流行語大賞というものがあったら2018年ごろ必ず選ばれていただろう言葉に
Spark Joy スパーク・ジョイ
があります。喜びがはじけちゃう!というこの言葉は、ご存知こんまりこと近藤麻理恵さんの「ときめきの魔法」のときめきです。捨てようかどうしようか迷っているものに心を添わせてそっと触ってみる。「私、ときめいてる?」と聞いてみて、イエスならとっとく、ノーなら「今までありがとう」といいながら捨てる。
この一連の流れをこんまりさん夫婦は、アメリカでは Spark Joy する?触ったときにビビっと喜びがはじけますか?と訳して見事に心のツボ直撃、斜め向かいの82歳、ゲイルばあちゃんまで「あら、日本人なの?スパーク・ジョイしてる???」なんて冗談をいうほどアメリカ全土に浸透しました。
お友達のアンさん。彼女は料理はうまいけどお片付け全然好きじゃないのです。どんな状況でもオッケーなようにいろんなものが家にある。うちの夫が50歳になったときには「オー!!いいものがあるから貸してあげる!」とガレージから引きずり出して持ってきたものが巨大な
I’m 50 today!!!! 僕は今日で50歳になるんだ!!!
と白と青のきらきら文字で書いてある巨大な看板。等身大の「5」と「0」の数字の看板と三枚セット。なぜにこんな物がガレージに?
とにかく、そのアンさん、お片付けとは両極にある彼女が「みんなが読んでるからスパーク・ジョイ読むわ!」と図書館に借りに行ったところ(買うまでの気持ちはなかった)なんとお取り置き件数190人。彼女の前に借りたい人がそんなに。
そのこんまりさんが、最近3人の子供と過ごす時間と空間が一番大事だから、と自分の中のお片付けの優先順位はぐっとさがりました、家は前ほど片付いていないんです、と告白。それがヨーロッパでもアメリカでも大きく報道されました。オー、優先順位付け、人生には大切ね!と、とってもポジティブに受け止められたんですが….
私の考えはちょっと違ってて…。こんまりさんの旦那さん、お片付け界の秋元康さん?というくらいの敏腕プロデューサーではないかと睨んでいます。こんまりというタレントをあれだけうまく世界に名を広めて、その当時からアメリカに家族で引っ越し、こちらで大人気だったネットフリックスのお片付け番組では、最初は正座をして今からお片付けをする家にご挨拶、そっと持ち物に手を触れて「ありがとう」と心を込めて言う、お片付けができないお本当の原因がわかってきた人が人生の深さに気づいて涙する、っていうなんとも ZEN な要素が嫌味なくマゼマゼされています。
ちょうどコロナ前、世界は休みなく膨らみ続ける傾向にあって、持ち物は増える、労働時間も増える。あれもやりたい、これもやりたい、という飽和状態にみんながちょっと疲れた時期だったと思います。こちらでもミニマリズムがブーム、でもけっこうキビしいミニマリズム。もう何でもかんでも捨てなきゃいけない、洋服は全部で5着しか持ってないのがクール、書類?本?写真?思い出の品?とんでもない!って感じのスパルタ・ミニマリズム。
そこにどう見ても18歳くらいにしか見えないおかっぱの天使のようなこんまりさんが「ときめいたら捨てなくていいのよ♥」と優しく言ってくれる。ヒットするはずです。
そしてコロナ。家のお片付けをする時間は前よりもずっとあり、お買い物は不便になり、強制的にしぼんでしまった生活の中で人生を見つめ直す時間がみんなに与えられました。2年近くもそういう時期を過ごし、少なくともアメリカでは自粛直後には「物は少ないほうがいい」「本当に必要なものだけを買う」という考えは忘れ去られ、コロナ中に使わなかったお金でどんどんと買い物や旅行。無理もないと思います。
その一方で家族や友人をなくした人も多い、これから世の中何があるかわからないという気持ちがみんなに薄っすら。家のお片付けやミニマリズムではどうにも解決のできない心の奥のなにか。
こんまりさんのご主人は、どうもそのあたりに照準を合わせてこれからのこんまりさんの行き先を模索しているのではと思うのです。こんまりさんご夫婦は、こんまりブランドの強みの一部である ZEN や日本的な精神世界の部分にフォーカスして、まあはっきり言うとそんなに儲からなくなってきた片付けから脱皮を図ろうとしているのでは、と、そういうふうに思ったのでした。
それが悪いとか全然思いません、もちろん。ただただご主人のプロデュース、すごい敏腕やなあと感心し、これから精神世界方面で大きく活躍してくれるだろうかわいらしいこんまりさんに大きな期待を持っているのです。


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