9人目を出産!バレリーナ農場の裏側を深掘り

セレブ・ロイヤルファミリー

アメリカ・ユタ州で家族で「バレリーナ・ファーム」(ここでは「バレリーナ農場」で統一します)を営むハナ・ニールマンさんについてこのブログに書いたのは2年前のことだった。

ハナさんはちょうど8人目の赤ちゃんを出産し、そのわずか2週間後に完ぺきボディで「ミセス・アメリカ」コンテストに出場したばかりだった。

この3月に、9人目の赤ちゃんを自宅出産してまた話題になった。

ハナさんって何者?という方は、2024年2月にシリーズで書いたバレリーナ農場についての過去ブログのリンクがこの投稿の最後にあります。じっくり読んでいただくと、彼女のアメリカ社会での立ち位置がかなり理解できると思います。こちらはバレリーナ農場のプロモビデオ。

 

二人の子供でも息が絶え絶えだったワタシからは、9人とは想像もできない偉業?だが、過去ブログで書いたように、

  1. 夫が、航空会社ジェット・ブルー創業者一族出身の超・富裕層であるという経済的余裕
  2. 夫、母親、姉など近しい家族がほとんどみな10人前後の子供を生み育てており、モルモン教会という巨大な子育て支援網コミュニティに属している

この2つを併せ持つニールマン家だからこそできるわけで、今のアメリカで9人の子供を育てるのは普通の家族には不可能。

「トラッド・ワイフ」の第一人者として2,100万人以上のSNSフォロワーを誇り、保守化の進むアメリカで「子供をたくさん産み、自分のキャリアよりも夫と家族を優先し、伝統回帰的な暮らしを実践する」女性として、もてはやされたり批判されたりとにかく好き嫌いが分かれるタイプのインフルエンサーだが、保守派女性のビーコンと祀り上げられながらも政治的な発言はまったくなし。夫とともに農場を経営し、畑や牛舎でウソーというくらい激しい肉体労働(グラム用かもしれんが)に携わるハナさんは、「ディナーを用意して夫のために着飾って帰宅を待つ」タイプのトラッド・ワイフとは一線を画す。なんといっても彼女、冷徹で凄腕のビジネスウーマンだ。

絶対的なSNSフォロワー数を武器に、バレリーナ農場を個人経営の農家としては前代未聞の年商18億円(推定)ビジネスへと育て上げた。

バレリーナ農場のオンラインストアは、お肉や天然酵母のスターターなど以前から取り扱っていた「農場らしい」商品に加え、最近は利益率が高く品質管理や発送が用意なサプリメント類が充実。4万円以上するまな板やweckのビンなどもラインアップに加わり、農家経営のストアというよりももはやラグジュアリー・ライフスタイル・ブランドへと完全に方向転換した。

これを「コスプレ・アグリカルチャー(農家コスプレ)」、「ハイエンド・ラフ(高級でお金がかかっている素朴さ)」と表現する人もいる。

昨年5月にはユタ州ミッドウェーに実店舗をオープン。人口が6000人程度のこの小村は、ヨーロッパの農村を思い起こさせるきれいな町並みの静かな村だったそうだが、店のオープン以来、ものすごい数の観光客が訪れて渋滞や混乱を呼び、住民の生活が成り立たなくなっているそう。少し前の京都みたいな感じ?これを町おこしと呼ぶか、メーワクと呼ぶかは意見の分かれるところだと思うが、これでわかるように彼らのビジネスは「演出された素朴さ」である。

これが新発売のプロテインパウダー。

Farmer Protein Powder | 24g Protein Per Serving | Ballerina Farm
Farm-fresh protein powder with 24g grass-fed whey protein, bovine colostrum, and collagen peptides. Clean, nutrient-dens...

約70ドル(1万1千円)のパウダーは、アイルランドからの輸入原料をユタ州の工場で加工したもの。

こちらが話題を読んだまな板を含む生活グッズのページ。

Shop Home Goods | Ballerina Farm
Upgrade your living space with our stylish home goods collection. Find everything you need to turn your house into a hom...

