米・東海岸で気温40度!建国240周年記念日とアメリカの停電事情

アメリカ苦労話・日本大好き
アメリカ建国250周年記念日

7月4日土曜日はアメリカ建国250年を祝う建国記念日だった。せっかくの大きな節目の記念日なのに、アメリカ全体なーんとなくしらけ気味。実は世界で一番盛り上がってくれたのは我が日本ではなかったか。お台場の空に次々に描き出されるドローンアートや花火には驚いた。

なんでしらけ気味かというと、ほら、あの人のせいよ。このイベントに至るまでの政権のしっちゃかめっちゃかはブログ5本分くらいはあろうかという騒ぎだった。妙に政権に乗っ取られてしまった感じの建国250周年記念は、喜んで祝っていると「あら、あの人ト〇〇〇派なのね?」と思われてしまいそうなのでやめた、というアメリカ人も多かったに違いない。アメリカ人の気質から言って、国中がお祭り騒ぎになるの確定の記念日のはずだったのに、海星条旗模様の紙皿やコップ、テーブルクロスなどは軒並み売れ残り、1日経った今日はセールコーナーに赤い値札をつけて移動されていた。

建国記念日よりも前日にマジソン・スクエア・ガーデンで行われたテイラー・スウィフトの結婚式のほうが話題になっていた。「アメリカ人であることに誇りを感じますか」という質問に「はい」と答えた人がわずか23%だったという統計もあり、アメリカ人、自国に対してとてもアンビバレントな距離感を感じている今日この頃である。

建国記念日どころじゃなかった東海岸の異常気象

今日は、記念日が盛り上がらなかったもう一つの理由、「異常気象」について書いていこうと思う。

ヨーロッパのお天気のニュースを見てギョッとしていたところ、同じ熱波かどうかは知らんが東海岸一帯が「華氏100度」をこえる暑さに突入したのが先週の火曜日だった。こっちに何十年住んでも華氏がしっくりこないのは困ったもんだが、100度は摂氏で約38℃。35℃とか38℃とか言われるより華氏100って言われるともっと暑い気がするのは私だけだろうか。日本の夏なら驚愕する気温ではないかもだが、堪え性のないアメリカ人にはかなり厳しい。車社会で、どこにいくにも木陰のないだだっ広い駐車場に止めざるを得ない車の中の暑さは猛烈だ…。

土曜日(建国記念日)には華氏104度、摂氏40℃を超えるという予報が出て、町単位で行われるパレードが続々と事前中止になった。夜は派手な花火大会が行われるのが常だが「中止になるかもしれません」と連絡が来た。

この辺一体に電気を供給するPGMという電気会社が、エアコン消費量の爆上がりにより「緊急事態運転に切り替えます」と声明を出した。乱立するデータセンターによる電力不足はすでに深刻で、そのせいでは電力は20%以上の値上がりをしてる状態。この暑さと、エアコンを失う恐怖で建国記念日どころではない。一体この気温でエアコンがないパリの人たち、どうやって生き延びたの???と考える。

恐々としていた金曜日の夕方、雨嵐がやってきた。

雨嵐の通過後・もちろん停電

嵐のあと暑さが和らぐのがお決まりなので、ほっとして暗くなっていく空を見てたところ…突然庭の木が狂ったように横振れを始めた。屋根の上に「どす!」と何か落ちてきた。その何かが屋根の上をひきずるように移動している音がして、長さ5メートルはあろうかという木の枝が反対側から落ちてきた。大ぶり小ぶりの枝が庭にガンガン落ちてくる。庭の野菜に被せてあるグリーンハウスは風に飛ばされ、家のへいに引っかかっている。菜園のトマトが左右に90度倒れては起き上がり、起き上がっては押し倒される。すごい突風。

わずか20秒後、突風は去って、フツーの雨が降り始めた。ぴー…と尻つぼみの音がして家中の電気が止まった。仄暗い窓から入ってくる明かり以外何もない。停電だ。

この先進国で、夏にはハリケーンだなんだ、冬は雪だなんだと停電が大小含めて一年に5回から10回はある。嵐や雪の重さで電線を引きずって木が倒れたり、配電盤に故障が出る。余談だが、ニューヨーク行きの電車も同様の理由でそれはそれはよく止まる。気象が変になり始めた15年くらい前から毎年続いているのに改善が見られないというのは一体?「アメリカ、終わコン…」というフレーズが頭をよぎる。どうにかならないの???と毎回思うが、通常は半日から長くても1日で停電が終わると「喉元過ぎれば…」こっちもすっかり忘れてしまい、元の生活にストンと戻ってしまうという循環のアメリカ生活である。日本の皆さんには想像つかないワイルドさなんである。

