(写真はhttps://www.nbcnews.com/politics/2026-election/jewish-voters-question-democratic-candidates-key-senate-races-congress-rcna595543からお借りしました)
アメリカねー、今大変なんですよ。日本では大統領選挙に比べてあまり報道されてないかもだけど、6日後に迫った「ミッドターム(中間選挙)」。
追い込みに入った各候補者の集会は熱気に包まれ、すでに始まった郵便投票や事前投票は史上最高の投票率を見せている。専門家たちは「アメリカ史上、最も大事な選挙と言ってもよい」と主張する。ワタシもそんな気がするよ。
まず、中間選挙についてごく簡単に説明します
2党政治のアメリカは、大◯領は民主党か共和党のどちらかに所属する。前回の大統領選挙で、民主党候補のカマラ・ハリスを破って共和党のト◯ンプが当選した。
現在、上院も下院も共和党議員が過半数を占めていて、大統領、上院、下院の3つ全てに単独党が力を持つ「トリフェクタ」になっている。当然議会は大◯領の言いなりっぽくなるので、この2年間、政権のとんでもないゴリ押しが議会を通過または議会を完全に無視、というとんでもないことになっていた。
上院議員の任期は6年、下院は2年で、2つの大統領選挙の中間に行われる「中間選挙」で入れ替わりが行われる。民主党は今回の選挙で過半数を獲得してトリフェクタを崩し議会本来の機能を回復するのが狙い。民主党がいくら「そんなンいかん!」と言い続けても共和党の主張が通ってしまい、アメリカの議会はこの2年、 完全な機能マヒだった。関税も戦争も、本来なら議会の承認がないとやっちゃいけないことなのだ。
あと2年残っている大統領の任期は動かすことが出来ないが、せめて民主党が議会の過半数を占めることができればかなりの歯止めを期待できる…、ということで今のアメリカにほとほと疲れ果てた国民の間で民主党はいつにない勢いを見せ、票をがんがん伸ばし続けている。ここで負けてしまうとあと2年の大統◯任期の間にアメリカの腐敗と民主主義の崩壊はますます進んで後戻りが不可能な所まで行ってしまう、という危機感に包まれたアメリカ。これが専門家が口を揃えて「最も大事な選挙」と主張する理由である。
揃ってイケメン、民主党の新しいスターたち
下院で民主党が過半数を獲得することはまず間違いないと読まれているが、今の様子だと上院もなんだか奪回できそうな勢い。国中の関心が高く、通常の選挙年なら間違いなく共和党が獲得していたであろうむつかしい選挙区で健闘する新しい民主党のスターたちが話題になっている。
アイドルじゃないんだからルックスで決めるのはナンだけど、結局、選挙って人気投票だからネ、やっぱりイケメンや美女はスタートラインから頭一つでてる感じは否めない。実はこのワタシも「あら♡」と気になって仕方のないジョージア州選出の上院議員がいる。6年任期が終了し、今回、再選をめざして活動中のジョン・オーソフ議員。

https://www.bloomberg.com/news
いえね、6年前からハンサムだったんですよ。細めの優等生風だった彼がこの2年のジム通いで肉体改造に成功。tiktok用語ではそれを Looksmaxxing ルックスマックシング(ルックスをマックスに)という。完全にキャラ変した容貌がはっきりわかるスリムなシャツに袖まくり、細めのパンツ姿でステージに登るようになった。この6年でジョージア州に企業誘致や予算獲得に成功した実績もありもともと実力派議員ではあったが、このルックスでファン?層は完全に広がった。「Senator My Boo(ワタシの愛する上院議員)」というファンサイトができ、男性からも「BDE」(キ◯タマが小さいの反対w)と人気のイケメン議員。
そしてもうひとり、ぐんぐん票を伸ばしているのがミシガン州で上院立候補中のアブドゥル・エル=サイヤッド(サイード)氏。エジプトからの移民でイスラム教徒、というアメリカでは根強い差別の対象となりえる顔も黒い髪にヒゲとアラブ系そのもの、奥さんもヒジャブ姿である。

