Town Hall Meeting タウンホール・ミーティング
Town Hall タウンホールは町や市の集会所や公会堂のことだが、この言葉は町のミーティングというよりは、政治とビジネスの場で上の人が質問に直接答える形式を取る集会を指すことが多い。
村長さんを囲んで今年の行事を話しあったりするのは大仰にタウンホール・ミーティングというよりはただの「ミーティング」。
私が初めてアメリカの企業に就職した時に「今日はタウンホール・ミーティングです」というお知らせが来て、タウンホール?なんじゃい?と思ったが当然知っているらしい周りの様子を見て聞くこともできず、言われた時間に指定の場所に赴いた。カフェテリアと1階の階段ホールが大きく開放されて全社員がカジュアルに集まっている。前の方におかれた小さいステージに偉いおじさんが立った。先ずお決まりの
Pep Talk ペップ・トーク 激励スピーチ
をしてから質問コーナー。こういう形式の、偉い人を囲んだ雑魚たち(失礼)の質問大会をタウンホール・ミーティングというのだなと学習した。アメリカは民主主義的にこの手のミーティングが定期的に開かれて、上は社員のことをとてもケアしているのだ、という姿勢を見せないとちょっとまずい。
英語の教科書には意味は「町民会」と書いてあるだろうからこっちの文化に飛び込まなければ知ることのなかった用途である。
この手の言葉をひとまとめにして
Business Jargon ビジネス・ジャーゴン
という。ある用語がビジネスや政治の場で使われると全く違った意味を持ち、無味乾燥なビジネスの会話にホワイトカラーならではのユーモアや優越感や、ちょっとスカした感じを含ませて使われる。たとえば

Back Burner
これはガス台の後列。手前のフライパンを強火でかき混ぜながら後ろのガス口でスープをコトコトと煮ている様子を想像してほしい。ときどき様子をチェックしないとスープが煮詰まってしまうのでそれには気をつける。
今おしている優先案件がフライパン、そして忘れないように時々チェックを入れる準・優先案件がスープ。そうやって気をつけていれば、フライパンの肉が焦げてしまっても後ろのスープで晩ごはんにすればいい。A社がだめでもB社と契約が取れる。

Bring to the Table
テーブルまで持ってくる、というこの言葉は、プロジェクトに参加する人みんながそれぞれの強みで貢献をするという意味。みんなでおかずを持ち寄るポットラックパーティで、ラザニアの代わりにIT知識を持ってきました、という感じ。
Boil the Ocean 海の水を沸かす 👉できるわけない無駄な作業
Silver Bullet 銀の弾丸 👉とっても効果的な解決方法やすごくいいアイデア
Food Chain 食物連鎖 👉会社のヒエラルキー
と数え上げればきりがない。ビジュアル強めの私は社長がライオンだったり会議室がグラグラ沸騰する海になったりとその場その場で変な想像をして退屈な会議も乗り切れた、気もする。
そうそう、会社や関連業界をひとまとめにして
Ecosystem エコシステム、生態系

と呼ぶのもちょっとスカしている。Corporate 会社、とか Industry 業界、って言葉がちゃんとあるんだけどそういうふうに呼びたがる。ふふふ。
さて、Los Angeles Magazine ロサンゼルス・マガジンの記事で
Most Soul-Sucking Corporate Phrase 一番やる気を無くさせるビジネス表現
第一位に輝いたジャーゴンはこちら、
Circle Back サークルバック 👉後で連絡します
用途はこう。
Can we talk about my raise that you mentioned before? 以前おっしゃていた昇給についてお話したいんですが。
Ah, I will circle back to you, maybe next week. ああ、その件ネ。来週あたり連絡するよ。
要するに時間かせぎ、そしてあなたの昇給はまずないものと考えてよい。
これじゃやる気なくなるよね。ほんとに忙しくて後で電話するねって場合もまああると思うけれど、ま、基本的には軽くあしらわれたと思って間違いない。
いつまで経っても興味の尽きないアメリカ文化である。
あ、でも!日本の会社に勤めていた夫が会議でえらく「コロッケ」「コロッケ」と耳にするので日本のビジネスではコロッケは他に意味があるのか?と聞いてきたことがあった。よく覚えてないが私は「部長さんがコロッケ好きなんじゃないの?」なんて答えをしたと思う。のちにこのコロッケは「コロケ」コロケーションという意味だったことが判明した。どこの文化でも、会社という風土はちょっと変なものが育ってしまう土壌なのかも知れない。



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