自己防衛・停電を乗り切る術

行政も電力会社も何もしてくれないので、ニュージャージーの家庭は自己防衛策としてだいたい自家発電機をもっている。我が家のようにガソリンで動く原始的な発電機の他に、ここ10年くらい近所に普及したのが、電気が切れると自動でガスに切り替えてくれる外付型のスマート発電機である。結構なお値段のスマート発電機、我が家は毎年停電のたびに「ガスのやつ、設置する?」と話は出るが喉元すぎて忘れる。

電気が戻る気配がないので、夫がガレージからズルズルと発電機を出してきてスイッチを入れた。作動中はまるでトラクターみたいなすごい音がする我が家の発電機は、本格的な嵐のシーズンに入る前にガソリンを入れてテスト作動させたばかりだった。万事慎重派で、B型の妻はイラっとくることのあるA型の(すまん)夫だが、こういう時は役に立つ。ありがとうよ。

ボワん、と音がしてエアコンが戻ってきた。ほっとする。冷蔵庫も動いているのを確かめて、あかりが必要な最低限の家事やお風呂をすませ、ろうそくやキャンプ用のランプ、乾電池などを整えてから必要のない灯りを消す。エアコンの電力消費量がハンパないので、すぐにキャパオーバーになってしまう。ドライヤー禁止、髪の毛も今夜は自然乾燥だ。9時ごろまでほの明るかった空が暗くなり、部屋の中は静寂に包まれた。いつもはこの時間ついているネトフリの音もなく、ろうそくがゆらゆらして、あら、なんかいい感じ。

寝る前に発電機を切ってからも、その日は死ぬほど暑くなることはなかった。寒冷地の家なので密閉性が高いのが幸いした。冷蔵庫もオーケー。朝には電気が戻っているかと期待してベッドに入ったが、翌朝も相変わらず家はほの暗いままだった。

(こんな感じの倒木が近所にゴロゴロ)

建国記念日の北ニュージャージーは、通過した突風を伴う嵐のせいで広いエリアで停電になっていた。パレードや花火どころではない。祭日だなんてコンセプトは完全に頭から欠如してしまっていた。電力会社のウェブサイトによると「復旧見込み・不明」と出ている。この辺一体が真っ赤に塗られているサイトの「停電地区」地図をみて、これは長期戦になると覚悟した。

停電生活を楽しむ?

ま、しゃあないな。数時間おきに発電して家と冷蔵庫を冷やし、デバイス類を充電してあとは静かに過ごすしかない。エアコン優先で、ヘアドライヤー、サーキュレーター、電子レンジなどの使用は禁止。夫は日に何度も出入りしてガソリン入れたりなんやらするので汗だくで、着るものがないという。エアコンを切ってその分の電力で洗濯機を回す。乾燥機は使えないので、家中に夫のパンツやシャツがかかっている。

夏の定位置、サーキュレーターの前に陣取って、風が来ないのを怪訝に思って私の顔を交互に見つめるわんこたち。停電だって教えてあげられるといいんだけどね。あきらめて2匹で一番冷たいらしいキッチンのフローリングに移動していた。

外は、昨日より暑い103度、摂氏39.5度の建国記念日だ。

ホワイトハウス周りで開催されている奇妙な建国記念の式典やお祭りを、電気があればつい見てしまったと思うが、目の前のサバイバルに忙しくガン無視できて精神衛生に大変良い。日本人より耐性の低いわが家のアメリカ人が、部屋の気温が上がってくるとこまめに発電に走るので部屋の中はまあ快適。時間が限られているので、電気やWi-Fiが必要な作業は効率的にサクサク進む。しばらくして発電機を止めると、もう後はアナログなことしか出来ない。だらだら携帯や動画を見ないので、なんか、一日が長いぞ!

