最愛の長男(犬)が天国に旅立ってちょうど一週間。今日2月26日はわが家の末っ子、保護犬ちび犬のお誕生日だった。前の家庭で猫二匹に育てられたので自分は「犬」だと知らない珍しい犬だったが、4歳になり、犬らしさが増した。彼の中のネコ比率は15%くらいまで下がったが、未だにソファは座面よりも背もたれの上に寝るのがお好み。後ろ足で器用に立って猫じゃらしのようにおもちゃを投げて遊ぶ。
ちび犬の「犬化」強化訓練に一番貢献してくれたのは亡くなった長男だった。時に厳しい指導で犬社会の仁義と序列を教え、クン活やドッグランの楽しさも教えた。犬として割とマトモになれたのは長男のおかげ。ちび犬の成長は、長男(犬)の置き土産だ。
さて、もう一つ彼が残していった大きな置き土産、それはわたしの「腰椎すべり症」である(苦笑)。
1人で立ち上がれないようになっていた彼(30キロの大型犬)の下半身を持ち上げては歩行を補助、これを一日に何回も何ヶ月も繰り返すうちに膝に痛みが出てきた。ま、足腰の痛みなんて周りで珍しくもないしネ、と軽く見ていたんだけど、長くお世話になっている同年代の女医さんに軽く触れたら(彼女とはお互い「加齢ジョーク」で盛り上がるのが常なのでその一環として)症状を聞かれ、説明したら顔色が変わってすぐに整形外科に行けと言われる。わざわざ自分のお医者さんを紹介してくれた。ま、そのうち、と思っていたら翌日整形外科から電話がかかってきた。女医さんが手配してくれたらしい。そんなにまじでやばいのか?
で、レントゲン取りました。原因は膝の故障ではなく、ヘルニア寸前までズレかかっている四番腰椎。そこで圧迫された神経が膝の痛みを引き起こしているという。お医者さんが、左足全体が重くないですか、つま先がピリピリすることはないですか、左足の体温のほうが低い感じがしませんか、と左足全体の各所を触って「感触が鈍い」箇所を探し出した。げ。
英語での診断名は Spondylolisthesis、スポンディロナンタラカンタラ。神経を圧迫ということならすぐにMRIを取ってくれるのかと思ったら「最低4週間のリハビリを経ないとMRIの保険が降りないんだよねえ」と先生が申し訳なさそうに言う。お医者さんも患者もMRIが必要と思っているのに、なんなん、アメリカ。治療方針を何もわからん保険会社が決めるという理不尽。
お医者さんが真剣な顔をして「神経圧迫が進まないうちにすぐにリハビリに行け、今から電話して明日行け」というのでこりゃ大変なことになったと戦々恐々として帰宅。
スポンディロなんとかなんて単語は知らなかったが調べると日本名は「腰椎すべり症」。日本のサイトではヘルニアと違って「中高年女性あるある」「体操をしましょう」みたいな感じであんまり重大視されてない感じがしたんだけどどうだろ?程度によるのかな?
で、リハビリに通い始めたのが1ヶ月前。「腰椎すべり症」の置き土産はありがたくはないが、わたしの担当をしてくれる若い理学療法士のお兄ちゃん、密かに育ち始めたこの人との友情?をとてもありがたく思い、実は週に一回のリハビリをとても楽しみにしている。
5月に結婚式を控えた彼は、準備の様子やいかにフィアンセが素敵な人なのかを毎回楽しくお話してくれる。もとフットボール選手だったという彼はどう見ても筋肉派、耳に挟む他の療法士さんとの会話はとても男っぽい。なのに、おばちゃんにはリハビリを施しながらバレンタインに一緒に結婚指輪を買いに行ったこと、今週末は式場でワインの味見をしてくること、ウェディングケーキはシンプルないちごショート味に決めたこと、など事細かにそれはそれは嬉しそうに教えてくれる。
「いかに結婚式を楽しみにしているか」「いかに彼女にベタ惚れか」というマッチョにあるまじき?感情を、このちっこい(アメリカ標準)他人のおばちゃんなら奇譚なく吐き出せるのが嬉しそう。おばちゃんが時間に部屋に入ると向こうから大きく手を降って、もう左手はおしりポケットの携帯(写真見せてくれる)に伸びている。聞かせてもらうおばちゃんも嬉しくてウィンウィンだ。割とハードコアなわが家の長男(きっと同い年くらい)も、言わないだけでこんなにほわほわした可愛らしい感情を実はたくさん隠し持っているのカナ、など考えるだけで気持ちが暖かくなる。
肝心の腰と膝は、痛みは未だあるが、足が重くて感覚が鈍い感じは劇的に改善した。リハビリが終わるまでのテンポラリーな友情であっても、療法士さんとのこんな温かい時間と気持ちは腰椎すべり症にならなければ経験できなかった。ということで、プリちゃん、素晴らしい置き土産をありがとう、とまた帰りの車でわんわん泣いてしまうおばちゃんなのでした。



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