6月から7月中旬にかけてアメリカ各地で開催されるFIFAワールドカップ。今日は、チケットの値段もとんでもないと聞いているが、新たに発表された会場までの足、交通手段とその費用がこれまたすごいという話。
今アメリカに来るのは怖すぎる、または、世界のならず者?となったアメリカにお金を落としに来るなんてやなこった、という人がたくさんいてホテルやイベントのキャンセルが相次いでいると報道されているが、ほんとのトコどうなんだろうか?たしかに最近、チケットがまだ手に入るという話を耳にする。
7月19日の決勝戦は、ニュージャージー州にある8万人収容の大スタジアム「メットライフ・スタジアム」で行われる。それ以前にもこのスタジアムではブラジル、イングランド、ドイツなどキラ星チームの試合が複数予定されている。
通常スタジアムに行くには、
- マンハッタンから専用シャトルバスに乗る
- ニュージャージー・トランジット鉄道の最寄り駅まで電車で来て、そこから専用シャトルバスに乗る
- 運転していく
の3つの方法があるが、専用の高速出口を持つスタジアムには車を持っている人なら運転、というのが妥当な判断である。スタジアムには28,000台分の駐車場が用意されているので、テイラー・スイフトが来たときもわりと混雑なく出入りできたと聞いている。
が、今回のワールドカップ、ちと事情が違う。テロを含む警備対策のため、スタジアム周辺には公式車両以外侵入できない「バッファーゾーン」というのが設けられ、28,000台分の駐車場はすべて閉鎖されることになった。一般車両の出入りは禁止。(駐車場スペースは、メディア用やスポンサーのブース、ファンのための集合ゾーン、そしてシャトルバスの発着場として活用されるそう)。
ワールドカップ開催中にスタジアムまでたどりつくには、基本的に
- マンハッタンからシャトルバス
- マンハッタンから電車でニュージャージーの最寄り駅、そこからシャトルバス
- 数量限定で解放される隣接のモール駐車場を予約する
- 1.6キロ離れた指定場所で車からおろしてもらってそこから徒歩
しか方策がなくなった。
1. マンハッタンからシャトルバス
ミッドタウンから運行。NFL(フットボール)の試合やテイラー・スウィフトのコンサート時には往復14ドルだったが、ワールドカップ中の料金は未発表。
2. マンハッタンから電車でニュージャージーの最寄り駅、そこからシャトルバス
通常は、マンハッタンからの電車代12ドル(約10分)、シャトル10ドル(約8分)の合計22ドル(往復)。ワールドカップ開催中はこのお値段が通常の約7倍、なんと150ドル(2万4千円)に跳ね上がることがわかった。ニュージャージーの人なら、最寄り駅でおろしてもらってシャトルだけ乗ったら、という選択もありそうだがすべて一律料金で、8分間のシャトルだけでも150ドル。それじゃああまりにも気の毒ということでスタジアムから15分離れた町から特別シャトルが出るが、完全予約制バスの料金は80ドル(1万2千円)。乗車前にセキュリティチェック。
3. 数量限定で解放される隣接のモール駐車場を予約
スタジアムに隣接する巨大な「アメリカン・ドリーム・モール」(アメリカらしい命名だw)の駐車場だけ予約制で一部解放されるが、料金は225ドル(3万8千円)。
4. 1.6キロ離れた指定場所で車からおろしてもらってそこから徒歩
指定場所まではウーバーやリフトなどライドシェアで来る人も多いと思うが、開催中は特別料金がよそうされる。今日わが家からスタジアム(車で約20分)までウーバーで言ったらたぶんニューアーク空港と同じ40ドルくらいだと思うが、ワールドカップ期間内は…考えただけでコワイ。
なんでそんなに値段がつり上がったかというと
マンハッタンからニュージャージーの最寄り駅までの電車とシャトルを運行するのは、わが家もよくお世話になっている「ニュージャージー・トランジット鉄道」である。「150ドルに値上げ」はもちろん非難ゴーゴーだったんだが、これに関してニュージャージー知事も会社の責任者も記者会見を開いて詳細の説明を行った。とんでもない金額だが、ニュージャージー州民としては、そしてワールドカップに行く予定のないものとしては納得の行く説明であった。
一回の試合で4万人を越えると予想されるワールドカップファンを輸送するのに、費用は約48ミリオンドル(76億円)かかると言うが、叩いても振ってもそんなお金は常に経営難のニュージャージー・トランジットのどこからもでてこない。今年就任したニュージャージー知事が「FIFAは今回のワールドカップで1兆8000億円の収益を見込んでいるのに、ファン送迎にかかる76億円を負担させるなんて!」とFIFAに強く抗議したらしいが「数年前に結んだ契約でそういう事になってます」とまったく埒が明かなかった。
全国的イベントのワールドカップに連邦政府からの追加補助金はなし。自分の名を掲げた凱旋門を作る(ほんとよ、パリよりセの高い「トラ」凱旋門をワシントンDCに建設予定)お金はあっても、補助金はない。特に民主党州のニュージャージーにあげるお金なんて全然ないそうである。
76億円の費用を賄うにはニュージャージーの州税か、利用者の運賃に10年以上かけて反映させていくしかない、ということで「場合によっては150万円以上するチケットを買えるくらいなのだから、サッカーファンに払ってもらうしかない」と苦渋の決断を下したそうだ。
お隣のモールの駐車料金は完全にボッタクリ、の気がしたが、それなりに理由はあるらしく「金額を上げることで混雑を避ける」「セキュリティに多大な金額がかかる」などなど、ま、そういうことを言っておる。
この事件、アメリカがいかに長期投資、インフラ投資を長年蔑ろにしてきたか、を改めた考えさせられ(ずっと前からだけど、今回ますます)この国の将来が不安になった。次回のブログではそのへんを詳しく分析します。


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