どんな社会も完璧ではなく、誰にも不安や不満はあるだろうし、安定した社会でもとんでもない目に遭う人、理不尽な目に遭う人もいると思うが、日本みたいにおおむねスムースに運営されている社会というのは世界でも稀有で、外から見るとまじでパラダイス。特に社会保障の手厚さは、アメリカに住んでいる身としては「ここまでサービスしてくれるなんて政府の支出のほうは大丈夫なんやろか?」と思ってしまうほどの素晴らしさ。すっかり自信を失くしちゃってる感じの日本、なんとか公平な自己評価という能力を国全体で育て、自信というものを取り戻して行ってほしいと思う、と書いたのが前回のブログ。

長く続く不景気が落とした影は暗く濃く、上がらない賃金とデフレ、ここいらへんに自信消失の原因があると思うが、ちょっと日本のGDP(国内総生産)を見てほしい。
経済の大きさと影響力を測る目安となるGDP は要するにその国が一年間で「いくらお金を儲けたかの業績」を示す数字だけど、「買い物の支出は小売店のもうけ」という合わせ鏡の循環を考えれば、事実上、国内「総支出」と考えてよく、実際、正式発表になるGDPも支出側から計算された数字。
日本の総合GDPは、アメリカ、中国、ドイツに続き世界第4位。国ではないが、ハリウッドとシリコンバレーを抱えて潤うカリフォルニア州、じつはGDPが日本より高く、カリフォルニアを含むと日本は世界第5位となる。
国内総生産を人口で割った「一人当たりGDP(ドル)」は以下の通り。
- アメリカ(カリフォルニアを除く) $80,706
- カリフォルニア $104,058
- ドイツ $53,528
- 日本: $33,806
- 中国: $12,509
えええーアメリカの半分以下じゃん!とショックを受けないで、聞いてね。まず、①アメリカには桁外れのお金持ちというのが存在するので、その人達が平均をグググ、と引き上げていることをお忘れなく。②アメリカの物価高で「支出額」は異様に高く支出GDPは自然と高くなる。③そしてこれらの数字はドルで計算されているわけだから、近年のドル高・円安、これが日本のGDPの過小評価につながっている。過去30年、賃金は上がっていないが物価も上がっていない日本で1ドルで買えるものは、アメリカやドイツでは絶対にその値段では買えないという事実は額面GDPではわからない。決して日本人が先進国に比べてビンボーなのではない。
中国は人口が多いので国のGDPは高いが、一人あたりGDPはめっちゃ低いことがわかる。
ドイツは国土面積は同じくらい、人口は日本のほうが多少多い。比較をする相手として妥当。ドイツの伸びはここで一概に説明するのは難しいけど、高品質の医療、電子、科学危機などの製造業が強いこと、中小企業の数が多いのでニッチな産業で伸びがあること、国全体の労働生産性と効率性が高い、などなど。
世界で血液型「A型」が一番多いのドイツと日本だけ(笑)。清潔さ、正確さ、便利さを好む国民性が似ていて、この伸びは日本がこれから大いにお手本にして行くべきと思う。O型とA型が同じ比率というイスラエルも、サイバーセキュリティや精密機器の分野で伸びていて、日本も学ぶべきところがあると思う。
もうアメリカじゃないよ、国土も文化も違いすぎる。
アメリカから帰国して歩く日本の街は、どうしても不景気に見えないの。レストランには長蛇の列、小売店の多さ。珍しい食べ物やかわいらしい商品に溢れている。シャッターが閉まったままのショッピングモールやガラガラのレストラン、小売店に行っても「そのサイズは置いてません」と言われ、店員さんもまばら、そういう光景が日常的のアメリカのほうがよほどうら寂しい印象を受けるし。洋服、アクセサリー、レジャー用品、小物、家電、外食…どう見ても日本のほうが商品に溢れ、ショップの袋を下げて歩く人の多さ。言っちゃなんだが人の表情も、日本のほうが何百倍も柔らかく幸せそう。アメリカのコストコに来てみてよ。よく分かるよ。
GDP低下の一因は「個人消費の冷え込み」と言われるが、ちょっと考えてほしい。やっぱり少子化、こんなとこにも大きな影響を与えている。人生のうちでお金が一番かかるのは子育て期だ。日本は子どもが少ないので個人も政府も使うお金の額が小さくなる。子どもは何かとお金がかかる。払った塾の費用、おもちゃやサッカーボール、どんどん小さくなっちゃう子供服、ディズニーランド…と親が使ったお金はそのまま経済という大きなバケツに放り込まれるので、そのバケツのサイズが大きくなり続ける状態が「好景気」ということだ。
そして日本はめっちゃお金がかかる長期休暇というコンセプトがあまり定着していない。アメリカに住んでいれば必ず車が必要で、購入、維持、保険代、とこれも大きな出費分野…と挙げ始めれば、国ごと、文化ごとの支出の傾向やそのスケールは簡単に比較のできないものであることがわかる。恐ろしいほどの医療費。虫歯一本で下手すりゃ20万かかるアメリカ、これも個人の支出なんだからそりゃあバケツも大きくなるというものよ。
日本はアメリカの最大の海外投資国であることをお忘れなく。日本企業はアメリカ国内で100万口の雇用を生み出している。アメリカ国債の保有率も世界一。この国債を日本がどんどん売りに出すとアメリカは息の根が止まっちゃうということを日経新聞ももっと報道してくれ。
まとめると、GDP は、個人、企業、政府がどれだけお金を使っているか、つまり社会に循環するお金を全部放り込んでおくバケツがどれだけ大きいかの目安と考えるとわかりやすい。輸出が多ければそれで儲けたお金をバケツに放り込む。政府が道路補修をしたら使った費用や雇った人の賃金、これもバケツに放り込む。国民が払う税金もバケツの中へ。活況が続けば入って来るお金も出ていくお金も大きいのでバケツは大きく、不況なら小さく、お金の出入りも控えめになる。
GDPの数字は、あくまでもこのバケツの「サイズ」を見るものであって、バケツがプラスチックなのかアルミなのか、またはバケツの中がちゃんときれいに掃除してあるかなんかは全然わかんないわけよ。でかいのだけがいいわけじゃない…GDPの数字には、その社会が暮らしやすいかどうかは反映されていない。
だから日本はまだオワコンじゃないんだってば。
ただ一つ、さっきも書いたが、少子化はやばい。だって、お金を稼ぐ人、使う人、税金払う人が減ってきてバケツのサイズが際限なく小さくなっていく。日本ならではの手厚い社会保障、その支出は歳入を超えていて、すでに大きい国家負債がさらに膨れ上がる。社会保障やインフラ投資を減らすか、税金をあげるかの選択しかなく、どちらを選択したにしても社会の安定と生活の質に大きく響くことに。
さて、なんで少子化なのかという複雑な問題なんだけどね、よく話題になる「出生率1.15人」。だが、結婚している人の出生率はここ30年、1.9人から2.2人の間を推移している。だから、結婚するかしないかってとっても重要な鍵だと思うんだけど、そのへんは政府、なにかやってくれてるのだろうか。民間任せ?
次のブログではこのあたりをお話したいと思います。



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