私の住む街から ガーデン・ステート・パークウェイという12車線のだだっ広い高速にのり南に約30分。『メトロパーク』というおしゃれな名の付いた出口で降りて高架下のトンネルを抜けると、そこは雪国….じゃなくて、インドだった!
ここはニュージャージー州エジソン市。お察しの通り、ニュージャージーが誇る発明家エジソンが生まれた町だ。今では人口の半分近くをインド系住民が占める有名なインディアンタウンとなり、エジソン、と聞けば電球ではなくインドを連想してしまうほど。
メトロパーク出口からニューヨーク行きの電車の線路に沿って少し走ると、エジソン市の西から東を横切る大きな道路に出る。6車線の幹線道路は
Oak Tree Road オーク・ツリー・ロード
という。『樫の木通り』だ。今日の行き先は、樫の木通り1700番地。待ちに待ったアーユルヴェーダオイルマッサージの日なのだ。店の名前は「Santhigram Kerala」サンティなんとか、後はグーグルマップにおまかせして1700番地に到着した。
樫の木通りのプチインド探検
アメリカによくある平屋のお店が並ぶ大きなショッピングセンターの駐車場に入り、はて、困った。駐車場を囲むように並ぶお店、ほとんどすべてがインド文字。英語もあるけどはっきり言ってほとんどが私にはサンティなんとかにしか見えないし聞こえない。
ヨガ歴長く、インドは他のアメリカ在住者よりも多少詳しいと思っていたが全然役に立たないじゃん!いやしん坊が災いして、サンティなんとかマッサージ店を目で探しながらも鼻は『インド式炊き込みご飯専門店』とか『南インド風パンケーキ、ドサ専門店』『インドスイーツの店サンティなんとか』が気になって仕方がない。名前は読めないが。
駐車場はインドスパイスとローズウォーターの香りでいっぱいだ。お腹が空いてきた!
マッサージのサンティなんとかはずっと奥のスーパーの隣だった。予約まであと15分あるのでスーパーをチェック。家庭用品コーナーに前から気になっていた『素焼きのカレー土鍋』発見。お買い上げ。
お、いったいこれは!同じ素焼き素材の(ちゃちな)プライパン状のものが。作る過程で竹ひごで適当に開けましたという感じの不揃いな小さな穴が全体に散っている不思議なもの発見。きっとインドの平たいパン、ナンやロティを焼くか温めるためのものではないかと思う。

家庭用品のお向かいは『祭祀用品』?と多分書いてあるんだと思うが日本人にはあまりに強烈すぎるお線香がこれでもかと陳列してある。箱のデザインがとってもインド風。
岸壁に立ち、顎を上げて遠くを見つめる風貌もたくましいインド風イケメンの『シバ神』線香、その隣はセクシー系ふくよか美女、アイラインとすごいまつげの『デヴィ女神』線香。

(こんな感じのイラストね)
その隣にはかわいらしいガネーシャ象の置物。ど・ピンクと黄色のお洋服のガネーシャはなぜか3ドル99セントととてもお手頃価格だった。こんな値段で買ってきてもご利益はあるのか。
線香の匂いにやられる前にマッサージ屋さんへと向かうことにした。
本日はニルバナ(涅槃)コースなり
オンラインで予約をしたらお店の人から電話がかかってきて「お申し込みのコースには『パンチャカルマ』がついて来るんですがご覚悟のほどは」と聞かれた。
パンチャカルマ…..解毒。いろんな方法があるが、腸洗浄、浣腸と考えてもらっていいと思う。インドの強力なオイルを使う、かなり
invasive インヴェイシブ 侵襲的な、踏み込んだ
トリートメント、っていうか医療だね、あそこまで行くと。多分死ぬまでパンチャカルマを受けることはないと思う….。怖いもん。
あ、いえ、パンチャカルマはいいです、マッサージと「シロダラ」とスチームバスのコースを選んだはずなんですが?
あーそうですか、それではお客様のコースは Nirvana Course 涅槃コースになります。1時間30分でお値段165ドルです。
たけえな。これに約20%のチップだから合計200ドルか。ま、しゃーない。鍼の先生に、もうトシなんだから『自分ケア』に時間とお金を使いなさいと厳しく言われているのだ。
それにしてもこの名前。涅槃コース(笑)。涅槃に行けちゃうくらい気持ちいいんだろうな!予約をいれ(ちょこっとお代金のことが気になったけど)オイルでねちょねちょになりながらマッサージしてもらうところをひたすら想像して夢心地でこの日を待ったのだった。
特に楽しみなのが「シロダラ」。仰向けに寝て、上からぶら下げた入れ物に入った暖かいオイルをつつーーーーーーーと眉間の「第三の目」付近のおでこに垂らしてくれる。
以前シロダラをしたときは、オイルの入れ物をお姉さんがゆらーーゆらーーと揺らして左右に動かし、おでこ全体から髪の生え際までまんべんなく垂れてくるオイルの筋でマッサージしてくれた。たまらんよ。リラックス効果抜群で、本国ではうつ病の治療に必ず用いられているという。納得。
施術室に入ってみた
初めてアーユルヴェーダのマッサージに行ったのはかなり前だけど、ほんとにびっくりしたの。パンツも脱いでスッポンポンにならなくてはいけない。ファミレスのテーブルに乗ってる紙ナプキンのようなものを渡され「はい、これパンツ」。
10センチかける20センチくらいのファミレスナプキンの両側にくっつけられた同じ素材の頼りなーい紐に、両足を突っ込んで薄い紙の部分でお股をおおう。ま、気休めでですね~、穿いてる意味はまったくない。
オイルでベタベタになるから寝心地の良い施術台なんかじゃなくて、何人がかりかでやっと動くか?というくらいの、彫り物が施された古い頑丈な木のテーブルだ。枕がわりのバスタオル。排水溝というか、テーブルのぐるりと足元に掘られた溝から余分なオイルは滴り落ちるようになっている。

