熊本の地震についてアメリカから考える。

アメリカ苦労話・日本大好き

朝一番に熊本の地震のニュースが飛び込んできた。アメリカのメディアでも2階部分がすっかり崩れ落ちたイオンモールの様子や、市内の地震のシーンが繰り返し報道されている。負傷した方、直接何らかの影響があった方はもちろん、同程度の地震が来る可能性や後揺れの心配に加え、電気水道、交通手段の不断など今後しばらく被災地ではとても不便な生活が続くことと思う。速やかな復旧をお祈りします。

海外事例と比べると驚くほど被害が少ない気がした

家やオフィスの中の映像は揺れの凄さを物語り、安否不明の方も多くいらっしゃるので、被害にあった方々にとってはたいへん失礼な言い方になるのを承知の上であえて言わせていただくと、あれだけの大型地震だったのに家屋や橋、道路の崩壊や二次災害の火事などの目に入るインフラ被害がニュースで見る限り少なくてびっくりしている。アメリカのハリケーン被害や先日のベネズエラの大地震などの映像と比べて、とても震度7以上の地震の後とは思えない落ち着きであることを嬉しく、頼もしく思う。

参考までに、昨日ウィスコンシン州を通過した竜巻の被害を報道した動画をご覧いただきたい。家屋の崩壊が激しい。

イギリスBBCのニュースでも、日本では、国を上げての地震災害対策の充実、家屋の耐震基準の高さ、一般の人々の災害認識の高さ、災害時に落ち着いて助け合う文化であること、など、何十年もかけて被害を最小限におさえるためのシステムが構築されて来たことが強調されていた。

繰り返すが、揺れを体験した怖さ、家屋の損傷、負傷、家族の死亡などの体験はとても個人的なものであり、それらの重みを「他国と比べて大したことない」と軽んじているわけでは決してない。

他に類を見ない危機管理体制

気象庁の記者会見が行われたのは、揺れが収まってからわずか63分後だった。その18分後(地震から1時間21分後)には高市首相が会見。さらに2時間3分後には木原官房長官が会見で把握できている限りの被害状況を報告。そして発生から3時間29分後の午後7時56分には、第1回非常災害対策本部会議で自衛隊3,600人規模の即応体制と物資の支援計画が発表された。

この嘘のようなタイムライン。大混乱に陥るはずの大型地震の直後、行政、気象庁、官邸、自衛隊がギアを噛み合わせて、目まぐるしいスピードで実動部隊の投入まで完結させてしまう。このスピードと組織力。ただただ圧倒される。

そして、今回まで知らなかったんだが、NHKは「指定公共機関」として「災害時に国や自治体と連携して防災報道を行う「公的な義務」があり、大災害時には自動的に「特番シフト」など24時間災害非常体制に切り替わる仕組みが法的に定められているんだってね。ニュース速報やライブカメラのほか、アナウンサーはパニックを起こさず的確な指示を出せる訓練を受けている。「避難を呼びかける言葉」「場所ごとの行動指示」の細かいマニュアルに従って、今回はイオンモール内の住民のために「デパート、スーパーマーケットなど商業施設内にいる人のためのピンポイントの指示を行っている」と聞いて驚いた。

具体的には、

  1. その場での防衛「買い物かごや持ち物のバッグで頭を保護し、商品棚やガラス窓から離れてください」
  2. パニックの防止「慌てて非常口や階段に押し寄せないでください」
  3. 安全な誘導への案内「自分で判断して動き回らず、店員の指示や館内放送にしたがって落ち着いて行動してください」

と、パニックを防ぎ、ケガや押し合いの二次災害を防ぐための専用アナウンスが繰り返し行われていると聞いた。アメリカに住む身からすると、これらの細やかさは夢のようである。

アメリカで震度7の地震があったら

AIに聞いてみた。「今のアメリカで熊本の地震のような災害が起こったらどうなると思う?」

「もし現代のアメリカで熊本と同等規模の災害が起きた場合、日本とは異なる社会構造やインフラの特性から、日本とは少し違った、しかし極めて深刻な混乱が生じると考えられます」で始まる答えが怖かった💦

どうして「深刻な状況」に陥るのかのポイントをまとめてくれた答えを要約せず、そのままこちらに紹介しますね。

1. 住宅とインフラ(耐震性と被害の広がり)
木造住宅の脆さと被害: アメリカの住宅(特に郊外や地方都市)は、比較的軽量な木造(ツーバイフォーなど)が主流です。耐震基準や施工の地域差が激しいため、古い建物や基礎が脆弱な家屋は大きな被害を受けます。

