アメリカ経済格差とゴールデン・パスポート

関税・経済・インフレ

アメリカの経済格差を示すには、以前の「アッパー(上流)・ミドル(中産)・ローワー(下流)階級」という経済区分ではあまりに大雑把すぎる。アッパーとミドルを分ける世帯収入というのは一体どのくらいだったのだろう?その数は?感覚としては、アッパーとローワーがそれぞれ15から20%、残り60から70%が中産かね、というくらいの理解でいた。

おっとこどっこい、2025年現在、アメリカでよく使われる経済区分は、「99.9%(上位0.1%)」、「99%(上位1%)」、「50-99%」「50%以下」の4区分だから、昔の区分にこれをむりやり当てはめると、アッパーはたったの1%、ミドルとローワーが残りほぼ50%ずつということになる。

時折「上位5%」や「上位10%」も区分に加わることがあるが、そのへんになるとどんぐりの背比べ?Statistical Significance 統計的有意性を示さない、つまり分けても統計的にあまり意味がないので、インパクトのある経済統計となると上記の4区分が使われる。

このニュー区分、わかりやすく言い換えさせてもらうと、上から「超・富裕層」「大金持ち」「ミドルクラス」「低所得」。人生厳しい。

ヨーロッパもかもしれんが、アメリカの超・富裕層というのは桁外れな生活をしていらっしゃる。垣間見る彼らの生活レベルというのは見ているこちらが不安になるくらいのスケールで、ヨットにプライベートジェット、各地の高級不動産では飽き足らず町や島を丸ごと買ったり、なんでそんなにパーティがしたいのか?というくらい豪華な集まり、それもチャリティ関係やファンドレイズのイベント盛りだくさんで日々お忙しそうだ。

余談だが、アマゾンのジェフ・ベゾスがフィアンセと出かけた豪華プライベートヨットの旅は数々のパパラッチ写真が公開され、野次馬根性を掻き立てられたとともに「人生にこんなヨットは必要なんだろうか?」となんだか存在の本質論にまで考えが飛んでしまう Excessiveness エクセッシブネス (過剰さ)であった。

プー🍊ンを含むロシアの富豪たち Oligarch オリガルヒ(「オリガーク」と発音する)は有名だけど、アメリカの上位0.1%、超・富裕層たちも最近はオリガークと呼ばれ始めた。アメリカ政情不安定の今、ある程度の投資をすると永住権や市民権がもらえるヨーロッパやアジアの「ゴールデン・ビザ」制度を利用して、2つ目のパスポートを入手する富裕層が激増しているという。スペインは最近この制度を取りやめたけれども移住(休暇?)候補としては依然人気第1位。続いてギリシャ、ポルトガル、イタリア、マルタ島。オーストラリアやニュージーランドは勤労ビザが比較的簡単に手に入る。

これらの人たちにあだ名を付けたのが、ニューヨーク大学教授のスコット・ギャロウェイさんで、命名はToligarchsトリガーク。語頭のTTrans-Atlantic 大西洋横断(アメリカとヨーロッパを股にかけた)、またはTrans-National (国を超えた)超・大金持ち層ということになる。

なんと Investment Migration Adviser 投資移住アドバイザーなる職種が存在し、この1月の統計で彼らへの移住問い合わせ件数が過去5年間で1000%の伸び。100じゃないよ、1000%。ロンドンのナイツブリッジやメイフェアなどの一等地は、初めてアメリカ人の不動産購入が中国を抜いた。ロンドンにほど近い田園地帯コッツウォルドのレストラン業界によると、最近はここがほとんど「ハンプトン」化しているという話も。ハンプトンはニューヨーカー御用達の避暑地として有名なビーチタウン(Sex and The Cityのキャリーも行ってたとこね)。

こちらのチャートはスコット・ギャロウェイさんのサイトより「国外に引っ越す高所得者の数」。

Rise of the Toligarchs | No Mercy / No Malice
The 0.1% have insulated themselves from the general public with their own schools, health care, transportation, security...

パンデミックのあとムキムキ増えてるねー。

お金があれば、国外脱出も夢じゃなく、アメリカ国内が大荒れになったってうちらには関係ないモーン、ってことだね。ずるいよっ!

スコットさんのサイトからもう一つチャートをお借りしてきた。

「超・富裕層」「大金持ち」「ミドルクラス」「低所得」4区分の純資産額合計を示すチャートだけど、トップ0.1%が占める純資産額合計は全体の14%。下位50%の純資産合計は2.5%。目を凝らさないと見えない一番下の濃いめの部分が下位50%の資産額合計、いかに小さいかがよくわかる(汗)

この統計によると、上位0.1%が下位50%合計の5倍の資産を所有していることになる。そしてその差は年とともに目に見えて広がっているのも明らか。

下々のものと一緒の飛行機になんか一生乗らなくてすむ資産額を所有する上位0.1%は、一般のアメリカ人の約62倍の二酸化炭素を排出しているというものさもありなん。

資産額の詳しい統計に興味のある方はこちら、 https://www.federalreserve.gov/releases/z1/dataviz/dfa/distribute/chart/

アメリカの中央銀行、連邦準備制度のサイトで見れます。

おばちゃん家は、上位0.1%がよだれを垂らして欲しがる素晴らしい資産をもっている。それは輝く深紅のパスポート。金色で箔押しされたザ・ニッポン、十六一重の菊の御紋、これこそまさしくゴールデン・パスポート…ふふふ。勝ち組さね。

 

 

 

 

 

 

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