AI時代のメンタルヘルス・還暦版(その2)- 「なんかコワイ」感じが毎日

関税・経済・インフレ

前回のブログ「AI時代のメンタルヘルス・還暦編(その1)スウェーデン式・死のお片付けをきっかけに学んだこと」の続編になります。

「AI時代のメンタル・ヘルス」還暦版(その1)スウェーデン式・死のお片付けをきっかけに学んだこと
先日、臨床心理士をしている友達がふと口にした「AI時代のメンタルヘルス」という言葉。とても印象に残って、何かあるごとに、AIが私たちの生活、特にメンタル面に及ぼす影響が気になって仕方ない、というお話です。「スウェーデン式・死のお片付け」ここ...
ブログを書いた途端に

前回のブログを投稿した日、なにか音楽を聞こうと Spotify スポティファイに行ったら、一番上のオススメに出てきたのが 「Swedish Death Cleaning for American (アメリカ人のためのスウェディッシュ・デス・クリーニング)」というオーディオブックだった。

スポティファイで本を聞けるのは知ってるが、オーディオブックはいつも「オーディブル」で聞いている。なのにいつもの音楽やポッドキャストではなく「本」をオススメ冒頭に出してくるっていうのは「この人お片付け法に興味があるようだから、スポティファイでそういう本を紹介して本も聞けることを宣伝しよう」と、ブログを書いたこととワタシの使用履歴をアルゴリズムが賢く計算したに違いない。

あっあっ今思い出した、その日は一緒にご飯を食べた義弟が「スポティファイで聞けるからオーディブルはやめちゃったよー」と話していたんだった!ワタシの携帯、聞いてた?聞いてた?聞いてたよね???考えすぎ??あまりに「ウラ」がありすぎる….。

生活の隅々までこうなんだもん。「オススメを出してくれて割と便利」と感じたアルゴリズムが不気味以外のナニモノでもない。

サーベイランス・プライシング(監視プライシング)

そして「サーベイランス・プライシング」別名「パーソナライズ・プライシング」。持っている携帯などから個人のデータ、検索履歴、果てはバッテリー残量などをアルゴリズムがサーベイランス・監視して、「この人はこれくらいの値段なら払うよな」、「今すぐ必要で焦っているから高くても買うよな」と価格がその人用にアジャストされてしまうという、なんとも座りの悪い、不気味でムカつく技術である。

ある商品をオンラインでチェックした履歴があると、お店についた途端に「わざわざ店頭まで来て買う気マンマン」と判断されて値段が上がる。こういう目にあったことがあるのか自分でわからんという情けなさだが、これからはもうちょっと気をつけようと思っている。

このプライシングを禁止する州法がメリーランド州で成立したくらいなので、知らない間にどんどんと広まっていたのだろうと今頃になって気がついたのだった。

どこからも見られてる居心地の悪さ

何もかも知られてる、と思う居心地の悪さ。企業に「この人ソファが欲しいのね」とか「アルミホイルに4ドルくらいまで出すだろう」とか知られてしまうのだって相当不気味だが、もっともっと怖いのは、今のアメリカ、政府とテック企業がバッチリ癒着しているので、政府が把握している社会保障番号(マイナンバーね)や納税情報、移民ステータス情報、などの個人情報が、巨大テック企業にだだ漏れしていること。逆に、携帯や検索、AIの使用からわかったテック情報は企業から政府へと逆流。

私たちはどこに行くにも携帯を持ち、オンラインでショッピングをし、AIにありとあらゆる質問を繰り返す。不本意ながらも自分たちのデータを巨大企業と政府に自ら差し出さないと生活していけないようなことになってしまった。

個人情報を把握されたとしても、普通に機能している社会ならば、まあ、いちばん心配が少なくてすむはずの政府に把握されるのが一番ヤバいという社会になってしまったことがじつはマジで怖い。

ホントに「AI」は「SI」に改名するのか?

政府と巨大テック企業の蜜月ぶりがとにかく不気味なアメリカ。

先週、「今後はAIではなくSuper Intelligenge スーパー・インテリジェンスSIに改名する」との大◯領令が出たのには苦笑したが、ホントに改名するのか???自分の爪痕を何が何でも遺しておきたいあがき以外の何物でもないが、そのために巨大テック企業のトップをホワイ◯ハウスに集め「W◯ite Ho◯se Accord on Super Intelligence ホワイト◯ウス・スーパーインテリジェンス協定」という合意文書に自分の目の前で次々に署名させた。

普通こんなむちゃぶりに署名するかあ?…したんだよねー、あの人たち。バッチリ並んで記念写真と記者会見までやった。先日長年のパートナーにフラレたイーロン・マスクもちゃっかり写っていた。

左は大◯領のサイン。こんな大事な文書の大◯領役職名にスペルミスがあるというのはご愛嬌。上から、グーグル、アンソロピック、メタ、Open AI、イーロン・マスク、エヌビディアの代表が署名している。

この文書で、政府の公式文書や企業内の社内文書もAIからSIに正式に変更する約束をしたことになってるが、企業はホントにやるのか?Open AIは社名をOpen SIにしなくちゃいけないのか???疑問はつのる。ちなみに、政府職員の親戚によると、政府ではすでにSIへの書き換えが始まっている。