(これはお写真をお借りしたけど、こんな感じ By Vijayanrajapuram – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=57758160)
そこでパンチャカルマ(浣腸ね)を受ける人もいるらしく、怪しげなバケツに透明のビニールの管がテーブルの下に隠されているんだが、見え隠れしてて怖い…..管が怪しげなレバーの付いた箱型の電源に繋がれていて、なにかしら拷問台を連想させる….気が。
見て、下の足をねじねじで外したら死体運搬の担架の形になっとるやん!
常にインド楽器とお唱えのしゃん、しゃん、ちゃらりーーーーーーーーーという感じの曲が流れて仄暗いマッサージ室。オイルの匂いももちろんアヤシイ。
片すみにはパーソナルサイズのスチームバスがでーんと置いてある。韓国のよもぎ蒸しと同じ形だけど重そうな金具の付いた木の古ーいドア。上部に首を出す穴がついている。木をくり抜いたギロチン風の穴だ。

Photo: https://ayushdhara.com/より
もう温めに入っているらしく、スチームなのかお湯なのか、シュウ、シュウシュウ、とドアの中で何かが不規則に音を立て、丸い首部分から立ち上る湯気が、なんか怖い(笑)
写真撮影は禁止じゃないけど、体中ヌルヌルでそれどころじゃなかった。次に行ったら、今度は着替えで一人になるときを狙って撮影してくるね。
インドでお腹いっぱい
このマッサージのあとスーパーに寄り買い物をして、その夜は買ってきた材料でカレーを作って食べた。テイクアウトしてきたサモサを翌日温めて食べ、買ってきたインド素焼きの鍋の手入れを始めた。
ネトフリで大人気の
Indian Match Making インディアン・マッチメイキング
という、凄腕のインドのお見合いおばちゃんがインドとアメリカを股にかけて次々とカップルを誕生させていく番組を見てヨガの練習。

コレ、お寺の内部ね。全部大理石の彫刻。By Work for hire; Copyright held by BAPS Swaminarayan Sanstha (web: http://www.baps.org, email: info@baps.org)
最近ニュージャージーにできた世界で二番目に大きいヒンズー教のお寺がすごいらしいと聞き、週末に見学に行った。カフェテリアでヴィーガンの本格的インド料理を食べ、最後に寄ったギフトショップ。そこがすごかった。
これでもかと並ぶ派手な色のガネーシャやらシバ神の像に、みんなが試しに火をともしてみるお線香のサンプル。色彩のドギツさと匂いにくらくらし、さっき食べたカレーが辛すぎてお腹がぎゅるぎゅる言い出した…..。

(お値段にも注目)
家にたどり着き、お風呂に入った。髪も洗った。でもあのお線香の匂いが消えてくれない。私の脳内に刻まれてしまったに違いない。もちろんその夜はインドの夢を見た…..。黄色の袈裟をまとい、ハヌマンという猿を連れた、眉間に大きな赤い第三の目を描いたお坊さんの夢….。
翌日、自分が作った残り物のカレーを見たらまたお腹がぎゅるぎゅる言い出した(見ただけで)。まるで私の体全体が「いくらなんでも今週のインド係数、高すぎ」
I need a break. お休みが必要なの
と言っているみたい。お寺に一緒に行き、同じくギフトショップのお線香にまいった夫も全く同感だった。なんだか今書きながらまたあのお線香の香りが鼻をくすぐる。
インド、濃いぞ。マッサージ本編と、総工費150億円と言われるこの
Over the top オーバー・ザ・トップ 「すげえ」
お寺のお話、このあと続きます。




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