大柄で美貌のハナさん、もっとミニマムでグレーや黒のスッキリしたセーターとかのほうがよほど似合いそうだと思うんだけど、いつも赤のギンガムや小花柄で登場。はっきり言って全然似合ってない(私見)。マーケティングだ。

さて先程の「推定年収18億円」のデジタル・エンパイア(電子帝国)、収入の内訳を分析してみた(控えめに見積もった最低ラインも計算)。

部門 推定年商 (USD) 推定年商 (日本円) 役割と特徴
オンラインストア 580万 〜 840万ドル 約 8.7億 〜 12.6億円 収益の柱。 プロテイン等の消耗品。
実店舗(Midway) 150万 〜 250万ドル 約 2.2億 〜 3.7億円 聖地巡礼的な売上。 人口6,000人の町での飲食・物販としては限界値。
SNSプラットフォーム 50万 〜 100万ドル 約 7,500万 〜 1.5億円 YouTube広告や再生数報酬。
メディア/出演料 10万 〜 20万ドル 約 1,500万 〜 3,000万円 取材・インタビューなど。
合計推定年商 790万 〜 1,210万ドル 約 11.8億 〜 18.1億円 2,100万人のフォロワーが生むデジタル経済圏
  • オンライン売上は、サイト訪問数の2%から5%が何らかの買い物をすると仮定、平均客単価で算出
  • 実店舗売上は一日訪問数に客単価をかけて算出。
  • SNS、農場、メディア出演料は業界常識を使って算出。

オンラインストアのベストセラー商品は、上で紹介したプロテインパウダー、69ドル99セント(約1万1千円)。海外牛から工場で生産・倉庫から直接発送のこの商品は、牛から作ってあるということ以外は農場とは全く関係ないが、一袋売るごとに粗利は約70%弱、70ドル売ったら50ドル儲ける。バレリーナ農場の数年前のベストセラーは真空パックのお肉セットだったが、そちらの粗利は15%、つまり70ドル売って10ドルしか手元に残らない。

オンラインはサプリ中心に切り替え、実店舗では「オンライン販売の安全基準が厳しく農場らしい製品で、発送に手間がかかるもの」(チーズ、バター、パン、お肉など)を扱う。マーケティング費用はSNS活用でゼロどころか、そのSNSからの収益もスゴイ。この経営方法で年間18億。SNS侮れず。

生活のすべてをさらけ出し、自分の魅力をフル活用し、昨年は8人の子供を連れてヨーロッパ各地へ農地見学の旅。移動中の乗り物で8人目に授乳するシーンを見たときは、一体この体力は、とおののいた。自宅のジムで(これがまた豪華)で激しいエクササイズに勤しむ元バレリーナの足は筋肉バリバリ。ものすごい量の食事やパン、バターやサワークラウトまで手作りし、がめついだのやり方が露骨だの批判されても彼女のスーパーウーマン、ビジネスウーマンぶりは好き嫌いを別として、ひれ伏す…。

だが、昨年2月バレリーナ・ファームは創業以来最大の危機に直面し、全米的に猛烈なバッシングの嵐にさらされたのだった。明日はこの事件について深掘りしますね。

8人目を出産してすぐにミセス・アメリカコンテストに出場した元バレリーナの農場経営主、ハナさんってどういう人?という内容のブログ:

バレリーナ農場・再訪
8人目の出産からわずか2週間でミセス・ワールドに出場した驚異の女性、ハナ・ニールマン。元プロバレリーナ、ユタ州で農場を経営する彼女のスーパーウーマンぶりと、その背景にある謎に迫ります。

彼女が所属する「大家族」制度を可能にするモルモン教コミュニティについてはこちら:

バレリーナ農場の文化的背景・再訪
ミセス・ワールドに米国代表として出場したバレリーナ農場のハナ・ニールマン。彼女の強さの秘密は、敬虔なモルモン教コミュニティにあった?子育てを助け合う「シスター・マム」や、経済的な背景、そしてビジネスウーマンとしての成功について、アメリカの多様な文化を紐解きながら考察します。

超富裕層ニールマン家のバックグラウンドと「保守派」政治とのからみについて:

女性の生き方 − バレリーナの場合
ミセス・ワールドに米国代表として出場したバレリーナ農場のハナ・ニールマン。8児の母でありながら、完璧なボディとビジネス手腕を兼ね備えた彼女の生き方は、保守派が夢見る「伝統的な家族の価値観」の象徴か?その光と、女性の役割が限定される危険性を深掘りします。

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