本」に必ず描かれているようなテクを活用してもらえたらと思う。
かなり乱暴なまとめだったかもしれないが、ここに書いたこと、みんなに考えてもらえたらと思う。



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