オックスフォード大辞典が選んだ「今年の言葉」

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イギリスのオックスフォード大学出版局(オックスフォード大辞典の出版元)が発表した「今年の言葉」は、Rage Bait レイジ・ベイトだった。直訳すると「怒りをさそうエサ」で、ネット上の炎上をわざと狙った煽りや釣りコンテンツのこと。

レイジは周りが見えなくなっちゃうような逆上や抑えられない怒りで、Angry アングリーよりもっと激しく、瞬発力のある燃え上がるような怒りの感情。ベイトは釣り針の先につける餌のこと。

この手法を使うとエンゲージメントが爆上がりするので、レイジ・ベイト的コンテンツは今年は3倍以上に増えているんだそう(汗)

炎上はどこでも見かけるし、過激な発言や激しい応酬が繰り広げられていればびっくりしてつい読んでしまう。とんでもない発言はどんどんシェアされてエンゲージメントは上がるばかり。んで、お金になる、めっちゃ不健康な負の連鎖。

成人指定になっているわけではないコンテンツは小中学生だって見れる、と思うと現実とネットをうまく切り離せない子どもたちのメンタルに一体どういう影響あるよ?と考え込んでしまう。

昨年のワードは Brain Rot ブレイン・ロット(「脳みそが腐る」)で、だらだらとSNSや動画を見続けて思考力が衰えるという意味のネット用語だったから、2年続けてゾッとしない用語がトップだね。

ま、それはおいといて、同時に最終候補に選ばれた「Aura-Farming オーラ・ファーミング」と「Biohack バイオハック」のほうがとっても気になった。

アルファ世代(15歳くらいまで)発祥の言葉、オーラ・ファーミングは簡単に言うと「かっこよく見えるための言動」。オーラは言わずとしれたあのオーラ、個人から立ち昇るなんとも言えないカリスマ感だけど、若者の間ではあまりスピ系風味はなく服装や行動がクールでオシャレという感じらしい。

Farm ファームはもともと飼育する、耕作する、養殖する、という意味だけど、この場合はゲーム用語でポイントを稼いて貯めるという意味なので「オーラポイントを稼いで貯める」のがオーラ・ファーミング。

オーラって自然と出るものであって、それを意識した人気取りのわざとらしい行動は「イタイ」感が伴うネガティブワード?だとばかり認識したら、なんかさ、そうでもないらしいのよ?前期Z世代、28歳の長男は「別にネガティブでも皮肉でもないんじゃない?」という。

彼の説は、アルファ世代にとっては人生はすでにSNS上の公開劇場のようなものだから、クリックしてもらうためにコンテンツを盛るのが人生の一部、カッコつける、つまりオーラ・ファーミングするのが当たり前であって、ネガティブでもなんでもない、と。ちなみに「アルファがイメージするオーラ・ファーミング」を検索すると、ゲームのキャラがマントをなびかせバックライトを浴びて崖の上にかっこよく立っているイメージが表示された。

後期Z世代の末っ子は年齢的に数年しか違わないのに「アルファの感覚についていけない」と公言する。度を過ぎたオーラ・ファーミングは「イタイ」「みっともねえ」と感じるらしい。

おばちゃんにいたっては、Farm がゲーム用語だなんて知らなかったので、頭に浮かんだのが魚の養殖場(これもファームというのよ)。そこで光るオーラを出して泳ぐ魚の群れのイメージが湧いて来た。意味を聞いて「なーんだ、かっこつけのことか!」と即刻ネガティブ・ワード分類したあと、言葉のセンスに思いっきり感心したのだった。

この解釈の違い。原因は間違いなく「SNSやゲームとの距離感」「社会的成熟度」だよね。

長男の属するミレニアルや前期Z世代はSNSはあるけど生活の中心ではない。んで、社会に出てから体温のある人間同士のコミュニケーション仁義も修得し、アルファとはぐぐっと年齢が異なるだけにオーラ・ファーミングを「若者の現象」として観察をする余裕もある(「ま、いいんじゃない?」)という感じ。

後期Z世代はアルファほどSNS依存はないけどゲームは生活の一部なので、オーラ・ファーミングは他人の現象というよりは自分たちも場合によってはやっちゃうかも、って感じか。パンデミックが訪れたときにはすでに高校生くらいになっていただけに多少オトナだ。

ああ、アルファに至っては、まだ子供だしねえ、ゲームと現実の区別がうまくつかない年だよね。長男が言ったように、オーラ・ファーミングなんてみーんなやってる普通の行為であって、オーラが本物だろうが作り物だろうが関係ないんだろうねえ?

ま、こうやってあれこれ分析しているおばちゃんが最もイタイ存在であることは深く認識しつつ、言葉ってホント変化していくもんだねえ、と興味が尽きないわけよ。

最後に、Biohack バイオハックの方は、もう少し中高年フレンドリーな言葉(笑)。「体の生理や医学、生物学の仕組みをデータ的に理解して、体に人為的な信号を送ることでパフォーマンスをを最適化する」とでも言おうかね、アンチエイジング × ウェルネス × 科学データ×テクノロジー × 自己改善×健康・長寿×パフォーマンス最適化、何でもありの健康ワード。

睡眠ホルモンのメラトニンを飲むのも考えてみれば体に「いまは寝る時間ですよー」とシグナルを送るバイオハック。体のリズムを把握してプチ断食したり、お風呂の時間を調整する、時間を見てアミノ酸を摂取する、プチ昼寝、と言った可愛らしいものから、体内チップをうめこんだり酸素量の多い血液を輸血する、といったセレブ限定?の大掛かりなものまで色々あるが、良し悪し別にして体を騙して健康とパフォーマンスを最適化する、というお言葉である。

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