先週「あなたの星座は2000年ズレている!」というショッキングなタイトルの記事がニューヨークタイムズに掲載された(リンクはこのブログの最後にあります)。
どれどれ…。記事によると、地球が太陽の周りを自転するときにはコマが回るときのような揺れ(歳差運動っていうんだって)があるので、地球から星を見る角度は、72年に1度(角度)ずつズレていく。2500年前にバビロニア人が現在の原型になる「黄道12星座占星術」の体系をまとめた頃から溜まりに溜まったズレはもう相当なもんになっていて、占星術で1年の始まりとされる春分の日にはおひつじ座にあった太陽が、今ではうお座にあるという。
ここまで読んで、ええええ!3月生まれのおひつじ座だとずっと思ってたのに実はうお座だったのか!!とのけぞり早速「うお座の性格」を読みに行ってきた。
「ロマンチストで甘えん坊」ウンウン、あってる。「困っている人を見過ごせない」、人だけじゃなく動物も見過ごせないのよ。「共感力が強い」、これはギャロップ社のストレングスファインダーで第1位の資質だった。「現実的な決断が苦手、運命の流れに身を任せる」おおあたりィ。そして極めつけは「恋愛においてはモテる星座の一つ」(笑)。なんだか、自分、うお座っぽいじゃん!
生まれたときにふたご座に太陽があったはずの夫はおうし座。長男。いて座→かに座、末っ子かに座→ふたご座。それぞれの顔と性格を思い浮かべると、なんだか納得できる変更かもしれない。
ニューヨーク・タイムズの記事は「ギフト記事」なので購読していない人でも読めるはず。英文ですが、記事を少しスクロールしていくとグリーンと紫の丸い天体チャートがあります。その上に Your Birthdayと書かれた箱があるので自分の誕生月日を入れてみてください。新しい星座を計算してくれます。
だが、早とちりは禁物。後半を読んでいくと、「星の位置はこの2000年で変わったので、はい、皆さん新しい星座とアイデンティティを認識しましょう」というような単純な議論ではなさそう。
ガリレオの時代までは、天文学イコール占星術で科学者がお客さんのホロスコープを読むアルバイトで生計を立てるのが一般的だったそうだが、それ以降は天文学は科学として発展し、占星術はそれとは水を分けて、文化・伝統として引き継がれるようになった。
天文学的に星の位置が大きくズレていることは現在では周知の事実なので「じゃあ占星術的にはどうよ??」みたいな議論は周期的に繰り返されてきたという。今回の記事も目新しいものではないらしい。でも、ほら、そこはニューヨーク・タイムズ、記事内容への信頼度が高いもんだからアメリカ各地でおばちゃんのように自分の「新・星座」のホロスコープを読みに走った人は多かったと思う(笑)
マンハッタンの有名な占星術者で、人気占星術ポッドキャスト「Astrology of the Week Ahead(来週の運勢)」のホスト、Chani Nicholas チャニ・ニコラスさんは、この記事について「他に書くことがないと紙面を埋めるために、こういう星座のズレ理論を蒸し返すのよねェーーー」と全く取り合っていない様子。

占星術の基礎知識がない身には、彼女のブログや他の占星術者の主張を解読するのは一苦労だったが、AIの助けを借りてなんとかまとめてみました。
① 星座の位置が大きくズレているのは科学的な事実。
② でも占星術界では現在の「12星座」をその変化に沿って調整はしない。春分の日直後に生まれたおばちゃんは死ぬまでおひつじ座らしい。
③ でも「自分、うお座っぽいじゃーん」と思うのは個人の勝手。もしかしたら太陽以外の星の配置がそんな風になってた影響かもしれないし、日にちによるし、時間にもよるし、と、できれば白黒はっきりさせたい(これはとってもおひつじ座)おばちゃんにとってはなんとも生ぬるい答え。
④ それでもしつこく、ほんと?おひつじのままなの?なんで?と突っ込む人への答えとしては、現在の「12星座占星術」は春分の日をカレンダーの始まりとして星座を観察し、太陽の通り道(黄道)にかかっている12星座を何千年もかけて体系化した伝統、文化、価値の象徴としての信念システムなので、いきなり、あ、そうですか、太陽の位置、ズレてますか、すみませんでした〜と変更に走ったりしないし、できない。したら大変な混乱になるし。
ということらしい。ふむ?
そうか。占星術って「体系化しちゃったから今さら変えたりできない伝統、文化、価値の象徴としての信念体系」だったのか。体系のもとになった科学的事実(太陽と星の位置)からは長いときを超えて乖離し、独り歩きをするようになっていたのか。
Chaniさんの説明っていうのが何度読んでもよくわからんというか、あんまり説得力がないと実は思ったんだけどね、まとめてみると下の3つ。
- ホロスコープは太陽の位置だけに影響されるのではない
- インド占星術では12じゃなくて27星座を読むというように、文化によって天体の読み方にはバラエティがあって、科学だけで単純にどうのこうの言える問題ではない(ん?)
- 角度がズレていくことなんて古代の占星術者はわかっていて体系化したんだから現在の占星術の根本は揺るがない
星座が、単なる性格診断のツールではなく、「天体図全部を読んで知恵とカンと洞察と想像力を働かせてホロスコープを読み、人生全体の方向性を読む深いもの」と認識すればチャニさんの言っていることも多少わかるんだけど、ごめん、おばちゃん全く納得できない。
だって日本人、特に日本人女子は「太陽が〇〇座にあったからこういう性格なんだよ」ってジャッジし合い、雑誌を買ってくれば「今週の運勢」を漫画より先に読んで育ってきたのだ。変更なしのおひつじ座、といわれても占星術そのものの基盤になっている太陽と星座の位置が違ってたと知ってしまった今となっては、「B型・おひつじ座・金星人」という自分のアイデンティディの三分の一がなんだかフラフラしてきちゃったじゃない(汗)
そうそう、記事は13番目の星座、よく漫画や小説の題材にもになる幻の星座「へびつかい座」についても触れていた。バビロニア人が便宜を図って勝手にこの星座を省略しちゃった、みたいな書き方になってたが、調べてみると
- 太陽の通り道に「尻尾」の部分しかかかっていなかったので12星座に含まなかった
- さそり座といて座の両方に覆いかぶさって配置されているので含みようがなかった
の2説が見つかった。そして、きちんと空を12分割している星座配分だがもちろん星はそんなにキレイに並んでくれているはずもなく、ある星座は大きくて30日以上星座内に滞在したりあるいはその逆もあるということで、そっか、知らなかったけどま、わりと大雑把(と言っちゃ何だが)な決まりの上に2500年かけて築き上げられた巨大な体系だったのね。
記事を読んで納得できたようなできないような、知りたくなかったことを知ってしまったようなアンビバレントな気持ちでいるおばちゃんだけど、今回の Take aways テイクアウェイ(学習事項)は、「ワタシ、けっこううお座っぽい」という事実(笑)。
鼻息荒かった昔は自分のおひつじ座度数を疑ったことはなかったんだから、やっぱ、加齢もある。星も動くように人の性格も動く。そうね、これからは「おひつじ・うお座」として生きていくことに決めた。




コメント