停電生活4日目に突入の今日

さて、二日が経過し、現在7月6日(月曜)午後12時。電気会社からは、この地域の復旧は7月9日木曜日の深夜と連絡が来た。停電になったのが金曜の夕方だから、停電が実に6日半続くということだ。木が倒れたせいなのか、何か施設が破壊したからなのか、そういう説明は全くなし、不透明度マックス。ご近所のグループメッセージでも「フェアモント通りで通行止めになってたからあそこの通電盤が壊れたんじゃない」とか「オークヒルで修理のトラック見たけど」と憶測が飛び交う。こういう時に妙に現実的なアメリカ人「ま、知ってもしょうがないしね」という感じで話はまとまり「もっとひどいとこがあったみたいよ、私らラッキーだったよね」とポジティブにそれぞれの生活に戻っていく。

木曜までこの生活とわかって腹くくった。幸い気温はぐぐーっと下がって、今日はエアコン無しで過ごせるレベルの涼しさだ。停電になるたび同じコトを考えるが、いかに小さなことまで私らの生活が電気に頼っていることか。朝起きてコーヒーを入れようとして、電気ケトルが使えないことに気づく。ゴソゴソとマニュアルのやかんを出してきてガス台に乗せるが、着火できない。ライターを持ってきて火をつける。トースターも電気だから今朝はパンを切って餅焼き網で焼く(これはうまい)。と言った調子で一日になんども「不便」に直面する。食洗機が使えないので手でたくさん泡を立てて食器をじゃぶじゃぶ洗い、パリパリに乾いた室内干しを集めて周り、いつもよりていねいに畳む。

なんか、悪くない!不便はあるが、デジタル機器に生活を支配されない快適さ。マジで一日が長い。買ったまま開いていなかった本を明るい窓際に椅子を出して読む。食洗機も乾燥機もなかった時代を肌で覚えているワタシら、ノスタルジックな気さえしてくる。ここまで来るともうずっと電気が戻ってこない気がしてきた。戻ってきたらあまりの便利さに倒れてしまうかも。

時間があるので考え事

オフラインで書いたこのブログは、発電機が動いている今、Wi-Fiで投稿する。いつもより雑音が格段に少ない環境で書きながら色々考えた。ワタシの気分がいいのは、アナログ生活が意外に楽しいだけでなく、見聞きするニュースの量が激減しているからだ。今のアメリカをしっかり見ておかなきゃ!という興味と妙な使命感にかられて、現政権が発足してからは特に熱心に新聞を読み、聞き逃さないようにしているポッドキャストも複数ある。もちろんその習慣を続けようと思えば家のWi-Fiがなくてもできるわけだが、もういいや。代わりに本読んで、いつもよりていねいに拭き掃除をする。何が起きてるか知らないほうがなんぼかラクなんだ…。

停電が終わったら何もなかったように普段の生活に戻っていくのが常だが、いつもより長いこの停電のあとは、戻っていく流れに抵抗するものがワタシの中に生まれつつあるのを感じる。

デジタルに支配されない一日はゆっくりと進むことを実感した。小さな不便を工夫して乗り切る楽しみを見つけた。ニュースや携帯で外とつながり続けることが実は自分の消耗につながっているということに激しく気付いた。

そして今回こそマジで緊急対策を練る

異常気象は後戻りしてくれない。長期的展望というのが苦手なアメリカで大きなインフラ投資は望めない現状では、自分の身は自分で守るしかないということもよーく身にしみた。

今回、停電が終わったら思いっきりねぎらってあげたい発電機はもう13年もの。いつ壊れてもおかしくはない。で考えたのが、屋根に設置するソーラーパネル。太陽光発電して室内に充電器を置くのがいいんじゃないか、と話し合い、Wi-Fiがついている間にリサーチしたら、なんと500万から700万円!!!くらいかかることがわかりがっくり。バイ○ン政権時には政府からグリーンエネルギー補助金が出たそうだが、もちろんそんなものはイー○ン・マスクが廃止した。

電力が不足しているこの国で、空からただで降ってくる太陽光で全家庭が発電できるようになったらどんなにいいか。他の国ではどうなのかわからないが、こういうことに政府はお金を使うべきなんじゃ?わけのワカラン建国記念花火を850発も連発し、ワシントンDCは昨日、緑色のモヤに包まれた「世界で最も大気汚染指数が高い地域」だった。そんなお金があったらお願いだからソーラーパネル設置補助金にしてくれい。

ソーラーあきらめて、振り出しに戻ったわが家の次の候補はガスのスマート発電機。コストコで設置してもらうのが一番安い、とご近所チャットグループで聞いたので、今週末さっそく行ってみます。食べ物やお水のストックも仕入れてきます。

コメント

なんちゃってニューヨークをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む