保険会社CEO暗殺事件と馬鹿げた医療費の実態

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日本でも大きく報道された、アメリカ大手保険会社ユナイテッドヘルスケアのCEO(経営最高責任者)の路上射殺事件。犯人の顔写真が何枚も公開され、通報者には6万ドル(約900万円)の賞金がかけられているにもかかわらず、事件から5日経った今も逮捕に至っていない。

犯行時に背負っていたバックパックはセントラルパークの池の中から発見され、自転車を乗り捨てた後に乗ったタクシーの支払時の顔がはっきりとカメラに残っていた。アッパーウェストのバスターミナルからどうもアトランタ行きのバスに乗ったらしいというところまでわかっている模様だが、多分もうメキシコかどっかに逃亡しちゃったんではなかろうか。

共犯者がいたのか、雇われヒットマンだったのか。保険会社にどんな目にあって暗殺を思いつくまでになったのか。事件そのものへの関心も高いが、この暗殺をきっかけに、噴き出すように明らかになってきた保険会社の「悪行」の数々。沢山の人が自分の経験をシェアする投稿を上げ始めた。

私個人も腹立たしい経験がいくつもあったが、そんな生易しいものではなかった。保険会社のデータベースに一度 High Cost Patient ハイコストの患者、というフラッグを立てられてしまったら、保険会社が少しでも保険の補償額を減らすための様々なテクニックをさらに行使し始める、と言うシステムになっているという。

ハイコストということは、難病やがんなど深刻な病状に悩む人たちだ。医師が処方箋を出した命に関わる治療を保険会社が支払いを拒否したために受けられず、死亡に至る患者がアメリカでは年に6万8000人に登るらしい…が、正式な統計が見つからなかったので「こういう報道もあります」という程度に聞いておいてください。感覚としては、あながちでたらめな数字ではないと感じる。

例えば、いろんな申請にとりあえず「deny」支払い申請を却下してみて、申立があった場合にだけ初めて申請の処理をする。それでも却下されてしまったらそこから再申請や訴訟に及ぶ患者の数は全体の0.2%と低い。後に支払いに同意したとしても、回答にまず6週間、その後の処理にまた6週間と、一刻を争う治療を必要としている患者には残酷な状況へと追い込まれた人も多いらしい。

アメリカ全体で毎年「53万世帯」が医療破産を申告する。これは、破産申告全体の67%。

訃報を知らせたユナイテッドヘルスケアのXには暗殺のあった4日だけで7万件に近い「スマイル」絵文字が寄せられた。昨日も書いたが、保険会社が「保険グループ外の医師なので支払えません」「治療の前に申請をしなかったので支払えません」「既往症ですので支払えません」、など、とにかく支払いを拒否するために頻用する表現を使って死亡を皮肉るコメントも多く寄せられている。「撃たれたときの救急車の費用はあらかじめ申請されていなかったので支払ってもらえなかったんじゃないですか」あるいは「お悔やみを申し上げたいところですが、グループ外ですので私からは差し上げられません」など。

今も逮捕に至らない犯人には「6万ドルくらいの賞金でロビンフッドのような民衆のヒーローを私達が密告すると思ったら大間違いよね!」などという投稿もあった。

保険会社のあくどい手法も呆れるが、そもそも馬鹿げた金額の医療費。この事件をきっかけに急に増えたSNSでの医療コストの投稿。例えば新生児集中治療室で36時間治療を受けた赤ちゃんの両親に6万5000ドル、約1千万の請求が来た、という動画を見た。1日半で1千万。これは出産費用そのものは含んでいない。

そして下の家族。出産後、赤ちゃんが2週間新生児集中治療室で過ごさなければならなかった。内訳が怖い(150円で日本円に換算しています)。

出産そのものにかかった費用:364万2000円、そのうち自己負担額が33万150円。

新生児集中治療室2週間滞在:3161万9562円、自己負担額46万6599円。

集中治療室への小児科医訪問:493万5000円、自己負担額27万4227円。

合計:4019万6562円、自己負担合計107万1976円。

@laurenderouennn

How much does it cost to have a baby in America that needs a 2 week nicu stay…. Let’s get into it! I can’t even imagine those whose babies have to stay in the nicu for months… so sad how much money it costs😭

♬ original sound – Laurenderouennn

幸い上の家族はちゃんとした健康保険があった。健康保険があっても100万円かかっている。健康保険がなかったら?健康保険の支払を拒否されたら?赤ちゃん産めないよ?

昨日は、保険会社うんぬんよりも一体この馬鹿げた請求額のベースライン、何なの?と頭を抱えた。日本でもベースは同じだが政府が代替してくれているのか?医療機器の値段はにたようなもののはず。人件費が高いと言ってもここまで差が出るのか?考えられるのは、訴訟社会のアメリカでは医療機関は高額の損害保険を掛け、最強の弁護団を抱えている必要がある。その費用か?としたら「健康保険」ではなく「損害保険」と違いはあるがこれも保険会社が元凶ではないか。

とにかく、医療機関、保険会社と対象が曖昧だがとにかくやりきれない、やっていられない、という恨みと怒りが暗殺をきっかけに表に噴き出した。「この世論の高まりで医療機関や保険会社の対応が改善すると思いますか」というメディアの調べ、NOと答えた人が80%だった。私もはっきり言って変わらないと思う。どうすりゃええねん!

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