近くに住む友人から可愛らしい写真が送られてきた。なんとも言えない表情でこちらをじっと見ている茶色いヤギの写真。

マンハッタンからわずか40分くらいなのにここニュージャージーではリスや野うさぎ、シカさんたちに加え、最近はクマやコヨーテも出現する。近くで、庭に出ていた小型犬が空から大ワシにさらわれたという事件もあった。
だからこのヤギさんの写真を見たときに「あら最近はヤギも?」と思ったら、このヤギはどうも誰かのペットだったらしい。何かの事情で飼えなくなったらしい飼い主が隣町の肉屋さんの裏庭に捨てていったのだという。この肉屋さんの裏には屠殺場があるのだ…..。
気配を察した賢いヤギさんは屠殺場から逃走し、近所の庭をウロウロしているところを保護された。人懐っこくて自分から寄ってきて「なでて」と頭を突き出してきたらしい。肉屋さんはヤギはいりませんと引き取りを拒否し、このフェースブックを見た人たちからペットに譲り受けたいと複数件の問い合わせがあったそうだ。
一体だれがペットに飼うのか知りたい気もするけど、以前ファーマーズマーケットで犬用と思われる首輪にリーシュを付けた小ぶりの白ヤギを連れたおじさんがいた。もちろん撫でさせてもらったけれど、彼によると犬を飼うのと変わらないよ、という話だった。ふむ。
このヤギ騒動はこの町のフェースブック掲示板でその日一番のトピックだったらしい。
うちの息子達が行った高校では、銃乱射事件があったときのための避難訓練が日常的にあり、入り口には銃保持の警備員が立って保護者の出入りは厳しくチェックされ、校門には警察が常駐している。甥っ子姪っ子の行った高校では、校舎の入り口に金属探知機があってそれを通らないと校舎に入れなかった。
とまあ物騒ではあるけれど、
普段はいたって平和な町で、日本でも報道されているような地下鉄突き落とし事件だの銃の乱射事件と言ったものとはあまり縁がない。やはりアメリカは住む地域によって治安が大きく違ってくるのだ。
ウォールストリートに勤める人が多いのでベンツやテスラの高級車が多く、その盗難は時々起こる。休暇中に家に泥棒が入ったというのもたまーに耳にする。
アメリカのティーン映画などでおなじみの高校生の乱痴気パーティ(赤のプラスチックのコップでビール飲むやつね)が親の留守に行われて家がめちゃくちゃになったという事件は時折ある。そうだそうだ、それで警察沙汰になり、パーティ主催した女の子はせっかく合格した大学に行けなくなったというのがあったな。

極右の動きはこんな平和な町にも押し寄せていて、数年前に社会科で見せた宗教教育のビデオに対し「イスラム教を奨励している」と難癖をつけて学校区に対して訴訟を起こしたお母さんがいた。今も多分係争中だと思う。こういうややこしい訴訟はそれがどんなイチャモンであれ延々とヒアリングだのなんだのと続く傾向にある。
そして、わが町の学校区は今なんと、大手SNS企業のめぼしいもの、フェースブックやTwitterなどなど全部を相手どり「青少年に害のあるコンテンツを省く努力をしていない」と訴訟を起こしている!
単独ではなくクラス・アクションと行ってかなりの数の学校区が一緒に原告となり訴訟を起こしているのだけれど、勝訴をしたいとか慰謝料をもらうのが目的ではなく、訴訟とそのプロセスが報道されることによりで公衆に害の全貌を知らしめると言うのがねらいだということだ。普段はとても事なかれ主義の教育委員会の決定に町民はみんなおったまげた。
こういう町にありがちな離婚、再婚、浮気の類の噂ならもうそれは掃いて捨てるほどあるけどそれはまた別の機会に(笑)。
未だに私の中のトップニュースなのはもう20年以上前にうちから10分ぐらいのストリートで起こった事件。コロンビア大学の精神科医をしていた60歳くらいの女医さんが、介護疲れで同居の両親を殺してその後自分も自殺しようとしたが死にきれず自首….噂だが、重度の障害のお母さんがお願いだから殺してちょうだい、とお願いしたらしい。すごく気の毒。その家の近くを通るたびに知り合いでもなかったけれどその女医さんのことを考えてしまう….。
ヤギさんの逃走がトップニュースになるような平和さ。凶悪事件のない町に住めるのはやはりありがたい、とヤギさんからアメリカの格差社会について思いを巡らせたのだった。



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