車社会の完全麻痺: アメリカは完全な車社会です。熊本地震のように道路が寸断されたり、橋が崩落したり、あるいはガソリンスタンドの電気が止まったりすると、避難や物資輸送の手段が完全に絶たれ、孤立する地域が続出します。治安悪化のリスクで「車中泊避難」がより危険を伴うものになる可能性があります。

2. 社会的対応と「自己責任・ボトムアップ」の文化
行政の初動の遅れとボランティアの自発性: アメリカの災害対応は、基本的には地方自治体(郡や市)が主導し、州や連邦政府(FEMAなど)が後方支援に回る「ボトムアップ型」です。日本のように国や自衛隊が一元的に強力なプッシュ型支援を即座に行う体制とは異なり、地域ごとの対応能力に大きな格差が出ます。

民間企業・コミュニティの強さ: 一方で、アメリカには教会やコミュニティ組織、NPO、そして巨大企業(ウォルマートやアマゾンなど)が独自に物資や支援を迅速に動かす文化があります。行政が機能するまでの間、こうした民間セクターや銃社会ならではの「自衛意識」に基づいた助け合い・武装自衛が混ざり合った独特のサバイバル状態(!!!)が生まれるおそれがあります。

3. 治安の悪化とルーティング(Looting 略奪)
日本の被災地では驚くほど高い治安と秩序が保たれますがアメリカで大規模なインフラ停止や行政機能の空白が起きると、スーパーや店舗での略奪(Looting)が非常に高い確率で発生します(だろうねえ)。警察や消防も被災しているため公権力が一時的に機能しなくなり、商店の略奪や空き巣を防ぐために、住民が銃を持って自衛(!!!)せざるを得ない状況に追い込まれるケースが想定されます。

4. 経済的・医療的格差の影響
医療アクセスの分断: アメリカでは医療が基本的に民間主導であり、高額な医療費や保険の問題があります。被災によって病院が機能停止したり、避難民が適切な治療を受けられない人が日本以上に増える危険性があります。
格差による復興の遅れ: 被災した地域や住民の経済力(人種や所得による格差)によって、自宅の修復や生活再建のスピードに極端な差が生まれ、社会的・経済的な分断がさらに深まる原因になります。

まとめ
日本のような「組織的で統制の取れた避難生活や、全員で耐え忍ぶ秩序」が綺麗に機能する可能性は低く、「インフラの致命的なマヒと車社会の孤立」「行政頼みではなく、民間や個人のサバイバル能力・自助努力(およびそれに伴う治安の混乱や格差)」が前面に出る災害になる公算が大きいといえます。

….当たってる。 怖。大ヒットしたテレビのゾンビ番組「ウォーキング・デッド」を地で行くサバイバルゲーム状態になるの必至だ。

自分でなんとかしてくださいねっていうカウボーイ文化のせいか

国土がバカでかいこの国で、日本みたいにちゃんと国家体制が取れるかと言うと、まあ、それはむつかしいのはよく分かる。だけど、地震大国ではないかもだけど、毎年必ずハリケーンや竜巻はやってくる。最近は妙な豪雪や山火事など、以前はあまりなかった気象災害が年ごとに増えている。

わたしが住むニュージャージー州は、2012年の「ハリケーン・サンディ」が全州に大きな被害をもたらして以来、アメリカ国内ではずば抜けて危機管理体制を充実させた州らしいが、未だ一度としてその恩恵を被ったことはない。サンディのときには、わが家も地下や庭は完全に浸水し、停電は1週間以上続いて学校も店もすべて閉鎖、麻痺状態が収まるまでかなりの時間を要した。町中が浸水してしまった海際の町もあった。自治体は州からの補助を受けたのかもしれないが住民にその実感は皆無だった。

アメリカでは、どれほど州が立派な防災計画や「タイムライン」を掲げていても、一市民の肌感覚としては「数日間ライフラインが絶たれても州や行政からの個別連絡や直接的な支援はほとんど来ない、あるいは来ても遅すぎる」というのが現実。行政の支援は「数億ドル規模の被害が出る大規模な災害宣言が出た場合のみ」という高いハードルがあり、局地的な嵐、停電、食糧不足くらいでは「ご自分でなんとかしてくださいね」と言われて終わりである。現政権になってからはことさら。災害関係の予算はことごとく移民局に移されてしまった(同じ国土保安省の管轄)。

