昨日のブログのフォローアップ編です。今後深刻な品不足や値上がりが予想されるので、必ず使うとわかっているものは今のうちに買っておいたほうがいいかもよ、という内容でした。

この中で、”中国への関税率は現在145%。その額が消費者価格にそのまま上乗せされると仮定して単純計算すると、中国からの輸入品が今までの2.45倍に値上がりすることになる。値上がりだけでなく、輸入される物資の量自体が以前半分近くに落ち込んでいる。関税が発動する前夜の4月9日までに出港した最後の非関税船舶が先日ロスアンゼルスに入港してしまい、ウォルマート、ターゲット、ホーム・デポなどの大手小売店によると、これから5−7週間のうちには在庫が底をつき始め、買い物に行くたび関税の影響を消費者が直接肌で感じるようになってきます、とのこと。”と書いたんですが、ちょっと補足しますね。
まず、「中国からの輸入品の値段が2.45倍になってしまうかも」と言う部分。関税が145%に引き上げられたというのがどう言うことかというと、輸入した物資の金額の145%に当たる金額を輸入元(受け取り側)が U.S. Customs and Border Protection (CBP)アメリカ税関・国境警備局というところに支払わなくてはならなくなった、ということです。支払うのは中国の輸出業者ではなくアメリカ側輸入業者の方。そしてCBPが徴収した関税は一般財源として財務局が管理することになります。これが大統領が「関税でアメリカが潤う」と述べている理由。
100ドルのものを輸入すると関税は145ドルなので、アメリカ側、輸入業者のお財布から出て行く金額は合計245ドルになってしまう計算で、増加分は卸価格に反映させるか、自社で負担して値段据え置きで行くか、それは企業の決定なので、品目や在庫状況によってどの商品にどのくらいの値上がりが起きるかと言うのはとても予想が難しい。2.45倍の値上げというのは最悪のシナリオということです。
昨日のブログでは「買っておいてもいいもの」のリストを乗せましたが、各家庭で「これは絶対使う」「切れると困る」ものの優先順位をよく考えられて、パニックせず無駄のないようぼちぼちと買い溜めをするのは賢い選択がと思われます。
そして「貨物が約半分に減っている」という部分ですが、これもちょっと複雑。中国からの輸入品の大部分が入ってくる西海岸の港湾関係者の統計によると、入港のコンテナ数は前年比35%減。輸入元が関税を払ってでも輸入しなくてはならない、または輸入する価値があるもの以外の輸入は今のところ保留かキャンセル、という決定を下したということです。近く関税は引き下げられるかもという思惑あり。
来月の入港予定は前年比24%減なので、今月も来月も貨物が半分になってしまったというわけではない。…んだが、多くの輸入元がせっかく入港しても貨物をそのまま港に停泊させたり、倉庫に搬入して受け取りを遅らせているケースが多く見られているそう。関税は貨物を正式に引き取った時点でのみ発生するので、それを極力遅らせてその間にキャッシュを調達したり、近い将来関税が大きく引き下げられることを想定(期待)して受け取りを延期しているケースも。
それらを加味すると、実際にトラックに乗せられて各地に散らばって行く貨物が「今までの約半分に減った」というのが専門家の意見なわけです。
むやみに物資が半分になっちゃった!お店の棚ががらがらになっちゃう!とパニックさせてしまったかな?だったらごめんなさいでした。ま、半分なんだから影響は絶対避けられないけれど、何がどのくらい足りなくなって、そのために値段がどのくらい上がるかというのは先ほども書いた通り予想がつかないという状況。
この専門家(海洋歴史学者・キャンベル大学教授の Sal Mercogliano 氏)によると、たとえ関税が廃止されたとしても、
①受け取りを遅らせている貨物には保管料が発生しているので、その分が上乗せされて値上がりは必至であること、
②今月来月とすでに減少した物資量は関税撤廃後すぐに回復しない(中国からの船舶は約1ヶ月かけてアメリカに到着する)ので期間限定であったとしても品不足は起こるということ、
③海運業者はアメリカルートで余った船舶の他ルート割り当てをすでに行っているので輸入が再開しても船舶が足りず、品不足は長引く可能性がある、
④港湾関係者の解雇、時間給や出来高制で働く労働者やトラック運転手の賃金低下、
などを指摘しておられました。
今までも関税が全くなかったわけではなく例えばバイデン政権下では中国からの半導体輸入には100%の関税がかかってました。中西部に半導体工場の設置を進めていた政権が自国での生産を促すため。日本も、コメ農家保護のためアメリカからのコメ輸入には高い関税が設置されているわけです。
産業別、品目別に熟慮された関税率をお互いに掛け合った上で今年当初までのグローバル経済が成り立っていたわけなんですが、今回はちょい事情が違うので、中国からの輸入品を扱うリテールをはじめ、部品や原材料を輸入していた製造業にも大きな影響が出ることとなったわけです。
こういう状況にも関わらず、株式市場が回復したというのがちょっと不気味!



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