モスリムに投票するなんてとんでもない、という保守的な人も多いアメリカでがもしかしたらもしかして当選しそうな勢い。この人は鋭い眼光の武闘派?ハンサムで、オーソフがパツパツのシャツならなんとこの人はTシャツにタイトなブラックジーンズで選挙活動なんである。パンチしてもびくともしなさそうなお腹に太い腕。オバマ元大統領が「アブドゥルの腕、こんなにがっちりしてるからTシャツ着てるんだ」とからかうほどの仕上がりぶりである。
(このブログでは触れていないが、冒頭の写真の中央はテキサス州で上院に立候補しているジェームス・タラリコ下院議員。白人クリスチャンで正統派人道主義者、勝てるわけのないテキサス選挙区で当選確実とされている。この人についてはまた別の機会に。)
「顔」だけで選ばれてるわけじゃないのよ
オーソフとエル=サイヤッド、二人とも経歴はもちろんすごい。言っちゃ失礼だがマンハッタンの屋台でケバブを切ってくれても違和感がない黒T肉体派風貌のアブドゥルさんは、実はオックスフォードで博士号を取得したお医者さんだ。専門は公衆衛生。高校で卒業生代表答辞を述べた時にゲストで来ていたクリントン元大統領に「キミは政治家になると良い」と言われ「いえ、こんな見かけ(アラブ系)の僕が政治家になれるわけはないので医者になります」と答えたそうだ。オーソフ議員もこれまた被差別層のユダヤ系である。
イケメンであっても人種面でかなりのハンデを追う2人がどんどん票を伸ばしているのは、とにかく「普通の人の暮らしを良くする」というブレの無いメッセージを明確にわかりやすくコミュニケートする能力が抜群だから。共和党が特にこの2年暴走させてきた「白人至上主義のクリスチャン国家」路線への反動は想像以上に大きくて、いまの有権者は宗教やら肌の色、イデオロギーなんかじゃなくて自分たちの暮らしを第一に考えてくれるかどうか、が一番の関心事。
「上の連中だけが得をする」―アメリカ人の我慢はもう限界💢
オーソフ議員は、政治的、人種的な分断よりもなによりも「富裕層とそれ以外」という上下の分断がアメリカの最大の問題、と指摘する。ほんとよ、それ。
アメリカは、上位10%の資産がアメリカの下93%の資産額に匹敵し、イー◯ン・マ◯クの資産はなんとアメリカの下53%の資産合計に匹敵する。
10月23日に行われたばかりのCNBCの全米経済調査(CNBC All-America Economic Survey)の有検査調査で「アメリカが直面している最大の問題」として上げたのが以下の5つだった。
| 順位 | 直面している問題 | 割合 |
| 1位 | 政府の汚職・腐敗 | 36% |
| 2位 | 食料品・生活必需品の価格高騰 | 34% |
| 3位 | 民主主義の保護 | 23% |
| 4位 | ガソリン価格の高騰 | 23% |
| 5位 | 住宅費・医療費などの生活負担 | 20% |
アメリカでは、結局選挙の結果を決めるのは「エコノミー(経済、日々の暮らし向き)」とされているのに、この調査では国民の関心が「政府の汚職・腐敗」となっているのがとっても興味深い。
毎日キンキラになっていくホワイ◯ハウス、そのお金は一体どこからでてるんだ???ホワイ◯ハウスに足繁く通うテックCEOたちは、おべっかと寄付金でみんな嫌がるデータセンターをゴリ押しで建てる。イスラエルやロシア、アラブ諸国とのつながり、…と、もう腐敗を隠しもしない政権。で、こっちはイラン戦争のおかげで値上がりしたガソリン代を払い、データセンターのおかげで値上がりした光熱費を払うハメに。ディーゼルが高くてトラクター動かせない農家の人は一体どうしたらいいんだ?アメリカ国民、やっと目が覚めた。もう無理!
届いてしまった「来年の保険料通知」というホラー
そして今、アメリカ国民の怒りに決定的な火をつけたのが、ポストに届き始めた「来年の健康保険料の改定通知」。
世界最悪レベルで壊れているアメリカの医療。盲腸で数日入院すれば数百万円、救急車を呼べば数十万円が吹き飛び、自己破産理由の第1位は長年「医療費」だ。なのに前年共和党が通過させたBig Beautiful Bill ”大きくて美しい予算案”(ほんとにこれが正式名称、もちろん命名は大◯領ご本人である)で、政府の補助金や公的支援(メディケア・メディケイド)は大幅に削除。月々の掛金が2倍、3倍という異様な値上がりを見せ、当然の権利であるべき健康保険でさえアメリカでは贅沢品となってしまった。
健康保険問題について、オーソフ議員は、
- 医療費釣り上げの頑強である保険会社の介入の排除
- 処方薬の価格上限の設置
- 現行のオバマケア(民間保険加入)の充実
- 補助金、公的資金の回復
という現実的な公約を上げている。たいする武闘派のアブドゥルは「何が何でも国民皆保険(メディケア・フォー・オール)」という一貫したメッセージを投げ続けている。日本では当然の「国民健康保険」がない国は先進国の中でアメリカただ一国である。
あまりに露骨でバカすぎて国民だって目が覚めるよ
無敵の権威主義者と言われたハンガリーのオルバン政権が崩壊したのは今年の4月。今週末には、 プーチンの腰巾着と言われるセルビアのブチッチの政権が、学生デモという草の根運動で崩壊に追いやられた。昨日行われたイスラエルの総選挙では、ネタニエフ政権の敗北が予想されている。ブラジルでは「南米のトラ◯プ」ボルソナーロが敗北。世界中で起きている地殻変動は、アメリカがこの2年で怖いお手本を見せ続けてくれたから、というのが絶対にある。
ハンガリーでは、権威主義者たちがじわじわと賢く、あまり目につかないところから10年かけて政治のシステムをいじり、国民が気付いたときには時すでに遅く、権威主義に移行してしまっていた、という経緯を辿った。アメリカも、もう少し賢い人達が政府をやってればそういう怖いことになっていたかもしれないんだが、幸い、長期展望がまったくないおっさんが頂点にたち、スタッフも長官たちも「自分への忠誠心」だけで選ばれたアマチュアばかり。だからね、いくらなんでも国民だって「これヤバいじゃん!」と気がつくよ。この狂った方向性、たった2年で国民の目が覚めてよかったとホントに思う。
民主党の得票数獲得には疑いはないが、怖いのは共和党側の
- 選挙干渉
- 選挙の結果操作
- 「不正があった」と主張して選挙結果の受け入れ拒否
である。一悶着どころか数ヶ月以上荒れそうな気もするが、ワタシらにできることは今のところ、ただ一つ、投票しかない。


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