DELLの創業者マイケル・デルの奥さんのスピーチが話題に

上の企業のCEOたちは事あるごとにホワイトハ◯スに馳せ参じて昼食会、夕食会ばかりやっているので「ホワイ◯ハウスのカフェテリア化」とからかう向きもあるほど。

AIの先進企業とは少し毛色が違うが、これまたホワイト◯ウスに入り浸ってるご夫婦がDELLの創業者マイケル・デル氏と奥さんのスーザンさんである。昔はとっても生き生きとした美人だったのに、あまりに変わりすぎた顔のインパクトが先行してしまい彼女のホワイ◯ハウスでのスピーチ内容が霞んでしまったが、内容は、政権がとても力を入れている子どものための投資口座「トラ◯プ・アカウント」についてであった。

内容は下のブログに詳しく書いたが、出生時に希望者が投資口座(「トラ◯プ・アカウント」)を開設すると、デル夫妻が出資する初期支給金を政府がくれるのが複利で増え続ける、というもの。それ自体は悪いことはないかもだが、問題は、今回それがすべての新生児に義務つけられることになった。つまり、政府が生まれた瞬間から個人データの徴収を行う権利を持つわけだ。

アメリカ子育て・赤ちゃん用投資口座「トラ*プ・アカウント」を徹底解説
2026年7月4日開始の「トラ*プ・アカウント」は0〜18歳向けの非課税投資口座。新生児に1000ドル、10歳以下には250ドル支給され、長期でインデックス運用が可能。米国で話題の子ども資産形成制度を徹底解説。

いやーん。スーザンさんは「こどものためになります!」と熱弁を振るったが、やはり変わってしまった顔に目が行く。人の容貌をどうこう言うのはワタシの信条に激しく反するが、容貌そのものではなく、5ミリ以上ありそうなアイラインに隈取られた目になんだか狂気を感じてしまった、というのが正直な感想である。

AI業界に頼りっきりのアメリカ金融がまた怖い

今年の7月からのアメリカ株式市場の伸びの93%は、

  • マイクロソフト
  • メタ
  • アルファベット(グーグル)
  • アップル
  • エヌビディア

のたった5社の業績によるものだった。これに近々上場すると言われているOpen AIとアンソロピックを加えたCEOたちは事あるごとにホワイ◯ハウスに馳せ参じて政治と癒着し、自分たちが「AIは人類を滅ぼす」って言うくせに「じゃあどうやって歯止めをかけるの」という問いには決まってモジモジ。

何かとお騒がせのOpen AIとアンソロピックはここ半年くらいで上場すると言われているが、会社の評価額はそれぞれ日本の国家予算の三倍近くだ。評価額が高いのは、アメリカ中が「データセンター建設反対!」の方向に進んでいるにも関わらず、莫大な借金でデータ・センターへの投資を約束しているから。国民がいくら反対しても、政府がデータセンター建設をゴリ押ししてくれれば、あと少しこの評価額をキープすることができる。

AI企業は、そろって評価額は高いが肝心の売上げは全然ついて行っておらず、普通の感覚なら今のアメリカのAI企業やスペースXがいかにヤバい土台の上に踏ん張って立っているのかがよく分かる。いずれ来るだろうAIバブル崩壊を危ぶんでこれまたアメリカ全体のメンタルに暗ーい影を落としている。

ま、とにかくまいにち漠然と不安で居心地が悪い

ジョージ・オーウェルが1949年に出版した小説「1984年」は、「監視社会の恐ろしさ」を描いた有名な小説だが、世界はまさしくその方向へと邁進中。80年近くも前にこんなことわかってた人がいるっていうのがもう驚きだが、ワタシが大学に在籍したちょうど1984年に社会学のゼミで課題本として渡されたのがこの本であった。バイトと男の子に忙しい女子大のゼミで教授を中心にどんな議論が交わされたか「まったく」覚えていないが「なんでこんなコワイ本が課題なの」と夜中にしぶしぶ読み進めたことは覚えている。

冒頭のエピソードがゾッとする。監視社会に強く不満を持つ主人公は、つけている日記を引き出しの奥深くに隠し、だれかが見つけて読むようなことがあればすぐわかるように毎晩小さな「綿ゴミ」をそっと乗せておくと言う念の入れようだった。綿ゴミを確かめては書き進めていたが、ある日「反社会分子」として逮捕されてしまう。主人公は、「ビッグ・ブラザー」が率いる政府(ビッグ・ブラザー自体が政府?そのへんがよくわからないのがまた不気味)が、綿ゴミのことまで当然承知していたことに驚愕する…。

ジョージ・オーウェルの時代は「紙の日記帳」だったが、デジタル移行しちゃった世の中にはもう「綿ゴミ」を置いておけるとこさえがない。毎日ワタシら自分から喜んでコンピュータ行って、携帯見て、ショッピングして、発信して、AIと相談して…。だって、そうしないと機能しない世の中になっちゃったんだもん。

 

コメント

なんちゃってニューヨークをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む