どうして日本で報道されないの?アメリカ移民狩り

ニューヨーク・旅行・暮らし

今アメリカを揺るがせている大きな問題は、

  • エプスタイン・ファイルの開示論争
  • インフレ、経済不況
  • アメリカ各地の移民狩り

の3つ。日本の大手メディアは、エプスタインやインフレについての報道は充実しているのに移民狩りになるといきなり報道が生ぬるくなるのはどうして?日本でも「移民」がデリケートな問題だからかな?SNSや独立メディアには取り上げられてるのかもだけど、それらはアルゴリズムと私見に左右されがちなので自分で探しに行かないと見つからない。大手の新聞さんなどに頑張って報道してもらえたらと思うんだけど。

アメリカでは現在、移民の大規模な拘束・強制送還が進行中。この土曜日からノースカロライナ州のシャーロット市が「捕獲重点区域」に指定されて、最初の5時間で81人を拘束。対象になる人の大部分が「ヒスパニックに見える人」で、十分な身分確認は行われず不法移民でも市民でもおかまいなく拘束されるケースが相次いでいる。

カモフラージュの戦闘服に身を包み、顔の大部分を黒いマスクで隠した ICE(アイス・移民税関捜査局)の捕獲人員として採用された臨時職員が5、6人一組で突然やってきて、名を名乗らずに車や建物から人を引きずり出す場面が、ターゲットになった町の住宅街や道路、学校や教会、スーパー、工事現場などでは珍しい光景ではなくなった。

周囲がなんとか拘束を妨害しようとしても接触が許されないので、その様子をつぶさにスマホ撮影し動画公開するのが一般的になった。インスタやTikTokでその様子を見ていると、まじで映画「シンドラーのリスト」の冒頭部分のようで、ほんとにこの2025年のアメリカ各地で起きていることとは思えないのよ。


赤ちゃんが乗っている車の窓ガラスを破損させて対象者を拘束したり、学校への送り迎え時に子供の目の前で連れ去られるケースも。引きずられていく母親のすねに取りすがって泣く子供たち。法的手続きや弁護士への連絡の時間は与えられないことが多く、拘束された人々は即座に収容施設に移送される。

ここニュージャージーも例外ではなくて、郊外にいくつも巨大な施設ができ、釈放された人たちの口から施設内でのひどい扱いについての証言が出ている。うちから一番近いのは、ニューアーク空港に近いIKEAのそば(!)。そこから車で5分と離れていないのに別世界が繰り広げられているわけだ。

ICEは警察とは違って身分証明や令状の提示を義務付けられていないので、日常生活の中に突然、一体誰なのかもわからない国家機関の介入が起きる状況が続く。銃機器の携帯も許されているので発砲を受けて死亡した移民もいるし、抗議の人たちや警察(捕獲人員とは違う)に対して催涙ガスを振りまくケースも多々ある。

「不法なんだから追い出されても仕方なんじゃないの?」と思う方もおられるだろうが、20世紀を通じて不法移民は、貴重な季節労働者としてアメリカ経済に織り込み済みの、民間も政府も暗黙の了解の存在だったことを知っていてほしい。そして不法入国をしたとしても定期的に移民局に出頭し、書類を揃えて申請していずれは市民になる道も開かれていた。

ニューヨークタイムスが移民の人対象に行なった調査で、60%の移民が「トラブルを避けるために生活を変えた」と答えている。買い物に行くのをやめる、身元確認の書類を常に携帯する、移民が多い地域(取り締まりがある可能性がある)には行かない、など。

と、こんな話をしても信じてもらえないよねー、想像つかないもんねーということになってるアメリカなんだけど、どのくらいひどいかと言うと、ローマ法王が頂点に立つ世界中のカソリック教会が「いいかげんにせい!」とアメリカの移民対策についてはっきりと抗議の立場を明らかにしたほど。カソリック教会は、その影響力を鑑みて、よほどの人道的危機でない限り外交や国政には干渉しないのだよ。

今年5月にローマ教皇となったレオ14世がインタビューで「アメリカは、恐怖を政治的手立てとして利用するという非人道的な移民に対する行動を強く反省すべき」と強い警告。ローマ法王がここまで立場をはっきりさせるのは稀で世界中でものすごく話題になったんだけど、おばちゃんが探した限りこのニュースはBBCジャパンでしか扱われていなかったように思う。

興味のある方はこちらがリンク。

ローマ教皇レオ14世、トランプ大統領を強く批判 移民政策や船舶攻撃に言及 - BBCニュース
キリスト教カトリックのローマ教皇レオ14世は4 日、アメリカにおける移民の扱いについて「深い内省」を求めると述べた。また、同国で多くの人々が、トランプ米大統領の大規模な国外追放という物議を醸す政策に深く影響を受けていると述べた。

立場上、外交や内政についての発言は避ける傾向にあるローマ教皇だけにこれらの発言は極めて稀で、いかに状況を重大視しているかがわかる。

ちなみにレオ14世はシカゴ出身のアメリカ人。シカゴは移民狩りの重点地域となっていて、町のあちこちで逃げ惑う人たちの姿が動画でアップされている。このインタビューの前にもアメリカ司教団やシカゴの労働組合と対策について個人的に話し合いを持っている。

レオ14世はアメリカ・カソリック司教団に「非人道的状況に対して、教会は沈黙すべきではない」と正式書簡を送付。それをうけて、司教団は滅多なことは出さない Special Message スペシャル・メッセージと呼ばれる重大声明を発表した。全司教団の会議と投票を経て出された声明は「人間の尊厳を脅かしている」と判断した時だけ使われる緊急非常手段でそうで、全米の司教代表が参加した投票では「はっきりと抗議するべき」が216票に対し反対はわずか5票。

繰り返すが「政教分離」が基本だからね、世界最大の宗教母体が現政権に正面から抗議というのはマジでびっくりなのだ。

アメリカだけでカソリック信者は約6200万人、人口の20%。現政権の支持者は信仰の強い人が多く、半分近く、いやもしかしたら半分以上がカソリックではないだろうか。信仰以外にも、全米カソリック教会は、学校、病院、シェルター、フードバンクなどを運営する最大のサービス機関でもあり、アメリカに住んでいる限り、全くカソリック教会にお世話にならない、縁が無いというのは難しい。カソリック信者が多い地元先出の議員は(圧倒的に保守党が多い)人々の心の拠り所であるカソリック教会の方針に寄り添うか、保守党の現政権側につくかの選択を無言裏に迫られることになる。

そしてね、現政権を支持する人たち、信仰深い人たちは「エプスタイン・ファイル」への関心度も異様に高い。ファイルの開示はまだまだだが、エプスタインのEメール公開で様々な新事実が明らかになって政権離れが加速。

おばちゃんはカソリックではないのでローマ法王の言葉が信者にどのくらいの重みを持つのかというのが実感としてわからないし、信者の心にどのくらいの変化が起きたのかを数や統計で測ることはできないが、ここまで大きなニュースになるほど稀なカソリック教会の声明、すごい影響力に違いない。世界中のカソリック教会でどんな訓話が行われているのかがとても気になる。

 

 

 

 

コメント

なんちゃってニューヨークをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む