アメリカを横断するWalking Monks(歩く僧侶)とアメリカの底力

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おばちゃんのヨガの先生はかなり悟りが入っているタイプで、生徒にきついポーズをさせながらとつとつと「今日の説話」をしてクラスを進めるというスタイル。昨日は「感情や雰囲気は Contageous コンテージアス(伝わる、広がる、伝播する)」という内容のお話だった。

この話で一番に頭に浮かんだのが、現在アメリカを行脚中の「Walking Monks 歩く僧侶」である。先頭に立つタイ出身のアジャン・ポ・チャイ・パンニャ師が「世界平和のためにひたすら歩く」ことを始めたのは20年前で、これまでに世界各国を行脚した距離は10万キロを越える。

アメリカ西海岸に上陸したのは2023年。3人で歩き始めたアメリカ横断の旅に加わる僧侶も増え、現在は多いときには20人くらいのオレンジの袈裟姿が一列で黙々と歩く姿が報道される。

先週からは大雪に見舞われたノースカロライナ州を通過。寄付された雪用ブーツとぶ厚いコートで雪の中もただひたすら歩き続ける姿は見ているだけで心を打たれるものがある…

(https://rvamag.com/news-headlines/buddhist-monks-enter-virginia-on-walk-for-peace-richmond-ahead.htmlより)

と思ったのはおばちゃんだけではなく今ではアメリカ中がこの僧侶の列を見守っている感がある。沿道には僧侶たちを一目見ようと多くの人が集まり、少しでも参加したいと僧侶の後ろについて歩く人たちの群れ。赤ちゃんを抱いて僧侶に声をかけてもらおうとする若い母親。頭上には報道のヘリコプターが飛び警察が出動して僧侶の安全を守る。宿泊所ではボランティアたちがが食品、物資、医療、マッサージなどを提供して僧侶の日々を支えている。

こんな大騒ぎは決して僧侶たちの本意ではなかっただろうが、だただひたすら歩くという行為の「静かな強靭さ」が見ている人に伝播して、宗教を超えて心の中の何かが変わっていく様子。僧侶とともに世界中を歩いてきた雑種犬、Aloka the Peace Dog 平和犬アロカのインスタページを通じておばちゃんも毎日僧侶たちの道筋を辿る。

市民二人が射殺されたミネソタ州では相変わらず市民の抗議活動が続くが、家を出るのがむつかしい移民家族を助ける大掛かりな市民組織ができたり、デモの人たちに食べ物や飲み物を届ける市民やレストラン。赤い帽子をかぶってナ★スド★ツに抗議したノルウェーの史実に則って編み物で資金集めをする女性たちなど「何があってもあきらめない」姿勢を団結して見せているミネソタ州の人々の勇気、これも伝播している。

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この1月、ニューヨーク市の犯罪統計が全体で20%減少、特に殺人は60%の減少を見せた。大雪など悪天候の影響もあると言われるが『「超・左翼」の新ゾーラン・マムダニ市長が当選したらニューヨークの犯罪は増加し血の海になる』と言ったあの人(オレンジ)の予言は全く外れたわけだ。もちろんこの激減は就任して35日のマムダニ市長の功績だけとは言い切れないだろうが、ニューヨークを絶対に住みやすい町にする、良くしたいという若い新市長の意気込みの demeanor ディミーナー(その人の醸し出す雰囲気や様子、立ち居振る舞い)は見ている方に嫌がおうにも伝播してくる。

道路管理局に混じって雪かきをするマムダニ市長は、大雪の日には何よりも5000人以上いると言われるホームレスの人々の避難に腐心した。

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彼のジャケットに刺繍を施したとして一躍有名になった小さな洋裁店。歩道に段差があって自転車で通りにくいからなんとかして!とほとんど冗談で呟いたのに翌日にはニューヨーク市が舗装工事にきてくれたという投稿がバズった。ニューヨークの人の顔が明るくなった、とよく言われる。犯罪率の低下と深く関係がありはしまいか。

先日歩いたニューヨークではあらゆるところでアリシア・キーズの Empire State of Mindがかかっていた。マムダニ市長がキャンペーンに使用し、就任式でも繰り返しかかっていたこの曲が、タイムズスクエアでも、ホテルのロビーでも流れている。とんでもない事になってしまったアメリカだけど、それだけに逆から光が当たった「人間の良さ」と希望を実感する。

人を助けること、助け合うこと、誠意を持って人に接すること、弱者を思いやること。アメリカ、こんな状況がいつまで続くのかわからないがむくむくと芽を出してきた人々の本来の良さ。ポジティブさ、強さ、団結力、明るさ。アメリカが持つ本来の底力をみなが思い出し、それがゆっくりと伝播し続けていることを嬉しく思う。

余談だが、雪かきをするマムダニ市長には「寒い戸外では帽子をちゃんとかぶらないと!」という心配のコメントが4000も寄せられたそうだ(笑)

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