ネットフリックスのワーナー・ブラザース買収??劇を解説します

セレブ・ロイヤルファミリー

「ハリウッドににじり寄る魔の手?巨大テックのお金と政治」というタイトルでブログを書いたのが今年の9月。先に読んでいただくとこのブログの内容がわかりやすいかもです。長くて申し訳ないんだけど。

ハリウッドににじり寄る魔の手?巨大テックのお金と政治
政治的理由でディズニーのサブスクをキャンセルする人が相次いだ先週のアメリカ。巨大な資金をバックに、テック産業の息のかかったハリウッドスタジオや系列メディアの買収と統合が続きます。私達の生活の隅々二まで影響を与える情報ソース、メディアがこんなにかたよってくると...?を探ります

1920年から30年頃の黄金時代には、ハリウッドにはワーナー、パラマウント、RKO、20世紀フォックス、MGM、ユニバーサル、コロンビア、ユナイテッド・アーティスツの8つの巨大映画スタジオがあってそれぞれが俳優や監督の雇用からシアター管理まで自社経営を行っていたが、戦後、倒産、独占法禁止、統合と色々あって、今年はじめには下の5つの巨大スタジオ体制に落ち着いていた。

  1. ウォルト・ディズニー・スタジオ(Walt Disney Studios)
  2. ソニー・ピクチャーズ(Sony Pictures)
  3. パラマウント・ピクチャーズ(Paramount Pictures)
  4. ユニバーサル・ピクチャーズ(Universal Pictures)
  5. ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(Warner Bros.)

 

スカイダンスのパラマウント買収(8月)

3.のパラマウントが、それまで傘下の制作会社という立ち位置だったスカイダンスに下剋上買収されたのが今年の8月。社名はスカイダンス・パラマウント・ピクチャーズに変更になった。スカイダンスCEOのデービッド・エリソンの父は、クラウドストレージ大手オラクル創業者ラリー・エリソン。オラクルが9月にchatGPTのオープンAIと大型提携の発表をした際の株価の爆上がりでイーロン・マスクを抜いて一時的に世界一のお金持ちとなった話題の人である。大*領と仲良しのこのパパさんがいなければ、つまり大*領の後ろ盾がなければ、実現は難しかった大型買収合併である。

この時点ですでにスカイダンスは長年の経営難に苦しむワーナー・ブラザースの買収を目論んでいた、んだが…。

ネットフリックスとワーナーが買収合意(12月)

12月5日、水面下で動いていたらしいネットフリックスとワーナーが買収合意を電撃発表。合意額は、875億ドル(約13兆円)、ネットフリックスがワーナー株一株につき27.50ドルを支払う(一部は現金でなくネトフリの株で支払う)ことで合意に至った。特筆すべきは、ネトフリはワーナーが所有するHBOなど映画・ストリーミングサービス部分のみ買収し、傘下のケーブル局(リベラルニュースのCNNやディスカバリーチャンネル)はいりませんので、独立して別会社になってくださいね、という条件付きだった。

スカイダンスの敵対的買収?

12月8日、裏をかかれたスカイダンスが Hostile Takeover ホスタイル・テイクオーバー(敵対的買収)を発表。「ホスタイル」は「敵意のある」という意味でかなり乱暴な手段。経営陣や取締役会に買収を持ちかけるのではなく、株主たちに直接「俺達は傘下のケーブル局全部含め、ネトフリより多い一株30ドルを現金で払います」と持ちかけ、株主総会投票で過半数採決を狙うやり方だ。

ワーナーの経営陣は、ネトフリの安定性、成長性、中立性を強調してスカイダンスのオファーを受け入れないよう株主たちへの説得を続けているが、最終的には来年春の株主総会での投票を待つことになる。この方法で買収されると、現在の経営陣や取締役たちは即刻クビになる可能性が高い。

スカイダンスの資金源

一株30ドルということは、総買収額は1080億ドル、約14.5兆円。これを現金で???金融機関や投資会社に混じって巨額の投資を約束したのが大*領の娘婿ジ*レッド・ク*ュナーの投資会社と、サウジアラビア、カタール、アブダビの中東3国の政府系ファンド。しかも大*領自身が「この買収には個人的に関わる」と発言した(のちに娘婿の会社は辞退を発表)。

1.5兆円も多く、しかもキャッシュをちらつかせたのにきな臭い資金源を警戒するワーナーの経営陣にしびれを切らせ、12月22日、とうとうパパのラリー・エリソンが「404億ドル(6兆円)」をワシの懐から出すわい!と発表した。ラリーの資産額は、世界一のお金持ちになった8月には4100億ドル(63兆円)、株価が揺り戻した現在は2500億ドル(40兆円)。ワーナーなんか全部1人で買おうと思ったら買えちゃう。

3者の利害の一致

スカイダンスのデービッド・エリソン、なんで喉から手が出るほどワーナーが欲しい、ハリウッドを独り占めしたいのか。アップルのスティーブ・ジョブが自分のアイドルというシリコンバレー出身の彼、AIテクノロジーを駆使してハリウッドを根本から変えたいという野望を持っているから。パパ・ラリーは自己利益の追求というこれまた別の野望があり、現政権との太いパイプラインを時間をかけて築いてきた。9月のブログに書いた「テックリーダーお食事会」や、大*領のイギリス公式訪問にも同行した。

GAFAはもう古い!テックリーダーお食事会 at ホワイトハウス
ホワイトハウスで集まったテックリーダー31人。AI時代の注目「マグニフィセント7」や巨額投資計画、米テック業界の最新動向を詳しく解説。

エリソン親子を後押しする現政権の野望は「メディア統制」である。パラマウント傘下のCBSニュースはスカイダンスとの統合以来、ある番組がキャンセルになるなど政府の介入が続いている。これと同様にワーナー傘下のCNN(大*領にとって「目の上のたんこぶ」のような存在)CBSと同じく報道内容に強い影響力を持つことができる。

忘れちゃいけないTikTok

ラリー・エリソンと大*領がこれまた一緒に画策しているのが TikTokアメリカ法人の設立劇である。ややこしいのでこの顛末はまた別ブログに書くとして、とにかくね、相当この方面のニュースを追っている人でないと、SNSもメディアもAIもやばい方向にプラットフォームの統合、操作、介入がものすごい速さで進んでいることに気が付かない。え、なんか変!と思ったときには報道の自由は大きく制限され、視聴者の目に入ってくるのはすでに調理済みの情報だけ…、という怖いことになりかねない。

一度回り始めた歯車。こんなに巨大だと止める力は働くんだろうか、と心配になる。晴れてワーナーの買収が確定した暁には、ぜひこの筋書きでブロックバスター映画を作成してもらいたいものである。

 

 

 

 

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