バレリーナ農場の「生乳」販売で大騒動

セレブ・ロイヤルファミリー
アメリカの「生乳」(無殺菌牛乳)状況

日本では北海道に無殺菌牛乳の販売を許可されているファームがひとつあるだけで「生乳」は基本禁止。アメリカでは州ごとに規制が異なり、完全に禁止されているのはニュージャージーを含む10州のみで、カリフォルニアなど14の州では完全に合法でスーパーで気軽に手に入る。

ここ数年、生乳に関連した食中毒や感染症のニュースが絶えなくて、複数の州でO157やサルモネラ菌、鳥インフルエンザなどの菌が検出されてアウトブレイクが起きている。アメリカ最大の生乳メーカー「Raw Farm ロウ・ファーム」の製品から9人が大腸菌O157に感染し、3人が入院、1人は深刻な合併症を発症したのは今年のはじめ。2年前にはこの会社の生乳をのんだ猫が鳥インフルエンザで死亡する事件があった。でもこの会社、「自社検査では陰性だから」といって自主回収をしておらず、食品安全局からも強制リコールの指示がでていない。

「生乳の販売は停止します」

バレリーナ農場も、数年前から農場内のスタンドでしぼりたてを謳った生乳製品の販売を行っていた。ユタ州農務省の検査でO157が検出されて品質検査不合格になったのが昨年の5月。そのあと生乳製品の販売を密かに取りやめたのは数カ月後の8月11日のことだった。翌9月にはユタ州ミッドウェーに実店舗を大々的に開店し全国で話題になったが、この時点では生乳検査の件はmada

報道されていなかった。

今年のはじめに地元テレビ局がこの事件をスクープ。知的な社会分析で影響力のある雑誌「 The Cut ザ・カット」がさらに深く事件を追い「バレリーナ農場の生乳リスク」という記事を掲載してO157の検出が世間の知るところとなった。元々好き嫌いが激しく分かれるタイプのインフルエンサー。「とんでもない、しかも隠していたなんて!」と批判する人、「生乳のどこが悪い?」というファンの間で喧々諤々の大騒動となリ、予防接種の問題と同様にアメリカで元々論争が激しい生乳問題だけに、全国的バッシングへと繋がった。

バレリーナ農場は、生乳製品の販売を取りやめたこと、施設や知識が未熟であったこと、将来的には投資を続けていく予定であることなどを述べた弁明の声明を発表し、落ち度を認めた形となった。

ハナさんの言い訳動画

「この件について不正確な報道が多くて誤解が多いので説明します」とハナさんが投稿した動画はこちら。「検査に不合格だったものは販売していない」「うちの牛乳は100%安全でだれも病気になっていない」「取りやめたのは、ビジネス的に採算が取れなかったから」「うちの(殺菌済み)乳製品はほんとに美味しくてアイス、チーズ、もうとにかく美味しくて We love it だーいい好き、ブリーチーズなんかも作ってます」と、言い訳から内容は商品の宣伝へ移行。いつものように優しい顔だがけっこう反抗的だ。100%安全じゃないから検査に落ちたんだと思うけどね。販売は取りやめたが信念は変わっていないことを強調。じゃないとファン層の大部分を占める「自然派」「伝統派」の心を繋ぎ止めることが出来ないからね。

 

一体だれが生乳を好むのか

生乳の危険性を知ってか知らずか好んで消費する人たち、大きくわけて3つのグループに分かれる。

①「自然派」「伝統派」トラッドワイフ系。「ていねいな暮らし」「自給自足」「自然のままが一番」を信奉する人たち。子供のホームスクーリング率が高く、ワクチン接種率は低い。

② リバタリアン・保守層。「何を体に取り入れるか、食べるかは政府が決めることではない」という個人の自由をむやみに主張する層。予防接種やコロナワクチンも大嫌い。

③ バイオハッカー・シリコンバレー系。生乳のプロテインが最強と信じるウェルネス派。規制する政府なんか信じないと言う反権威・政治的なニュアンスあり。ワクチン嫌いな人もいるかも知れない。

加工殺菌していないということは元々の酵素やプロバイオティクスが生きていて健康利益があるのだろうことは否定しないが、日本で許可を受けている唯一の無殺菌ファーム「想いやりファーム」のように厳しい検査をパスしたものでない限り、そのへんのスタンドで売っているものをごくごく飲むのはちょっと怖い類の食品。伴う危険が大きすぎ、生乳を飲む人が体に取り入れた菌は生乳なんか飲まなくてもいいと思っている人にも二次感染する。

牛乳の飲み方で政治的傾向がわかる国

病気の原因は細菌であると言う「細菌論」を否定するロバート・ケネディ・ジュニアがアメリカの健康と食の安全を司る保健福祉省の長官(日本で言う厚生労働大臣ね)に就任し、未就学児の予防接種の数が減らされたり、ワクチン否定派でも公立学校に子供を入学させられる学校区が増えた。接種を受けない人たちから広まった「はしか」が複数の州でアウトブレイクするなど、なんだか信じられない状況になっているアメリカ、生乳を飲んだ人から鳥インフルにかかる可能性がゼロではない。生乳論争がヒートアップしている理由である。

何でも政治的分断につながるアメリカ、上の3つのグループに属する人はまあ大体が「保守派」「トラ★プ派」。牛乳の飲み方で政治的傾向が読めてしまういうのも変だけど、世界中どこの国でもなんだかそんなふうになってきた気がする。日本も細菌は言動でドチラ側の人か、な~んとなくわかるもんね。「こちら」「あちら」なんて気にもしなかった時代が懐かしい。

生乳騒動のあとのバレリーナ農場

3月のはじめに9人目の赤ちゃんを出産したハナさん、身ごもったのはちょうどO157菌が検出された時期と重なる。お腹が大きくなってきたころ、バレリーナ農場の主力商品プロテインパウダーの発売が発表された。

次のブログは、この大きなお腹をフィーチャーしたパウダーのプロモビデオも含めて、バレリーナ農場のマーケティング戦略を分析します。

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