今度は、ディズニーのちょっと怖い話

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先日のブログで、ウーバーイーツ の利用規約に同意していたことを理由に、ウーバータクシーで遭遇した交通事故の損害賠償の訴訟が却下されてしまった、という件について書いた。

実は今年に入って、ディズニー社でこれに似た訴訟事件があった。日本でも大きく報道されたようなのでご存知の方も多いかと思う。

フロリダのディスニーワールド内のレストランで食事をした女性が、ナッツと乳製品の重度のアレルギーであることを複数回にわたってレストラン側に伝え、アレルゲンがないと確認をとったのち食事をしたにもかかわらず、その1時間後にアナフィラキシーショックを起こして死亡。

ご主人が、ディズニーに対し損害補償を求めて提訴した。

その記事の中に、要求額は5万ドル(700万円)と書かれており、てっきり「5億ドル(7億円)」のタイポだとばかり思ったのだが、ほんとに5万ドルだった。アメリカの損害賠償要求額としては、しかもただの怪我ではなく、死亡の賠償額としては、聞いたことがないくらいの少額。この額は、損害賠償訴訟を起こすために必要とされる最低金額ということだ。

旦那さんの主張は、訴訟と公開裁判によりこの事件を知ってもらうことで、食物アレルギーの深刻さや飲食業界の対応についてもっと世間に

Awareness  アウェアネス 認識

を深めてもらいたいための訴訟であり、高額の賠償金を求めているのではない、ということだった。

これに対し、ディスニーは、旦那さんが以前ディズニーのストリーミングサービスの7日間無料サービスに申し込んだ際に「利用規約に同意します」という項目にオンラインでチェックマークを入れていたことを理由に裁判を拒否、仲裁で対応すると動議を返した。

先日のウーバーの事件と同じく、規約には細かい文字で、ディズニーと利用客側のとトラブルは「裁判」ではなく「仲裁」でのみ解決可能であると明記してある、と主張。また、旦那さんが10年前にプレーステーション上でディズニーのゲーム規約にチェックマークを入れたこと、入場券を購入した際にも同様の規約に同意していること、そしてこのレストランは独立営業でディズニーは家主でしかないこと、などを主張した。

「仲裁」ではなく、一般人である陪審員が絡む「裁判」になると、家族をなくした被告側に同情的な判決が下り、この件も要求額を大きく上回る額の損害賠償金が命じられることは明らか。そして、裁判で、ディズニーとレストラン側の落ち度が細部にわたって明らかにされていくことはビジネスの大きな痛手となる。

これを避けたかったわけだが、巨大企業のディズニーが、それこそへ理屈のような理由をいくつもつけ、重箱の隅をつつくように利用客側のミスを探し出し(チェックマークはミスでもなんでもないが)裁判を拒否したというこの事件は、ま、当たり前だが大きく顰蹙を買い、オンラインで大炎上した。

1週間後にディズニーはこの主張を取り下げて、「考えてみたら仲裁は時間もかかるし、ご家族の悲惨な体験を鑑みて前回の主張は適切ではありませんでした。仲裁の権利は放棄して、裁判で迅速に解決に臨むことに同意します」と声明を出した。

その後の1ヶ月の進展についてはまだ報道がないが、この記憶がまだ新しいうちに今度はウーバーの事件。

ディズニーランドとディスニー・ストリーミングサービスに比べて、ウーバーとウーバーイーツ は関係性が近く感じられること、原告が死亡していないこと、そして、「アレルギーに対する認識を深めてもらいたい」という社会的動議が軸のディズニー訴訟に対し、ウーバーの場合は完全に金銭的な賠償を求めているということ、などの違いがあり、これからウーバーが批判を受けて裁判に同意するのか、それともご夫婦が上訴しなくてはいけないのかが注目されるところ。

原告のご夫婦は上訴の予定だが、それにはさらに複雑な手続きが必要で、解決までには、まだまだ時間も費用も心傷も続く模様。気の毒だな。

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