先月の日本のインフレ率は3%だったそうで、日本から帰ってきた友達も、うん、ちょっと値段上がってきてるよ、という感想だった。アメリカは今月2.7%で、コロナのあとひたすら下がり続けたインフレ率が、今月はUの字を書いて上がり始めた…。と、関税の影響についてのブログを書きはじめてたんだけど、それどころじゃなくなってしまった金曜日だったのでした。
2月にもかかった肺炎を再発して、ぐったりと動けなくなってしまった我が家の老犬、齢14歳半。大型犬でこの年齢は堂々たるもので、もういつ逝っても大往生には違いないが、眼の前でハアハアと息も荒い愛犬を見るのはこちらの胸が詰まる。喉に熱いものが込み上げてきては飲み下す。
車に乗せて獣医さんまで行くのもこの暑い日に彼には相当な負担だ。もしかしたら、家庭で安楽死をさせてくれる特別な獣医さんに今日こそ連絡したほうが良いかもしれない、という思いが何度も湧き上がって来る。でも前回。同じような症状で点滴と抗生剤で蘇った不死身の男。ミラクルリカバリーは過去に2回。この高齢で全身麻酔の手術からけろりと回復した経歴を持つ。今度も大丈夫かも、と閉院する直前の獣医さんに担ぎ込んだ。
もうその時点では動かすたびにおしっこを漏らしていて(ごめんね、こんな話)獣医さんでもX線の機械の上で盛大におしっこをしたんだと(それで濡れた袖口を獣医さんがわざわざ見せてくれた)。獣医さんで入れてくれた水風呂と強い注射でなんとか蘇り(!)帰宅したらぺろりとご飯を平らげた、不死身のゴールデンドゥードゥル。
買ってきたおむつをつけ、アイスパックで体を冷やし、薬を飲ませて休ませた。寝る前には補助をしながらも自力でおしっこすることができた。
まさか老犬の下の世話をしながらおもてなしもあるまいと、翌土曜日に遊びに来てくれることになっていた友人夫婦に「明日ダメかも」の連絡をいれるも未練あり、「朝起きて大丈夫だったら連絡するね」ということにしておふとんに入った…ものの、眠れるわけがなーい。
獣医さんについたときには、もう喉の熱いものは飲み下せず待合室で号泣、診察室で号泣。帰宅しても号泣。まもなく来るお別れを思って音もなく泣き続けるいいトシしたおばちゃん。脱水症状でガンガン頭痛がするし、顔は腫れてパンパン。おふとんの中では家族の一員どころか、家族の重石のような役割をしてきてくれたこの老犬の子犬時代を思い出してまた泣く。来週の長男の誕生日までにはまた元気に立てるようになっているだろうか、とタオルケットの端っこをぐじょぐじょにしながら泣く。
朝方になってウトウトしたので犬たちと夫が起きたのに気づかなかった。リビングまで小走りで出ていくと、なんだか彼に目力が戻っている。まだ熱っぽいが、自おしっこをちゃんと数回したのを確かめて、友人に「やっぱり来てーーー!」と連絡する。泣きすぎて顔はパンパン、お掃除もままならなかった家に恐ろしく動揺している飼い主のおばちゃんで、来てもらうのは悪い気もしたけど明るい彼女の顔。ああ来てもらってよかった。気のおけない友人とのおしゃべりが、ムクムクとおばちゃんの体に元気を注入していってくれるのが感じられる。会話の途中で何度も「あれ、元気になって行ってる!」と実感し、それはもう、自分でもびっくりするほどだった。
彼女たちが来てくれなかったらきっと、老犬のそばにベッタリと座り込み、1日中動揺した心を抱えて涙ぐんでいたに違いない。気持ちがどよどよしたときには何か他のことをして無理やり脳の方向転換を謀る「上書き」方式を取ることにしている、と書いたのは下のブログだが、あは、そういうことを思い出すようなキモチの状態じゃなかったんだよね。自分じゃ無理だった。

たくさん笑って、みんなでお菓子を食べて、彼女たちを送り出したあとはおばちゃんも老犬とともに蘇り、前日とは別人。家事をこなして、晩ごはんを作って食べ終わった頃には正常な思考が戻って今後の老犬のことも落ち着いて考えられるようになっていた。
Adjustment アジャストメント(適応)。いつかこの犬が一人で歩けず、どんどん弱っていく日が来るのはわかっていた。その日が確実に近づいてきていること、それを受け止め、落ち着いて対応できるように心の準備をしておくこと、そして一日に何回もトイレに出したり、ベッドの場所を変えたり、歩きやすいように敷物を敷き、水のボウルに気を配る、そういった細々したことを組み込んで生活をアジャストしていかなければならない。金曜のように、自分を失うほどうろたえることがないように。
それにしてもさ、お友だちの優しさがあんなにありがたいのに肝心のオットの慰めっていうのは全く功を奏さないっていうのは一体どういう仕組み?おばちゃんほど超ど級じゃないにしても夫も同じ悲しみを一緒に体験していることがわかるからか…?
さてさて、こうやって書いている間にも昨日の参院選の結果が更新され続けているが、現時点では与党の過半数割れが確定とのこと。アメリカに住んでる人の勝手な意見としては、世界情勢が大揺れの今、首相交代はうーん、ちょっと心配よ。避けられるかナ。8月1日に発効することになっている米国関税に絡んで、アメリカを迂回してカナダ、EU、アジア諸国との貿易・外交を強化するための交渉がこの数ヶ月でガンガン進んでいる。カナダとの「情報保護協定」、EUとの「日本・EUデジタルパートナーシップ会議」、カナダから初めて液化ガスの輸入を開始…と、民間・政府が色々と合議を進めている時にリーダーが交代してしまうってちょっと不安。
老犬、今日もご飯を平らげました。明日からはまた、元気に皆さんの役に立つブログを更新していきたいと思います。
読みに来てくれてほんとにありがとうございます。




コメント