ニュージャージー州では災害対策としてどんなコトをしてるの?というのをAIにまとめてもらうと以下の通りだった。

  1. 「タイムライン防災」の徹底:交通停止や避難勧告のタイミングを州・郡・市で事前共有して混乱を防ぐ仕組み。

  2. 州と郡の連携:現場権限を持つ郡が避難所運営などを主導し、住民へは最低3日分以上の備蓄を徹底周知。

  3. 住宅の嵩上げ・買取り事業:浸水リスクの高い家屋をジャッキアップ(高床化)や買い取りし、街全体の防災耐久力を根本から強化。

  4. 要支援者登録「Register Ready」:高齢者や障害者など自力避難が難しい住民情報を平時からデータベース化し、優先的に救助できる体制を構築。

  5. 独立型電力網(マイクログリッド):大規模停電時でも、病院・警察・避難所などの重要施設へ電力を供給し続ける分散型電源の整備。

  6. 通信インフラのバックアップ義務化:携帯基地局への非常用発電機設置や衛星ラインの確保により、災害時の通信遮断を防止。

  7. 緑のインフラ(グリーン・インフラ):公園や湿地、浸透性舗装を活用し、雨水を一時的に受け止めて都市の冠水リスクを軽減。

  8. 洪水リスクと浸水履歴の開示義務:不動産取引時にリスク情報を開示させ、住民が危険度を正しく理解して住まいを選択できる仕組み。

  9. 多言語対応の緊急アラート発信:多様な住民構成に配慮し、スマートフォンへの緊急警報や避難情報を多言語でリアルタイム配信。

日本の危機管理体制を調べたあとだと上の項目のあまりの粗さに驚くが、たしかに5と6の項目にある通り、公共機関の通信は途絶えなかったし、なんやかんや行ってWi-Fiはちゃんとつながった。そっか、ま、ありがたいのかな。

ニュージャージー州はちょうど四国と同じくらいの広さで、世帯年収の中央値は全米でトップ3に入る富裕州である。災害対策に回す予算も他州に比べればあるのだろうが、住民のわたしらは災害の予防も後始末も自分たちのお金を使って自分らの力でなんとかするしかない。

先日のブログにも書いた、嵐によるこの地域の被害は大きく、わが家でも停電は4日間に及んだ。38度を超える猛暑の続いた週だったので、発電機を持たない家庭では一体どうやってエアコン無しで乗り切ったのだろう。その発電機も、あまりに頻繁に起きる停電にガソリン型の発電機ではあまりに体力の消耗が激しく、わが家でも、近所の家庭が殆ど持っているガス式の自動切り替え発電機の設置を検討しているが、見積もりは200万円近く、と悲しくなるようなお値段である。近所の友人宅では、ガスの線を引っ張ってくる工事まで自己負担なので、合計で300万円を超えるそうである。これも自己責任、身を守るためにはご自分でドウゾというカウボーイ精神の現れ?である。

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触れておきたいのは、教会や非営利団体によるチャリティ活動やボランティア体制は活発で、災害時でなくとも衣服や食料品、学用品などの個人寄付が定着している文化である。ただ、対象となるのは災害時に悲惨な状況に追いやられる低所得者層である。

まとめ

イオンモールの内部を写した動画では、「高い棚のある場所から離れてくださーい!」と大声で呼びかけながら自分はまさにその方向に向かって走り、急いでお客さんを店外に誘導する店員さん。激しい揺れに転んでしまった女性を助けて一緒に逃げる初老男性や、ベビーカーを押すお母さんの荷物をすべて持ってあげていた人。お客さんが揃ってドアに向かって走る映像では、とにかくみなが無言で整然としていたのに驚いた。

これがBBCのいう「一般市民の災害認識の高さと避難訓練の賜物」なのだろう。パニックの怖さを繰り返し教えられている人々の行動であり、国や自治体からのサポートが期待できる深いところでの安心感が、他人をも助ける心の余裕につながっていると感じる。先日のブログでは主にビジネス・経済面での日本のアドバンテージについて詳しく書いたが、その内容を自分でも再確認できたような、日本の強さを垣間見る熊本の地震報道。

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奇しくもニュージャージーでは、また嵐が迫っており「洪水警報」が出ている。夫が早々と発電機用のガソリンを買いに出て、わたしもさっき、近所のスーパーで食料を買い揃えてきた。

200万円の発電機は、注文したとしてもあまりの需要に設置はこの秋以降になるそうだ。それだけ「自分の身を守るために仕方ない」と出費を決心した家庭があるということだ。ここまで来ると、一体何でアメリカに住んどるんや?と自分に問いただしたくなる…。

被害にあった方々が一刻も早く安定した毎日に戻れますよう、お祈りします。

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